第23話 悲恋の始まり

28


「国王は、レイと僕の結婚を望んでいたのです。

国民も、レイと僕が結婚すると想っていたのです。

レイは、僕にこの星の至る所を案内してくれました。


遺跡や由緒ある建物や文化施設などを観光しました。

海で一緒に泳いだりしました。山にも登ったりしました。

まるで地球と同じ環境で季節も暑くも無く寒くも無い。

海の水は、ぬるま湯みたいで暖かいのです。魚も美味しかったです。地球の魚とは違う種類ですが、味は良かった。


それから二人で結婚式の用意も整え、式場も決めました。その式場はキリスト教会に似たチャペルです。

そう、二人で写真も撮りました。色の付いた写真です。」


「だったら、写真を見せて、レイさんが写っているのでしょう?」


「写真ですか〜?  う〜ん、無くしてしまったみたいです。

確か持って帰ったと思っていたのですが?

さっき、ポケットの中を探したのだけど、見つからなかった」


と、僕は残念な想いを込めて、力無く言った。


「無くしちゃったの?そう残念ね。」

と、みどりは相槌を打つ様に囁き、そして聞いてきた。


「何故、レイさんと結ばれ無かったの?」


「それは、・・・・・。」

と、私は言葉に詰まってしまった。

それと同時に悲しみが込み上げてきた。


29


私は、不覚にも涙をみどりに見せてしまった。


「如何したの?  泣いているの?

そんなにレイさんの事好きだったの?」

と、優しい声で聞いてくる。


「好きでした。お互いに好きでした!

でも・・・・・・・・。結婚を許してもらえなかったのです。」


「何で!さっきは国王も国民も喜んでいると言っていたのに。」


「理由は、私が地球人だからです。この星の人間では無いからです」


「でも、同じ身体なんでしょ?地球人とその星の人達は!」


「そうなんです。見た目は同じです。

でも、私の検査の結果判ったのです。

私とその星の人達とは全く違う生物だと云う事が判明したのです。」


「なるほど。地球人とは、違うわね。

どこが違ったの?身体の構造は同じでしょう?

DNAが違うのかな?」

と、みどりは私の知らない事を言ってきた。


「解った事は、その星の人達には無いものを、私は持っているのです。私だけでは無いのです。地球人、全員が持っているのです」


「何、それは?私も持っているの!?」と、みどりは疑いの気持ちを持っているのか、真剣な表情で聞いてきた。


「そうです。地球人全員が持っていると、言われました。」


「何よ、それは!」


「それは、上手く説明出来ないのだけど、人を憎しんだり、騙したり、人を殺したり、もっと大きく言えば戦争を起こす、そう云う心です」


「ちょっと待ってよ、しんちゃん。その星の人達は、憎しみがないの?人を騙したりしないの?

戦争はした事が無いとは聞いていたけど、そんな悪い心の無い人達なの?  考えられないわ そんな事!」


と、みどりは強く言ってきた。







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