第28話 涙の最終回

39


何故、その教会にレイが来ているのか解らなかったが、

僕は、その教会に向かって走って行った。


教会の前には多くの人達が、

祝福をするかの様に集まっていた。

………何、結婚式でもやってるの?……と想っていた所に

教会の扉が開けられた。


扉が開いて出てきたレイは、偽りの花嫁だった。

頬をこわばらせ、僕の方向をチラッと見た。


これは、レイの結婚式か!

レイは、他の男と結婚するのか?!

と、想った時に、またもや、大粒の涙が溢れ出した。


泣きながらレイのところに向かって行った。

花吹雪舞う道で転げてしまったが、僕は転げながらも歩き続けた。

そして、やっとの想いでレイの側に行った。


「レイ!」と、大声で叫んだ。

だが、レイは・・・・・・


40


何も表情を変える事も無く、レイは、僕に聞いてきた


「貴方はどちら様ですか?初めてお会いするのですが!」

と。

レイの記憶は消されていたのだ!




僕は、これからどうすれば良いのか?


僕は、本当の玉手箱が欲しくなった。

記憶を取り戻す玉手箱では無く、いっぺんに歳を取る本物の玉手箱が、・・・・



         

     完






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