第23話

 背部にあるエネルギースラスターへと進化エネルギーを少量送る。すると、エネルギースラスターから推進力となる進化エネルギーの緑色の光が放出された。


 「それでは少しずつ背部だけでなく腰部にも進化エネルギーを流してください。」


 「了解!」


 エネルギースラスターに送る進化エネルギーの量を少しずつ多く流して行くと、エネルギースラスターから放出される進化エネルギーの量が増えていく。


 踏ん張らないとエネルギースラスターから放出される進化エネルギーの勢いに負けてしまう。


 「そこで一気に放出です。それで空を飛ぶ事が出来ます。」


 「ああ、行くぞ!!」


 一気に進化エネルギーをエネルギースラスターに送る事で、エネルギースラスターから放出された進化エネルギーを推進力に変えて飛び立った。


 「ッ…………!!!空、飛んでるぞ!!」


 飛び立った俺が空を飛んでいる事に感動していると、イチが地表から追い付いてきた。


 「マスター、常に一定量を送らないと墜落しますよ。」


 「ああ……。」


 背部や腰部から推進力として放出される進化エネルギーのお陰で行なえる飛行。風を切る感覚を地肌で味わえる訳ではないが気持ちよく感じる。


 そうして空を飛んでいると今度は着地が待っている。少しずつエネルギースラスターに送っていた進化エネルギーを減らす事で、エネルギースラスターの推進力を減らしてゆっくりと地面に着地した。


 「ふぅ……着地も問題なかったな。」


 「初めてにしては上出来だと思いますよ。まずは素早く飛行と着地を行なえる様にするくらいですね。その後は自在に空中飛行を可能にすれば戦闘でも使えるでしょう。」


 そこまでやらないと使えないのかと思う中で、俺は素早く飛行して空を飛び、素早く地面に着地をする。そんな練習を30分ほど行なうと、自室に転移して帰還した。


 「遅くなったけど昼ごはんにするか。」


 「わふ!」


 「来ましたね!」


 天敵が来たかの様な反応するイチがすぐ隣を飛んでいるが、それにシロは反応する事はなく早くごはんを食べたいと俺に訴えてくる。


 「すぐに用意するから待っててくれよ、シロ。」


 「わふん!」


 尻尾を振るっているシロの頭を一度撫でると、俺はシロの分のお昼ごはんを用意して、今度は自分の昼ごはんの用意を行なった。


 「イチは何か食べたりするのか?」


 「いえ、私に食事は必要ありませんよ。」


 「そうか。」


 大きなサイズのお椀にコーンフレークを入れて牛乳を注いで準備を終える。


 それから俺は昼ごはんを食べながらイチと今後の予定を決める為に話し合う。


 「マスターにはゲートを繋ぐ通路の侵略者の殲滅を行なっていただきたいです。」


 「ああ、それは分かってる。だが、何処を優先した方が良いとかはあるんだろ?」


 「はい、あります。今回の侵略で侵略者を倒せずに我々の地球防衛機構の力を借りてゲート内に押し込めた侵略者は多いのです。そのせいで地球側のゲートの通行が可能になったと同時に侵略者の侵略は再開します。そうなった場合は支配される地域が出て来るでしょう。」


 「そこまで外国の方は駄目だったのか?」


 銃の携帯を許可している国だった多くあるだろうし、日本よりも戦える様な選ばれし者が多いと思っていたんだが。


 「侵略者たちのリーダーを行なっていた者が強かった。これに付きますね。マスターが倒した事が我々としても驚きなのですから。本来なら時間制限まで持ち堪える事を期待していたのですよ。」


 「そうなのか?」


 「ええ、マスターの様に自身の国の侵略者を殲滅する選ばれし者は1人も居ませんでしたから。それでも第一陣の選ばれし者も生き残りはそれなりに居ますし、第二陣も増えましたからね。ギリギリで耐えなく事も可能でしょうが、それを確実にしたい。ですので、マスターには苦労も掛けますが日本のゲート内の確認を終え次第に次は海外のゲート内の掃討をお願いします。」

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