第24話

 ゲート内の侵略者の殲滅。日本だけで5つのゲートがあった。それが世界全体になると一体どれだけのゲートがあるのかも分からない。


 そんなゲート内の侵略者の殲滅を任せられてかなり困惑してしまう。


 「それって俺だけな訳ないよな。」


 「もちろんですよ。ですが、他の選ばれし者がどれだけの侵略者を倒せるのかは分かりませんが……。」


 今現在の選ばれし者の中で最強なのが俺の様だし、それが事実なら足手まといを連れずに1人で戦った方がましだろう。


 「はぁ、そうか。イチが何処のゲート内の通路の侵略者を倒せば良いのかを決めておいてくれ。」


 「分かりました。」


 「まあ、それでも日本の通路の確認からだな。それを確認しないと安心出来ないし。」


 遅くなった昼ごはんを食べ終わり、今後の俺の行動を決めたら、今日は身体を休める事にした。


 消したテレビを付け直すと、丁度政府からの発表がされているところだった。


 その発表は選ばれし者の登録の推奨と今後のゲートに関してだった。このゲート関連の話はかなり重要で自国のゲート以外のゲートへの侵入を禁止すると言う事だった。


 何で禁止されたのか、それはゲート内への転移を利用して他国に密入国が可能だったからだと言う。


 日本は侵略者を完全に撃退したからか、日本のゲートを利用して日本に亡命しようとする選ばれし者が現れたからだそうだ。


 これだと外国のゲート内の侵略者の殲滅が出来なくなる。俺は慌ててイチを見た。


 「イチ、どうする。禁止させられたぞ。」


 「関係ないですよ、マスター。国がどうこう言うよりも侵略者の殲滅が何よりも優先です。」


 「地球防衛機構としてはそう判断するんだな。」


 「ええ、そうです。それに禁止すると言うだけなら問題ないでしょう。マスターを拘束出来る者は地球上には居ませんし、マスターの事を知る者は我々しか居ません。その我々にしても個人情報を漏らす事はしませんよ。」


 「そうか。日本だけじゃなくて外国も同じ様に禁止にしているな。」


 政府からの発表は続いて行き、外国も同じ様な事を発表した事を話し出していた。


 「あのさ、俺が外国のゲートの侵略者を倒さなかった場合は、その国の選ばれし者だけで侵略者の殲滅は可能だと思うか?」


 「殲滅は難しいですね。迎撃は可能だとは思いますが。そんな事を聞いて他国のゲートの侵略者の殲滅をしないのですか?」


 「いや、それはする。でも、その国の選ばれし者に襲われないか心配なんだよな。」


 「その場合は攻撃側に警告が出されます。それでも攻撃を続ける様なら力の剥奪が行なわれますよ。」


 攻撃される前に何かしらの対処をしてくれる方が良いんだけど、それは流石に出来ないのか。


 「はぁ、今日の残りは休みにしようと思ったけど、今のうちに少しでも多くのゲート内に居る侵略者を倒しておいた方が良いかもな。イチ、まずは日本のゲートを回るぞ。」


 「はい、分かりました。転移はいつでも可能です。」


 全身鎧の武装を纏って動かして行き、身体の調子を確かめていく。それが終わればイチに頼んで転移を開始した。


 転移が終了すると、俺は辺りを見回して確認した結果、ここは夜の森の中だと思った。


 「ここは何処のゲートだ?」


 「ここは埼玉県のゲートです。」


 「それなら吸血鬼のゲートか。」


 アドニソス男爵と眷属の黒い犬が現れたゲートの通路がこの場所の様だ。


 この通路内でどんな侵略者に遭遇するのかは分からない。その為、俺は慎重に暗い森の中を歩いて行く。


 幸い月明かりのお陰で視界が暗くて見えないと言う事はないが、こんな中を進んで歩くなんて事をした事がないから少しだけだが恐怖感があった。


 そんな中で俺に向かって何かが向かって来るのを本能が感じ取り、それに反応して進化エネルギーが少しずつ身体の奥から湧き出して来た。

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