その後真之介 2
「でも、レイさんは、他の人と結婚したのですね。私の記憶を消されて。」
と、私はやるせない気持ちでいっぱいだった。
レイさんはそれほどまで、私の事を想っていてくれたのに、その記憶が消されている。
「レイの記憶を消すのは仕方の無い事です。貴方の事を想って結婚する事は、アンドレにも失礼な事です。」
「アンドレとレイは結婚するのですか?あの臆病者のアンドレと!」
と、私は想わず大きな声を出してしまった
それと同時に、残念な想いが駆け巡った。
「アンドレは臆病者ではありません。最後までペスタと戦いました。立派な人です。」
と、皇后はアンドレの事を褒めているが、私にはアンドレは、臆病者としか見え無い。
皇后は
「この星は、地球に比べて文明は遥かに進んでいます。でも武器の進化は全く無い。この事はこの星の誇れる文化なのです。
私達は、地球人を観察しました。
地球人は絶えず戦いを起こし、武器を進化させた。多くの人達を殺す武器を手に入れた。馬鹿げた事です。
武器の進化が文明の進歩。地球人はこの様な人達です。人を殺す為に武器を進化させる、本当に愚かで悲しい事です。
地球人は、人を殺す為に勇気を持せ、それを出来ない人を、臆病者と罵った。
人と人との争いが無ければ、その様な人を殺す勇気など必要は有りません。」
と、私を諭すかの様に話してはいるが、強い言葉でもあった。
地球人の愚かな行為を指摘され、人と人の争いを肯定している地球人を、私は恥じた。
「この星の人達は素晴らしい人達ですね。争い事が全く無いのだから。」
と、私は素直な気持ちで皇后に伝えた。
「皇后様、私はこの星で暮らす事は出来ないでしょうか?今更地球に帰ったとしても、あのような時代では私の住み場所が無いです」
と、私は皇后に、この星に住む事を懇願した。
「良いですよ。貴方は国王の側近で国王を守ってください。またペスタの様な人物が突然変異で現れるかも知れません。
その時の為の護衛です。でも、レイの記憶だけは、消させてもらいます。それでもいいので有れば、この星に残っても良いです。」
私からレイの記憶を消されてしまう。でもそれは仕方の無い事でもある。
悲しい記憶は消し去り、新たな気持ちでレイに接していけばいい。
私は、皇后の言葉に従って、レイの記憶を消した。
あの飲み物を飲んで。
完
追伸
記憶を無くした者同士、新たな恋愛に発展するならば、不倫物語が出来ますね。
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます