第15話 平和ボケ

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「と、いう事で、私は二代目の将軍に抜擢されたのです。

私は国王に直ぐに兵士を集めて欲しいとお願いしたのです。


国王は号令を発して、兵士を集めたのですが、ビックリでした。」


「何で、びっくりしたの?」


「全員、勇敢な感じでは無く、無気力で嫌嫌してるみたいで、

それに臆病丸出しで!


私達会津藩の人達は、子供でも勇者でした。

高い理想を掲げて立派に戦った人達でした。

それに比べて、この星の人達の目は、どんよりと濁っていた。

これでは、勝てないと直感しました。」


「そうなの。戦争も無い星だもの、皆んな平和ボケなのよ」

と、みどりが訳の解らない言葉を発した。


………平和ボケ。平和だと人はボケるのか?未来の人達は皆んなボケて居るのか……

と、思っている私に、みどりはさらに聞いてくる。


「そんな臆病な人達を兵士にして、勝てるの?」


「勝てるのか?と聞かれると、自信は無かったのですが、

もしかすると、相手の軍の兵士も臆病者かも知れない!

と、想ったのです。

兵法に(敵を知り己を知れば、100戦危うきに近づかず)と云う

諺が有ります。私は先ずは相手の様子を知りたいと

思いました。それで、私は国王に聞いたのです。

『敵の兵士は、どの様な人達ですか?』と、

すると国王が、この言葉を不思議に思ったのか、

この様に言ってきたのです。

『どの様な人って言われても、皆あの様な人達ですが?

と、言うか この国の兵士達は可笑しいのでしょうか?』

逆に質問されたのです!」 


「じゃ、みんな臆病者ばかりなんだ!それで、どう答えたの?」


と、みどりは何か黒い羊羹の様な物を口に含んでいる。


「これ、何という食べ物ですか?羊羹ですか?」


「羊羹では無いわ。コーヒーゼリーよ。デザートなの」


と、私の知らない言葉を発した後、みどりは

「ねえ、それからどうしたの?」

と、また聞いてきた。


「私は国王の言葉を聞いて、何もいう事が出来なかったのですが。

『ペスタに私が直接会う事できますか?』と、聞いてみたんだ。」


すると、国王がタメ口で言ってきたのです。

全く、国王の威厳を感じさせる話し方ではなかったのです。


「『会えるかと聞かれても、解らないけど、レイがペスタに逢いたいと言えば会えるのでは無いかな。

会ってどうするの?何を話すのですか?』」と、


私は国王に向かって言ったのです。


「私が感じた事を言いますね。先程のドンメルの言葉でも解る様に、この国の人達は本当に戦争をしたい、と想っているのでしょうか?

兵士の目を見たら、『戦争などしたく無い』と言っているに感じました。ペスタの兵士も同じ考えならば、私とペスタの[果たし合い]で決着をつければ良いと思うのですが、国王はどの様に思いますか?」


『確かに!でも、ペスタがその[果たし合い]に臨んでくるでしょうか?

また、ペスタは強いですよ。貴方に勝てますか?』


と、疑いの目で僕を見つめてくるんだ。そうしたらレイが国王に向かって、

『真之介さんは強いです。ペスタにも負けません』

と、言うんだ。」


「しんちゃん、そんなに強いの?そんな風に見えないけど」

と、ゼリーを口に含んだまま、みどりは聞いてくる。

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