第10話

 ランクはステータスにあった物だ。ウインドウに表示されているそれが上がる事なのだろう。でも、ランクが上がるとどうなるのかは分からない。


 それでもきっと上げるのが正解なのだと思い、俺はランクを上げる事を選択した。

 

 ウインドウに表示されている【はい】の文字を押すと、ランクアップが始まった。


 「うぉおおおおおお!!!!!!!!!」


 生き物としての規格が一つ上に変わった様な、全身が生まれ変わったと思うほどの全能感に浸り叫び声を上げてしまった。


 快楽を伴う細胞単位の変革は俺の頭を茹だらせるには充分だったが、それもランクアップが終了すると急速に頭が冷えて冷静になる。


 「はぁ、はぁ、はぁ、なんだあれは?!」


 ランクアップの気持ち良さに驚きと恍惚感が名残惜しいが、冷静になった思考でランクアップ終了後に現れたウインドウに注目する。


 「新しく武装技能と技能を覚える事が出来るのか?」


 辺りを見渡すが人が誰も居ない。今なら安全に武装技能と技能を選んで取得する事も出来るだろう。


 どの様な武装技能と技能を選ぶのかを確認する前にステータスを確認する。


龍崎 亮 

ランク2

武装【全身鎧】

武装技能【硬化】【】

武装装備スロット【】【】

特殊技能【進化のチカラ】【闘争の化身】【超強化再生】

技能【武術】【】

技【エナジーナックル】【】


 ステータスを確認して新しく増えている物を発見した。追加された物は武装技能、武装装備スロット、技能、技が追加され、技は【エナジーナックル】を覚えていた。


 この【エナジーナックル】とは何だと思い押してみる。すると、【エナジーナックル】の説明がウインドウに表示された。


【エナジーナックル】

拳にエネルギーを収束させて相手を殴る打撃技


 説明はこれだけだった。これを覚えた原因だと思われる物がある。それはアドニソス男爵にトドメを刺した時、拳に複数のエネルギーが集まったからだ。


 その一撃がアドニソス男爵を倒すトドメの一撃だったから、技として取得したのかも知れない。


 試しに【エナジーナックル】を使おうと意識すると、スムーズに拳に向かって進化エネルギーと3つのエネルギーが集まっていく。


 そしてエネルギーが収束して集まった拳でアスファルトの地面を叩く。すると、ズドンッと音を立ててクレーターが作り出された。


 「何だ……この、威力は…………!」


 あまりの威力に唖然としてしまう。アドニソス男爵にトドメとして繰り出した時よりも今の方が格段に威力が上だ。


 これが技として取得したからなのだろうか?それなら技の威力にも納得がいく。


 「これは使い道を考えないと気軽に使えないな。」


 アドニソス男爵クラスの敵との戦いでしか使い道がない技なのだろうが、これが初めて手に入れた技だ。かなり嬉しい。


 そして、それを踏まえて俺は武装技能と技能の取得を考えた結果、武装技能に【エネルギー効率化】を、技能には【エネルギー操作】を選んだ。


【エネルギー効率化】

常時発動型 武装、又は武装を介してエネルギーを使う際に効率的にエネルギーを使用可能になる


【エネルギー操作】

凡ゆるエネルギーの操作を行なえる様になり、エネルギーの操作がスムーズになる


 武装技能も技能もエネルギー関係の技能を選択したが、それは進化エネルギーと3つのエネルギーの合計4つのエネルギーを扱えるからだ。


 早速俺は体内にある4つのエネルギーを一つずつ操作していく。


 「技能があるとないとでは違うな。」


 月とスッポンとまでは行かないけど、技能一つでここまで変わる物なのかと驚くほどだが、これは汎用性のある技能だ。それ専用のエネルギー操作ならばより操作感覚が違うのだろう。


 【エネルギー効率化】も【硬化】をエネルギーを消費して武装強度を上げるのに使うと、これも消費量に比べてだいぶ違う事が分かるのだった。

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