第23話 悲恋の始まり
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「国王は、レイと僕の結婚を望んでいたのです。
国民も、レイと僕が結婚すると想っていたのです。
レイは、僕にこの星の至る所を案内してくれました。
遺跡や由緒ある建物や文化施設などを観光しました。
海で一緒に泳いだりしました。山にも登ったりしました。
まるで地球と同じ環境で季節も暑くも無く寒くも無い。
海の水は、ぬるま湯みたいで暖かいのです。魚も美味しかったです。地球の魚とは違う種類ですが、味は良かった。
それから二人で結婚式の用意も整え、式場も決めました。その式場はキリスト教会に似たチャペルです。
そう、二人で写真も撮りました。色の付いた写真です。」
「だったら、写真を見せて、レイさんが写っているのでしょう?」
「写真ですか〜? う〜ん、無くしてしまったみたいです。
確か持って帰ったと思っていたのですが?
さっき、ポケットの中を探したのだけど、見つからなかった」
と、僕は残念な想いを込めて、力無く言った。
「無くしちゃったの?そう残念ね。」
と、みどりは相槌を打つ様に囁き、そして聞いてきた。
「何故、レイさんと結ばれ無かったの?」
「それは、・・・・・。」
と、私は言葉に詰まってしまった。
それと同時に悲しみが込み上げてきた。
29
私は、不覚にも涙をみどりに見せてしまった。
「如何したの? 泣いているの?
そんなにレイさんの事好きだったの?」
と、優しい声で聞いてくる。
「好きでした。お互いに好きでした!
でも・・・・・・・・。結婚を許してもらえなかったのです。」
「何で!さっきは国王も国民も喜んでいると言っていたのに。」
「理由は、私が地球人だからです。この星の人間では無いからです」
「でも、同じ身体なんでしょ?地球人とその星の人達は!」
「そうなんです。見た目は同じです。
でも、私の検査の結果判ったのです。
私とその星の人達とは全く違う生物だと云う事が判明したのです。」
「なるほど。地球人とは、違うわね。
どこが違ったの?身体の構造は同じでしょう?
DNAが違うのかな?」
と、みどりは私の知らない事を言ってきた。
「解った事は、その星の人達には無いものを、私は持っているのです。私だけでは無いのです。地球人、全員が持っているのです」
「何、それは?私も持っているの!?」と、みどりは疑いの気持ちを持っているのか、真剣な表情で聞いてきた。
「そうです。地球人全員が持っていると、言われました。」
「何よ、それは!」
「それは、上手く説明出来ないのだけど、人を憎しんだり、騙したり、人を殺したり、もっと大きく言えば戦争を起こす、そう云う心です」
「ちょっと待ってよ、しんちゃん。その星の人達は、憎しみがないの?人を騙したりしないの?
戦争はした事が無いとは聞いていたけど、そんな悪い心の無い人達なの? 考えられないわ そんな事!」
と、みどりは強く言ってきた。
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