第20話

 シャワーを浴びて身体の汚れを落とすと共に午前中にあった出来事を振り返り、経った数時間の出来事が濃密だったなと思いながらお風呂場から出てリビングに向かう。


 「なにをやってるんだ?」


 「た、助けてください!」


 俺のナビゲイターのイチがシロに咥えてられていた。丁度イチの大きさはシロと遊ぶ時に使うボールと同じくらいのサイズだからだろうか?


 「シロ、離してあげなさい。」


 「わん!」


 口から咥えていたイチを落としたシロが尻尾を振りながら俺の方へと来る。


 そんなシロを撫でていると、シロの涎でベトベトのイチが浮遊してやって来た。


 「ひ、酷い目に会いました。」


 「シロも悪気はないから許してやってくれ。」


 ベトベトのイチのまん丸ボディを首に掛けていたタオルで拭い、シロの涎を拭き取っていく。


 「ありがとうございます。」


 「いや、シロが悪かったな。」


 シロに飛び掛かられても大丈夫な位置に移動したイチにシロがした事を謝ると、俺はシャワーを浴びている時に思い付いた事を聞いた。


 「これってなんなのか分かるか?」


 俺は自身の体内に意識を向ける。俺の身体の内には4つのエネルギーがあるが、その内の黄色、赤色、青色のエネルギーは分からない。それとついでに進化エネルギーだと思う緑色のエネルギーの事もイチに話した。


 「予想は付きますが見せてくれますか?」


 「分かった。」


 戦闘中は本能的に行なっていた行動だったが、今は意識しないと出来そうにない。その為、俺は目を閉じて意識を自身の身体の奥底に向ける。


 そうして身体の奥底にあるエネルギーの内の1つを手のひらに集めて行った。


 「それは気ですね。」


 「気?」


 「生命体が持つ力の1つです。自身の生命力を気と言う力に変換して扱う力です。生命力を使う力なので、生命力を使い過ぎれば、生命力は枯渇して肉体に力が入らなくなり死にかけるでしょう。」


 最初に手のひらに集中させたエネルギーは気と言うそうで、それから説明があったが、どうやら気は俺の生命力を元にしている力なのだそうだ。使い過ぎると生命力が枯渇して死にかける様なので使い過ぎない様に言われた。


 次にイチに見せたのは赤色のエネルギーを手のひらに集めた物だ。


 「これは魔力ですね。魔力は精神力を使った力です。これも精神力を変換させて魔力に変えます。精神力が枯渇すれば気絶しますので生命力と同様に枯渇には気を付けてください。」


 黄色のエネルギーが気で赤色のエネルギーが魔力。どちらも生命力と精神力を元にしている力ならば、最後の青色のエネルギーは何を元にしている力なのだろうか?


 「それじゃあこれは?」


 「それは霊力です。魂から発生する魂力を変換する事で霊力に出来ますね。魂力は他の2つとして枯渇しても何もありません。ですが、魂から発生する量は決まっており、魂力は使わなくても消費すると言う特長が魂力にはありますね。」


 「なるほどな。」


 魂から発生する魂力は、ただ魂から発生している力だから枯渇しても無事。それで常に発生しているから使いやすいエネルギーなのかもな。


 それにしても生命力、精神力、魂力の3つを変換している意識はないけど、一度無意識で変換したからほんの少しだけでも変換し続けてるのか?これも聞いておこう。これで枯渇して倒れるとか嫌だからな。


 「ふむ、なるほどそうですか。少し待ってください…………自然回復量よりも少ない量ですが常に変換している様ですね。」


 「それでこれは大丈夫なのか?」


 「問題ないですね。それよりも進化エネルギーですね。このエネルギーの方が問題です。」


 「問題?何が問題なんだ。」


 これまでの戦いで常時使用しているどころか、今現在も身体の奥から湧き出ている進化エネルギーが問題だと凄い困る事態だ。

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