第9話

 仰け反ったアドニソス男爵が次の行動を取る前に、俺はアドニソス男爵の腕を握り逃げられない様にする。


 「離せぇ!!下等な人間がぁああ!!!」


 俺が握ったアドニソス男爵の腕がミシミシと音を立てると、痛みからアドニソス男爵は話している途中で痛みに叫ぶ。


 「これで避けられないだろ!効くか、分からないが、これでも食らえ!!!」


 純銀のロザリオを握り込んだ拳をアドニソス男爵に叩き込む。


 「グァアアアァァッアアァアア!!!!!!!!!!!」


 直に純銀のロザリオを直接当てた訳ではないが、拳を直撃させたアドニソス男爵の顔面は焼け爛れた様に変わり絶叫を上げている。


 「異世界の吸血鬼にも純銀は弱点だったか!まだまだ行くぞ!!!」


 それから俺は純銀のロザリオを握り込んだ拳を何度も何度もアドニソス男爵へと叩き込み、それだけではなく膝蹴りを行なえばアドニソス男爵の腹部へと膝が突き刺さる。


 「グガァ!!アグゥ!!グゲェ!!(これは銀か!ふざけるな!!この私がぁ!!)」


 俺に腕を捕まれている為、空いている片腕で俺からの攻撃を防御するが、防御に使った腕にもアドニソス男爵の着ている服越しに殴り、かなりのダメージを与えている感触を殴る度に感じ取れる。


 腹へのガードが疎かになったタイミングで膝蹴りを叩き込み、顔面を守っていた腕のガードが下がった瞬間、俺は純銀のロザリオを握り込んでいた手を開いてアドニソス男爵の顔面にロザリオを押し付ける。


 「アァァァアアッガァアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!」


 純銀のロザリオを押し付けた場所の周囲の肉が灰へと変わって行き、アドニソス男爵の頬骨や歯茎に顎の骨が露出する。


 痛みなのか、それとも純銀のロザリオを押し付けられているからか、アドニソス男爵の力が身体から抜けて足も自力で立っているのがやっとな状態になっていた。


 これなら太陽の元にアドニソス男爵を連れて行けると思い、俺は再度純銀のロザリオを握り込んでアドニソス男爵の顔面に拳を叩き込んだ。


 「グォアアアア!!!!!!グホッ!!ギャアァァァアアアアアア!!!!!!!!」


 露出していた顔面の骨を拳が砕き、アドニソス男爵の顔面は半壊する。そして一気に力の抜けたアドニソス男爵を太陽光の元へと投げ飛ばした。


 かなりのダメージを受けて、更に再生能力が落ちていた今のアドニソス男爵には太陽光を耐えられず、アドニソス男爵はのたうち回つている。


 そんなアドニソス男爵の元へと駆け寄った俺は、純銀のロザリオを握り締めた拳を振り下ろしながらアドニソス男爵の上に馬乗りになる。


 「グギャアアアア!!!!!!!」


 それから俺は太陽光を遮らない様にしながら、何度も何度もアドニソス男爵を殴り続けて行き、アドニソス男爵に反撃を許さない。


 力が入らずに腕を防御に使う事も行なわなくなったアドニソス男爵。


 「ぢぐじょぉおお!!!!!(太陽、があ!!!銀がぁあ!!!お前が居なければぁああ!!!!!!!!!!)」


 このまま行けば仕留められると直感した俺は、そこを狙えばトドメを刺せると思った場所に向かって拳を振り下ろした。


 「これでトドメだぁあああ!!!!!」


 拳に進化エネルギーも三つのエネルギーが集まりながらアドニソス男爵へと振り下ろされる。


 振り下ろされた拳はアドニソス男爵の胸部に叩き込まれ、アドニソス男爵の着ていた衣服を突き破ると、アドニソス男爵の心臓に拳が届いた。


 アドニソス男爵の心臓は拳が叩き込まれた瞬間に豆腐を潰すかの様に簡単に潰れた。


 心臓が潰されると、頭部を破壊しても死なずに再生しようとしていたアドニソス男爵の身体は全て灰へと一瞬で変わるのだった。


 これで終わったと思った瞬間、目の前にウインドウが現れた。


 「ランクアップ可能です?」


 ウインドウにはランクアップが可能な事とランクアップをするのかの選択が表示される。

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