第10話 娘の苦悩
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「私も、レイは気立ても良いし、好きになっていたのですが、
少し変な人なのです。」
「変って何よ?どこが変なのよ!」
と、みどりは自分が「変」と言われたみたいに聞いてきた。
「だって、何も食べないのですよ。ハバカリにも行かないし。
綺麗な人だけど、日本人には見えないし。
それに、『星に帰る』とか言うんですよ。
変でしょ!」
「たしかに」
と、頷きながら、みどりは寿司を食べている。
「それで、聞いてみたのですレイに。『これからどうするの?
此処で暮らすの?』と、
レイは下を見て言ったのです。
『此処に居る事はできない。帰らないとお父様が大変な目に遭う。
直ぐにでも帰らないと!でも、帰ると・・・。』
と、言葉を詰まらせて涙を見せるのです。」
「解るわ、その気持ち。私には良い人いないけど、女として解るはわ。」
と、感慨深く言ってきた。
でも、この言葉は、みどりに恋人がいない宣言でもあった。
「で、それからどうなったの?」
と、追求が止まない。
私は、おちょこを、口に運びながら、
「レイの泣く姿を見て、私は思ったのです。レイをお嫁さんにしようと。その事をレイに言ったら、レイは『嬉しいけどそれは、出来ません。私が帰らないと、星が大変な事になるのです!』
今度は、強い口調で言うのです。怒ってるみたいに。」
「なんで怒るのよ、可笑しくない?さっきは帰りたく無いって
言っていたのに。女心は複雑だわ」
と、みどりは不思議そうに言ってビールを飲んだ。
「それで、僕はレイに聞いたのですよ『じゃ、どうすれば良いの?』と。
そうしたら、レイが言ったのです。
『私の星に真之介さんに、来ていただきたいのです』
と、さらにレイは言うのです。
『貴方は勇敢な人です。星に来て悪い奴らを退治してください。』」
「勇敢って、しんちゃん強いの?あまり強そうには見えないけど。」
と、みどりは馬鹿にする様な言い方したが、私はその言葉を気にする事なく話を続けた。
「『星って、何処にあるのですか?悪い奴を退治するって何ですか?』
と、レイに聞いたとき、レイはこの様に言ったのです
『私達の星に行くのは、私の来た円盤で行けば直ぐに着きます。
実は、貴方が最初にやっつけた男は、敵の者です
私を狙って、星から追いかけて来ました。その男を一撃で貴方は退治した。その腕を私は信じたいのです。
お願い!私達を救ってください。』
と、レイは懇願してくるのです。
私は父から教わって来た事があります。
『真之介を頼って来た人には、たとえ自分が不利な状況であっても
助けるのだ』と。
私は父の言葉を思い出し、レイの希望を聞いたのです。」
「偉いわ、しんちゃん。流石、私が見込んだだけあるわね」
と、今度は、おだててきた。
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