第11話
ランクアップ。それに伴う武装技能と技能の取得を終えた俺は、まだ浮かんでいるウインドウの表示を確認していく。
「他の場所の救援か……これは世界地図なのか?」
表示されたウインドウには地図の横に国の名前が表示された世界地図が現れる。世界地図の至る所に赤い光の点が浮かび上がっていた。世界地図から日本を表示される様に操作していく。
「日本だけで5つ。1つはこの場所だから残り4つか。それで一番侵略者が倒せていない場所は何処だ?」
ランクアップして生き物として格が上がり、新しい武装技能、技能、技の取得。それを試してみたい。だから、俺は次の向かう場所を探して行った。
侵略者が作り出したゲートは埼玉、岩手、岐阜、鳥取、熊本の5つ。その内の埼玉のゲートから現れたアドニソス男爵率いる侵略者は俺が倒した。
だが、残りの4つのゲートから現れた侵略者の撃退は未だに出来ていない。その内の一番侵略者の数が多いのは岩手県だった。
「はーふぅ……良し!行くぞ!岩手!!」
岩手のゲート周辺に居る侵略者を撃退する為に、俺は転移しますかと表示されたウインドウの【はい】を押して転移する。
転移して周囲を確認すると、転移した場所はかなり大きな大通りだった。
本来なら車が多く通り賑やかな場所だったのだろう。しかし、その場所はいま、地獄の様な場所に変わっていた。
120センチくらいの緑色をした体色をしているファンタジーでよく出て来るゴブリンと酷似している生き物が男は殺して捕食し、女は性的に襲っている。
そんな場所に俺は転移したのだった。
「グギャ?ググギャーー!!!」
辺りを確かめていた俺に気が付いた一匹のゴブリンが、俺の事を指差して周りのゴブリンに伝える。
そうすると周りのゴブリンたちもこちらを見ると、新しい獲物が来たと嬉しそうに笑い始めた。
「こんな光景を見て、俺は思った以上に冷静だ。でも、何でだろな?頭は冷静だけど、心はコイツらを殺したくて堪らない。理由は分からないけど、コイツらは一匹残らず殺そう。」
思考は冷静だが、心は理解し難い怒りに染まり、身体の奥底から湧き上がる進化エネルギーと3つのエネルギーを【エネルギー操作】を使って身体能力を強化する。
一歩、ただそれだけの歩みで俺はまだ距離の離れているゴブリンの目の前にたどり着くと、その気色の悪いにやけ顔に拳を叩き込む。
それだけでゴブリンの頭部が弾け飛び、頭の無くなったゴブリンの首元から血が噴き出して地面に倒れる。
「次だ!!!」
それから俺は目に付くゴブリンを殴り殺していく。仲間が殺された姿すらも笑って肉を食べるゴブリン、女性を犯すゴブリンの姿に嫌悪感と怒りが湧いてくる。
そうしてゴブリンたちを殺していると、ゴブリンたちも自分の危険には敏感な様で、この辺りのゴブリンたちは戦闘体勢に入った。
それから俺は目に付くゴブリンを一人残らず殺していると、甲冑を着込んだ大柄のゴブリンが多くのゴブリンたちを連れて現れる。
「アイツがコイツらの親玉か……アドニソス男爵よりは弱いか?」
何となく直感で俺はそう感じた。この親玉ゴブリンはアドニソス男爵よりも弱いと。
「グギャアア!!!ギャアッア!!!」
その手に持つ大きな剣を俺に向けて親玉ゴブリンは部下のゴブリンたちに命令を下している様だ。
俺が思った通りに命令を受けたゴブリンたちは一斉に俺の方へと向かって突撃してくる。
金属製の剣や槍を持ったゴブリンたちは俺へと振るい突き刺そうとして攻撃を行なった。
装備技能の【硬化】に4つのエネルギーを注ぎ込み、武装の全身鎧の強度を向上させる。
すると、振るわれた剣や突き出された槍は甲高い音を立ててへし折れる。
「行くぞ、次は俺の番だ!!!」
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