第27話 鳳凰?!

37


蓋に書いてある絵が動き出したのだ。

まるで生きているかの様に、動き出したのだ!


僕は、驚いているのだが、恐怖心は無かった。

不思議な想いでその絵を観ていた。

すると、その鳳凰は、蓋から飛び出してきた!

しかも、絵に描いてある大きさよりも、数倍大きくなった出てきたのだ!

もっと驚いたのは、僕に話かけてきたのだ!


「こんにちは、じゃ無かった。こんばんは!ご主人様。

お呼びになりましたか?」


と、律儀に呼び方を訂正して、挨拶をしてくれた。

しかも、私がその鳳凰の主人みたいだ。

僕は、恐る恐る言ってみた。


「君は、僕を助けてくれるの?」

と、厚かましく聞いてみた。


「当たり前です。私は貴方の家来です。ご主人様、何でもお望みをお聞きします。ただし一回だけです。

私は一回だけしか契約していません。」

と、私の家来と言っておきながら、一回の契約と言っている。


「ごめんなさい。間違えてしまいました」

と、突然謝ってきた。


「何を間違えたのですか?」

と、ちょっと不安になって鳳凰に聞いた。

38


「私のご主人様は、貴方では無く、レイ様でした。

御用件も既にお聞きしております。私の背中にお乗り下さい。

背中に乗って頂ければ、私の胎内に入る事が出来ます。」


と、意味が判らないと想ってはいたが、私は指示通りにその言葉に従った。

すると、不思議な事に吸い込まれるように、鳳凰の胎内の中に、

入って行った。


「それでは、ご主人様、出発します。・・・訂正します。

ご主人様はレイ様でした。

今からレイ様の所にお連れします。」


レイ様の所へ連れて行くだと!

また、私はレイの元へ行くのか❓❗️


と、驚きと不安を抱えながら、僕は鳳凰の胎内にいたが、

先程の酒が残っているのか、僕は寝てしまった。


「着きましたよ。いつまで寝てるのですか?

こんなお客様、初めてです。皆さん、私の運転では不安に思うのか、寝る人などいませんよ。地球の人って度胸がいいですね。」

と、褒められたのか、貶されたのか、判らない事を言ってきた。

ただ、聞き捨てのならない言葉を発してきたので尋ねみた。


「みんな、不安に思うって言ったけど、どう言うことですか?」

鳳凰はその質問に少しビックリしたのか、この様に言った。


「私の口からは言えませんが、時々事故をしてしまうのです。

この鳳凰の乗り物はスピードは出るのですが、安全性が低いのです。だから、事故が多いのです。今日、上手く飛べました。」

私の口からは言えないと言いながら、本心を語ってくれた。

「あの〜。事故に遭ったらどうなりますか?」

と、僕は遠慮がちに、不安いっぱいで聞いてみた。


「もちろん、死んでしまいますよ。当然、私も死にますが、私の場合は、不死鳥なので、蘇りますよ。死ぬのはお客様だけです」

と、平然と、何も悪びれる様子も無く答えるその生き物に

私は、恐れを抱いた。


「あそこにレイ様がいます。」と、生き物は、翼で指差す様に伝てくれた。

翼の方向を見ると、チャペルが見える。

レイと結婚する時に、あの教会でしようと約束した場所である。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る