第22話 武士の心得

26


「ペスタが僕に向かって言ってきたのです。

『お前か!私の部下のアンドレの目に怪我させた男は!

お前は何者だ!聞く所によれば、地球人と言うことだが、

それは誠か?それならこの星に用は無いだろう!

早く帰れ!』

と、どなってきたんだ。」


「時刻に送れて、謝りもしないなんて、最低ね。」


「そうなんだけど、僕は言い返したんだ。

『お前こそ、動物園に帰れ!』って言ってやったんだ。

そうしたら、ペスタの奴、激怒したんだ。

その言葉は、禁句だったみたいで、ペスタの逆鱗に触れたんだ。


『おのれ、殺してやる!』と言って長い槍みたいな棍棒を取って

僕に向かって来たんだ。

僕は、木刀を持っているんだけど、相手の方が長いので

不利に感じたんだ。」


「そうなの。槍の方が有利なのね?それからどうなったの?」


「それから、お互い間合いを測って睨み合ったんだ。

ペスタの目を観ていて殺気を含んでいると思ったんだ。

この星では見た事が無い眼光。

久しぶりに見た想いがして、私は本気の戦いが出来る事を、

何故か嬉しく思えたんだ」


「嬉しく思えたって、何でよ。負けたら死ぬのよ!」


「戦いとは、負ければ死を覚悟しないといけない。

これこそ、武士の戦いだ!と、初めての経験だった。

だから、嬉しく感じたんだ!」


「武士って、不思議な人がなるのね。しんちゃんも武士なのね」


と、感心しているのか、僕の顔を見つめてくる。

27


「ジリジリとした、睨み合いの後、仕掛けてきたのは、ペスタだった。僕に向かって突きを入れてきたんだ

だけど、その突きの甘い事。ペスタは剣術の稽古はして無いみたいで、まるっきり素人だった。

僕はその突きをかわして、ペスタの懐に入って

思い切り、抜き胴を打ち込んだんだ。

ペスタの腹にまともに入ったんだけど、真剣で無い為、切る事は出来なかったんだ。

ペスタは痛がって泣いているんだ。

『痛い、痛い』と言って泣いているんだ!

情け無い男だ、こいつも臆病者だ!

多くの観衆から歓声が響いてきたんだ。

ペスタが負けた事に皆んな喜んこんでいるんだ!


国王も皇后も、レイも皆んな喜こんでいるんだ。

驚いた事に、敵側のアンドレも喜こんでいるんだ!


ペスタは捕縛され牢屋に入れらて、この事件は解決したんだ」


「しんちゃん、強い!勝ったのね。祝杯よ。

もっと飲んで。」

と、お猪口に注いでくるが、みどりはコップを店員に持って来てもらった。

「お猪口では、何回も注ぐのめんどうだから、コップで飲んでんね。」

と、親切である。

「それからどうなったの?

レイさんと、結婚できたの?」

と、みどりの目が色っぽく潤んでいる。


「結婚できたら、此処に居ないですよ!

これからは、悲恋の物語ですよ。」


「そう、悲恋なのね〜。」と、感慨深い様な言い方だが、本心では無いように聞こえる。



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