第14話 ドンメル将軍

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「兵力の差は歴然で、これでは勝負になりませんね。

と、ドンメル将軍に聞いたのです。そうしたら、ドンメル将軍がこの様に言ったのです。

『確かに兵力では、劣ってはいますが、こちらには国王を護ると言う強い意志と団結があります。決して負けるとは思えません』

と、立派な事を言うのです。

でも、その言葉とは裏腹に震えているのです。

国王の前で緊張していたのか?とも思いましたが、

後で解ったのですが、ドンメル将軍は臆病者だったのです。」


「え〜。そんな臆病な人が、将軍?  そんな事信じられない!」


「これも、後で解ったのですが、この星の人達は皆んな臆病者ばかりなのです。男は皆んな臆病者でした。」


「だから、最初に釣り針の刺さった男の人、泣いて逃げて行ったんだ! 

納得したわ。」


「それにです、もっと不思議な事が有るのです。」


と、私は刺身のつまの大根の千切りを食べながら、お酒を飲んだ。


「不思議な事って?」


「この星には武器がある事は有るのですが、飛び道具が無いのです。

鉄砲とか弓矢の様な物が無いのです」


「そりゃ無いでしょ。空飛ぶ円盤を造るぐらいの高度な文明を持った星が、

弓矢や鉄砲なんて持たないでしょ。

ミサイルやレザービーム、それ以上の武器を持っているはずですよ

しんちゃんは昔の人だから、知らないだけよ。」


と、みどりもおちょこで日本酒を飲んでいる。

みどりは、酒に強いみたいで、表情に変化は無い。

と、言うよりも、厚化粧の為、顔色の変化に気付き難い。


「ところが、その様な武器も無いんですよ」

と、私は自慢気に言ってやった。そして更に


「私はドンメル将軍に聞いたのです。『この星の武器は、どの様な物が有りますか?』と、そしたらですね、棍棒の様な物を出してきたんです。

『これだけですか?』と私は不思議に思って聞いたのです。


『もっと長いのも有りますが、これしか無いです』

と、言うんです。


『飛び道具はないのですか?』と聞いたら、ドンメル将軍は


『飛び道具?そんな物聞いたこと無いです!』

と言うんです。

みどりさんはどう思いますか?

ドンメル将軍の言葉、信じられますか?」


「信じられ無いけど・・・。信じる以外無いでしょ!」

と、少しむくれがちに言った。


私は少し優越感を持ちながら更に続けた。


「『飛び道具が無くて!この武器で戦うのですか?』

と、ドンメル将軍に聞くと、

『昔から、この武器しか無かったです。と云うよりも争いが無かったから、必要が無いです。

この棍棒で叩かれたら痛いですよ。

打ちどころが悪かったら死んでしまいます』

と、軍人とは思えない言葉に、私は反応して聞いたのです。


『貴方はいつから将軍になったのですか』と、

驚いた言葉が返ってきたのです。それは、


『いつからと言われても困るのですが、なる人が居なかったので、

くじ引きで決めたのです。だってこの星で、戦争何て今まで無かったんですよ。

国王さえ、デスラの言う事を聞いて娘をデスラに嫁がせれば、何も起こらなかったのに!』

と、云うです。

可笑しいでしょ。さっきは国王を護ると言っておきながら、

反対の事を云う。

私はこのドンメル将軍を信じる事ができなくなったのです。


その場所にいた国王も、ドンメルに申し訳無いと云う表情だったのですが、レイは怒ってました。

そしてレイが言ったのです。ドンメルに

『貴方が将軍の座を降りたいのなる降りなさい。真之介さんが

将軍を引き受けてくれるわ』

って、私の了解も取らずに、勝手に決めて、強い口調で言ったのです。

『嬉しいです。変わって頂けるにですか?』と、ドンメルには何のプライドも無いです。

そう云う経緯で私が、将軍になったのです。」


「しんちゃん。凄いわ、その歳で将軍何て、尊敬しちゃうわ。

で、それからどうなったの?」







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