第4話

 俺の方に来たのは三匹か。蹴りを食らわした黒い犬とは戦った訳じゃない。だから、これが本当の初戦闘だ!!


 そう意気込んで技能武術の知識と闘争の化身の闘争本能から出た構えを行ない、黒い犬たちを待ち構えていると、突如足が掴まれる。


 何だと思い下を向くと、そこには黒い犬に首を噛まれた高校生男子が居た。


 「だじゅげで!だ、じゅげ……で、ぐれぇ!!」


 イキって調子に乗り、今も戦闘の邪魔をするコイツに苛立ちを感じた俺は、足を掴んで手を振り払い、邪魔をしたこの高校生男子に蹴りを入れて吹き飛ばす。


 これがトドメとなり高校生男子は生き絶えるのだった。


 高校生男子にトドメを刺した事にも気が付かずに、俺は意識を黒い犬たちに向けると、黒い犬たちとの距離がだいぶ近付いており、黒い犬の一匹が飛び掛かって来る所だった。


 最後まで邪魔ばかりする野郎だ。そんな事を思いながら俺は飛び掛かってきた黒い犬に向かって黒い犬の顔面に拳を叩き付ける。


 身体能力が進化エネルギーにより上昇しているからか、黒い犬の顔面を砕いて一撃で俺は黒い犬を殺した。


 一匹の黒い犬を殴り殺したが、その隙を突いた二匹の黒い犬が一匹は飛び上がって襲い、もう一匹が足を狙って襲ってくる。


 どちらかしか迎撃できない。それならと足を狙う黒い犬は無視して、飛び掛かって押し倒そうとして来る黒い犬の迎撃を行なう事を決めた。


 さっき殴り殺した黒い犬よりも距離が近い為、アッパーを黒い犬の顎を狙って繰り出した。


 繰り出されたアッパーは見事に黒い犬の喉元に命中し、そこから喉なのか、それとも首の骨なのかは分からないが、何かを砕く感触を拳の鎧越しに感じ取り、あの黒い犬は倒せただろうと思った瞬間に足に痛みを感じた。


 倒すのを諦めた足狙いの黒い犬が噛み付いており、その牙は武装の全身鎧の守りを突破して、牙が足に食い込んだのを痛みで感じ取った。


 足が痛いが、それでもこの痛みは箪笥に小指をぶつける痛みよりも痛くはない。武装の全身鎧を黒い犬の牙は貫通はしたが砕けた訳ではない為、俺の足に届いた牙はそこまで深くはないのだろう。


 それでも痛みを感じて怒りに近い感情が湧き上がる中、噛み付いている黒い犬を狙って拳を振り落とした。


 更に身体の中から湧き出る進化エネルギーが増したお陰で、黒い犬に振り下ろした拳の一撃は威力が上がったからか、黒い犬の頭部を陥没させる。


 「これで四匹。全然黒い犬の数が減らないな!!」


 より俺の危険度の上がってからか、黒い犬が向かって来る数が増えて行く。


 それでも黒い犬は俺の攻撃に耐えられない為、大抵は一撃で倒す事が出来るが、武装の全身鎧には牙が貫通した穴や爪の引っ掻き傷が多数出来ていた。


 けれど、全身鎧に比べて俺の身体は超強化再生の特殊技能のお陰で再生した結果、傷が一つもない状態だ。


 武装の全身鎧の方にも超強化再生の効果を行なえる筈だが、それは意識しないと行なえない。その為、全身鎧の傷の再生はゆっくりとしていて遅い。


 それに全身鎧の武装技能の発動型の方はエネルギー操作が行なえないせいで、これ以上の硬化で全身鎧の強度の強化は行なえそうに無かった。


 それでも俺は黒い犬の襲撃が止んだ。何故だと周囲を見渡すと、駅前のタクシーロータリーの周りには既に俺だけしか選ばれし者は居なかった。


 逃げ出さなかった選ばれし者や逃げ遅れた選ばれし者は全て死に絶え屍を晒し、このタクシーロータリーの周囲には黒い毛並みの犬と門の向こうから来た男だけになっていた。


 そして、この場に一人しか居ない俺の近くの太陽光の当たる門の側から離れて日影になる場所へと移動していた男が話し掛けて来る。


 「くっくく、残りはお前ただ一人だな。脆弱で弱い下等な生き物である人間にしては頑張った方だ。だが、もうそれもお終いだな。残りの眷属たちがお前を一斉に襲う。私はそれをゆっくりと見学でもして置くとしよう。くはははは!!!!」





……………………………………………………

三つの新作があります

・そうだ、異世界に行こう

・ひきこもりのゴーレムマスター

・異世界大戦

以上の三作です

時間がある方は読んでくれると嬉しいです

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