第21話
「いえ、悪い意味での問題ではないです。いい意味ですよ。どうやら進化エネルギーは生命力、精神力、魂力の代わりに使える様ですね。」
「それは凄いのか?」
「凄いなんて物じゃないです。戦闘持続時間が変わるんですよ。それに格上と戦う時も進化エネルギーを代わりに使う事で大幅に強化する事も可能なんですから。変換効率が本当に凄い!」
どうやら進化エネルギーは相当凄い物の様だ。他に進化エネルギーで何が出来るのかを聞いたが、イチの権限では閲覧出来そうにない物だったそうだ。
それだけ進化エネルギーには謎が隠されているらしい。
シャワーを浴びている間に思い付いた聞きたい事を聞けた俺は、ソファに座ってテレビを付けて今回の侵略者たちとの戦いはどう放送されているのかを確認する。
すると、全身鎧を身に付けた俺がゴブリンたちの頭を破壊している映像がモザイク付きで流されていた。
「いつ撮られたんだ?」
その映像建物の中、それも高所から撮られた映像の様でボスゴブリンを殺した瞬間やその後の掃討、犯されていた女性に怯えられているところもテレビでモザイク付きだが流されている。
その映像を見てコメンテイターが野蛮だ、話し合いで解決出来なかったのか、などと話している。が、俺はそんなコメントよりも映像に撮られて流されてしまい唖然としていた。
そして場面は変わり、次に流されたのは俺が吸血鬼ケストラ男爵から助けた人たちから罵倒やいちゃもんを付けられている場面だった。
その映像を見て、そう言えば助けた中に俺にスマホを向けて映像を取っている奴が数人居た事を思い出す。
この映像を見てやはり批判的な話がコメンテイターからは出されていた。
「はぁー……。」
リモコンを操作して別のチャンネルに変えるが、他のチャンネルでも武装を身に纏う俺の姿が放送されているチャンネルもあり、最終的に被害情報や政府から情報を放送しているチャンネルでリモコンの操作は終わった。
「ああ、こう来たか。」
「気にする事はないです。ゲートの通路に現れる侵略者の殲滅をしてください、マスター。」
「そうだな。どうせ、武装の姿は誰にも分からないだろうし。」
異世界からの侵略者と対話をする為に選ばれし者の協力の要請、その為に侵略者の殺害を禁止、武装姿の俺の映像が流れて名乗り出て欲しいなど、が放送されていた。
「まだ政府は侵略者と戦う以外の選択が出来ないって知らないのか?政府の関係者にも選ばれし者は居るんだろう?」
「まだ広まっていないのでしょう。すぐに訂正されるとは思いますよ。」
「そうだよな。地球防衛機構って過激みたいだし。」
「それほどでもないと思うのですが?」
普通に侵略者は全て殲滅するって言うのは過激ではないのだろうか?
「はぁ、まあいいや。それよりもポイントを使うか。武装装備スロットに装着する物が欲しい。イチ、オススメを出してくれ。」
「分かりました。この3つを購入する事をオススメします。」
そうして表示されたのはエネルギースラスター、聖銀の宝玉、怪物殺しの教本の3つがウインドウに現れた。
イチからの説明によると、エネルギースラスターは武装に装着されるタイプの武装装備スロットアイテムでエネルギーを推進力に変えてくれる様だ。
聖銀の宝玉と怪物殺しの教本は武装には装着されず、アイテムの効果を武装に付与するタイプらしい。
聖銀の宝玉の効果は魔に属する存在に与える攻撃力の増幅と魔から受ける影響の排除及び減衰。
怪物殺しの教本は怪物とされる存在に与える攻撃力の増幅と怪物の急所を攻撃時に威力増大。
この3つを購入する様にオススメされた俺は、素直にポイントを消費して購入する事にした。
「でも、俺の武装装備スロットは2つしか空きがないぞ。1つは余るんじゃないか?」
「問題はありませんよ。ステータスを確認して見てください。」
言われてステータスを確認すると、俺は驚く事になった。
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