第10話 娘の苦悩

9


「私も、レイは気立ても良いし、好きになっていたのですが、

少し変な人なのです。」


「変って何よ?どこが変なのよ!」


と、みどりは自分が「変」と言われたみたいに聞いてきた。


「だって、何も食べないのですよ。ハバカリにも行かないし。

綺麗な人だけど、日本人には見えないし。

それに、『星に帰る』とか言うんですよ。

変でしょ!」


「たしかに」

と、頷きながら、みどりは寿司を食べている。


「それで、聞いてみたのですレイに。『これからどうするの?

此処で暮らすの?』と、

レイは下を見て言ったのです。

『此処に居る事はできない。帰らないとお父様が大変な目に遭う。

直ぐにでも帰らないと!でも、帰ると・・・。』

と、言葉を詰まらせて涙を見せるのです。」


「解るわ、その気持ち。私には良い人いないけど、女として解るはわ。」

と、感慨深く言ってきた。

でも、この言葉は、みどりに恋人がいない宣言でもあった。


「で、それからどうなったの?」

と、追求が止まない。


私は、おちょこを、口に運びながら、


「レイの泣く姿を見て、私は思ったのです。レイをお嫁さんにしようと。その事をレイに言ったら、レイは『嬉しいけどそれは、出来ません。私が帰らないと、星が大変な事になるのです!』

今度は、強い口調で言うのです。怒ってるみたいに。」


「なんで怒るのよ、可笑しくない?さっきは帰りたく無いって

言っていたのに。女心は複雑だわ」

と、みどりは不思議そうに言ってビールを飲んだ。


「それで、僕はレイに聞いたのですよ『じゃ、どうすれば良いの?』と。

そうしたら、レイが言ったのです。

『私の星に真之介さんに、来ていただきたいのです』

と、さらにレイは言うのです。

『貴方は勇敢な人です。星に来て悪い奴らを退治してください。』」


「勇敢って、しんちゃん強いの?あまり強そうには見えないけど。」

と、みどりは馬鹿にする様な言い方したが、私はその言葉を気にする事なく話を続けた。


「『星って、何処にあるのですか?悪い奴を退治するって何ですか?』

と、レイに聞いたとき、レイはこの様に言ったのです

『私達の星に行くのは、私の来た円盤で行けば直ぐに着きます。

実は、貴方が最初にやっつけた男は、敵の者です

私を狙って、星から追いかけて来ました。その男を一撃で貴方は退治した。その腕を私は信じたいのです。

お願い!私達を救ってください。』

と、レイは懇願してくるのです。


私は父から教わって来た事があります。

『真之介を頼って来た人には、たとえ自分が不利な状況であっても

助けるのだ』と。

私は父の言葉を思い出し、レイの希望を聞いたのです。」


「偉いわ、しんちゃん。流石、私が見込んだだけあるわね」

と、今度は、おだててきた。


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