第26話
総本山を下山し1泊した後、僕達はシャラム帝国に行くため、列車に乗って移動することにした。教国からシャラム帝国に続く列車に乗り、外を
「ジン様。シャロー王国の列車とはまた違った
「そうだね。景色がまるで違う。巡礼のシーズンになったらどうなるんだろう」
列車は道沿いを走っている。今は
「ジン。次が教国終着駅だ。降りるぞ」
「わかった。シャル、準備はいいかい?」
列車から降りて、僕は気がついた。国境線の向こう側にも駅があることを。疑問に思ったことをロンに聞いてみた。
「ロン。あそこにも駅があるのに何で線路が
「聞いた話では、関税がどうちゃらこうちゃらって言っていたな」
「なるほど」
国境に検問所を置き、物資などに関税をかけて、お互いの国の産業を守る。シャラム帝国も教国も良い政治をしている。
「ジン。今日はホテルに泊まるだろ」
「そうだけど」
「明日、ここにある孤児院を視察しないか。オレ、ここに来るの初めてだから見てみたいんだよ」
「そうなんだ。シャル、明日孤児院に行ってもいいかな?」
「はい。いいと思います。私も孤児院というものを見てみたいので」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「シスター! 早くゴハーン!」
「はいはい、いい子だから座って待っていてね」
「シスター手伝います」
「いつもありがとうね」
私は孤児院の責任者。シスターとして子供達の面倒をみていて、今すごく困っていることがある。それはこの孤児院を
「シスター、今日も嫌がらせする、オジサン達きてたね」
「心配しなくても大丈夫。神様は見ているから、あなた達はいつも通りにしていればいい」
「うん!!」
子供達は
バターン!
扉が乱暴に開き、いつもここに来る男が入ってきた。
「おう、シスター。夕飯は食べたか? 食べたら出て行ってほしいんだけど」
「何度言ったらわかるのでしょうか! あなた達には、ここは渡しません!」
「ほう、そんなこと言っていいのか? もう食料届いてないだろ。ここを
「――っ!」
「それともあれか。シスターは体を使って、メシを貰うつもりかい?」
嫌がらせはエスカレートしている。この前から私に体を使って男を慰めれば、ここも諦めてやろうかと言ってきたが信用できない。今はとにかくその場をやり過ごすしかなかった。
「あぁ、忘れてた。明日立ち退かなければ、お前らの命の保証はないぞ」
「どういうことです!」
「そのまんまの意味だ。たくさんの男達がお前たちを殺しにくる。あっ、女は強姦してからか」
私は俯いて、歯を食いしばった。
「じゃ、今日は帰る。忠告したからな」
泣きたい。泣きたいけれど、この子達の前ではできない。男が帰っていくと子供達から心配された。
「シスター大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ。ほら、早くしないとご飯冷めちゃうわよ」
「あっ」
小さい子達がテーブルにつく。
「神様にお祈りをしましょう」
小さい子達の食事が終わると、今度は私と年長組の子供達が椅子に座り、祈りを捧げる。いつも通りの光景、もしかするとこれが最後になるかもしれない。最後の
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ドンドンドン
「おい、ジン! ジン起きているか!」
「まったく、今何時だよ」
ロンが僕を起こしにきた。辺りをみると、まだ日は登っていない。
シャルの毛布を掛けなおし、仕方なくドアを開けて、ロンと話す。
「どうしたのよ」
「啓示があった。すぐに孤児院に行かないとマズイことになるらしい」
「えっ」
「悪いがタンちゃんと先に行ってくる」
「わかった」
「それとアイツも連れていく」
「アイツって?」
「エル坊だよ。この前助けた。今回のキーパーソンらしい」
「そうか。くれぐれも気をつけてね」
「あぁ」
僕は寝ぼけ
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