第13話

 「これはどうしたもんかな。」


 大半の女性がゴブリンに乱暴に犯されたせいで、まともな精神を保っていられていないどころか、下手したらこのまま自殺しそうな雰囲気もあり、1人が自殺でもしたら、そのまま一斉に他の女性たちも自殺しそうだ。


 はっきり言ってこんな状態をどうにかする方法は俺にはない。早く次の侵略者たちの迎撃に行きたいと思っていたその時、大量の自衛隊の車が大通りに向かって来ているのが見えた。


 「ここは自衛隊に任せられそうだな。なら、俺は次に行こう。」


 開かれているウインドウの中から次に侵略者多い岐阜県のゲートへと向かう為に転移を行なった。


 転移が終了して目と耳に入ったのは選ばれし者とゴブリンが戦っている景色と音声だった。


 岐阜県も岩手県と同じでゴブリンが侵略者だった。だが、岐阜を防衛している選ばれし者たちは防戦一方だが、侵略者のゴブリンと戦って生き残っている。


 だがそれは、ボスゴブリンが戦いに参加せずに殺した男を食べ、女を犯しているからだろう。


 何故そう思うのかと言うと、駅前の近くのビルの上から下の景色を眺めて発見したボスのゴブリンが部下に囲まれながら女性を犯しているのが見えたからだ。


 「ここから勢いよく飛び降りれば、すぐにボスゴブリンと戦えそうだけど、飛び降りて無事かどうか。」


 少し考えると、今の俺なら5階建だろうビルから飛び降りても1つの怪我もしないで着地出来そうな気がする。


 それに4つのエネルギーを身体強化に回せば着地の衝撃を受けてもそこまで酷い事にはなりそうもない。


 そう思った俺はビルの淵から離れると、一気に駆け出してビルの上から飛び降りた。


 全身に武装の全身鎧を身に着けている為、飛び降りた際に風を感じないが、それでも景色が変わるのには無事だろうと分かっていても少しだけ恐怖する。


 ズドンッ!!!


 ビルの上から飛び降りて着地した際の音で辺りが静まり返る。選ばれし者もゴブリンも戦闘を止めて俺の事を見ているのを感じながら、俺は両方の手を手刀の構えにすると【エナジーブレード】を発動させる。


 手刀に四色のエネルギー刃が纏われると、俺は女性を犯して楽しんでいたボスゴブリンの元へと、強化された身体能力を使って駆け出した。


 そして、この僅か数秒でボスゴブリンを守っていたゴブリンを切り裂き切断して斬り殺し、ゴブリンたちの陰で姿が見れなかったボスゴブリンの姿が現される。


 「ウギャ?」


 自身を守る為に集めた部下のゴブリンたちが殺され、女性を犯していたボスゴブリンは唖然としていた。


 「死ね!」


 そんな唖然として無防備なボスゴブリンを俺は一瞬で接近すると、【エナジーブレード】を纏う手でボスゴブリンの頭を抜き手で貫いた。


 ボスゴブリンの脳味噌や脳漿が、ボスゴブリンの頭蓋骨を突き破った時に犯されていた女性に飛び散るなか、俺は抜き手を引き抜いた。


 そしてこの10秒も経たない出来事の後、自分たちのボスを殺されたゴブリンたちは絶叫の様な悲鳴を上げると、ゴブリンたちはバラバラに散らばって逃走を計った。


 ゴブリンたちの逃走に、今まで戦っていた選ばれし者たちは唖然として止まった身体を動かして、逃走したゴブリンたちを追い掛け始める。


 それを見た俺は、人数は50人にも満たないがそれでも選ばれし者なのだからと次のゲートへと転移する為、どちらが侵略者の数が多いかを確認した。


 「次は鳥取県だな。」


 向かう場所の確認を終えてボスゴブリンに死んでも犯されていた女性を一瞥して転移しようとしたタイミングで、このゲート付近で侵略者のゴブリンたちと戦っていた選ばれし者の1人に声を掛けられる。


 「あの、貴方は誰なんで…………」


 だが俺は選ばれし者が最後まで話す前に鳥取県のゲートへと転移した。

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