第19話

 「今現在の地球世界に開いているゲートの先にある世界は3つです。吸血鬼の世界、ゴブリンの世界、機械生命体の世界です。」


 今日戦った侵略者たちを思い出す。


 「その内の吸血鬼の世界とゴブリンの世界の目的は人間の確保です。」


 「人間の確保?」


 「はい。吸血鬼の世界は食料の人間が枯渇して、ゴブリンは繁殖用の女性を求めてです。」


 俺が初めて戦った吸血鬼アドニソス男爵は黒い犬を使って多くの人を殺していたけど、ケストラ男爵は人を拘束して連れて行こうとしていた様だった。


 ゴブリンの方は男性を殺して女性と犯していた。あのまま倒さずに放置していれば連れ去られたのだと思う。


 「じゃあ機械生命体はどうなんだ?」


 「あちらは人類の抹殺の様です。自分たちを作った者と酷似しているこちらの世界の人類を殺しに来ています。何故こちらの人類を殺しに来るのかは不明ですが。」


 機械生命体の世界の人類が絶滅しているからとかなんだろうか?それはそれとして迷惑極まりないが。


 「ゴブリンと機械生命体は相容れないけど、吸血鬼たちは血液を求めてるんだろ?なら、輸血した血を渡せば攻めて来ないんじゃないか?」


 「それは侵略者に与する行為です。地球防衛機構に対しての敵対になります。抹殺対象になるので訂正をお願いします。」


 「そ、そうか!分かった、訂正するよ。て言うか、凄い過激だな。」


 「侵略者の抹殺を義務です。確実に1匹残らずの殲滅です!」


 ただの提案でここまで過激な事を言うなんて思わなかった。すぐに訂正するが、ここまで過敏に反応するなんて、これが地球防衛機構の者たちだったなら、提案してすぐに殺されていたのではないだろうか?今後は侵略者を擁護する事を言うのは止めよう。


 「それで、これから俺はどう動けば良いんだ?また侵略者が来たら戦えば良いのか?」


 「侵略者がゲートを抜けたら知らせが来ます。その時になったら、戦う様に言われますが、他にもゲートを通って通路内の侵略者の掃討を我々地球防衛機構は願います。」


 「これからも戦うんだな。」


 「はい。この世界は戦う運命にありますから。もちろん我々も報酬を用意しています。こちらが報酬の一覧です。」


 ナビゲイター000001番がそう言うとウインドウが表示される。一番上にポイントが表示され、その下に数々の報酬の一覧がポイントを消費して得られる仕組みの様だ。


 「地球防衛機構への貢献、侵略者の排除などでポイントが追加されます。マスターは侵略者をそれも侵略者を率いていた存在の排除をした事により、この様に多くのポイントを得られました。」


 「やっぱり多いんだこのポイント。」


 「はい。多いです。本当に報酬の数が多いので、私がオススメする報酬を表示させますね。」


 ナビゲイター000001番のオススメする報酬一覧が表示されるが、それでも多い。その中でたまたま目に付いた若返りの薬なんて物もある。


 「こんなのもあるのか。ポイントを現金や食料にも出来るのか。」


 「そうです。侵略者と戦う為に生活が出来なくなってしまうのはいけませんからね。」


 「なるほどな。」


 そうじゃなくてもこれからの世界は大変な事になる。そんな現状でポイントがあれば食料の確保も楽になるだろう。


 それに若返りの薬は犬用なんて物もある。シロも犬の寿命が近付いているから、これを選んでも良さそうだ。


 「最低限の説明は終わりです。何か質問はありますか?」


 「特に思い浮かばないな。思い付いたら質問して良いか?」


 「もちろん構いません。」


 「なら、思い付いたら質問するよ。」


 色々な事が今日はあり過ぎた。少しスッキリさせたい、シャワーでも浴びて来よう。


 「シロとナビゲイター……。」


 「ナビゲイター000001番です。」


 「長いから今後はイチで良いか?」


 「構いません。シロ、イチ。俺はこれからシャワーを浴びて来るよ。」


 「わふ!」


 「分かりました。」


 そうして俺はシャワーを浴びに向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る