第17話果たし合いの準備

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私は、みどりの言葉を無視して話を続けた。


「私は、ペスタに興味を持ったのです。どの様な人物か?

薩長の様な人物ならば、生かしては置けぬと思ったのです。」


すると、みどりは不思議そうに、

「さっきから、サッチョウって言っているけど、誰なの?

有名な人なの?」

と、聞いてきた。


みどりは、歴史を学んでいないみたいだ。

もしかすると、未来では歴史を学んでいないのかも知れない。


薩長の事を説明すると長くなるので、私はみどりの質問を無視して

話を続けた。


「国王が言うには、

『果たし合いをするからには、必ず勝ってもらはないと困る。娘をペスタの嫁になど、絶対に出来ない。

勝てる自信はあるのですか?彼はこの国では、最強者です。

誰も太刀打ち出来ずにみんな降参してしまった。

此処に残った者達もいつ降参してあちら側に寝返るか解らない。

その事を思うと不安で夜も眠れない状態です』


と、不安そうに、私に言うのです。」


『私は、国王に向かって、勝負は時の運です。

必ず勝てるとは言いませんが、強者を見て闘わずして降参など、

私はしません。

この国の最強者と言いましたが、どれくらい強いのですか?


此処にいる兵士の中で一番強いのは、誰ですか?』


と、私は国王に聞いてみたんだ」


「で、誰が一番強いの?しんちゃんの兵士の中で」


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「国王が言うには、

『よくは解らないけど、強いて言えば、先程のドンメル将軍だと想うよ』

と、言ってきたので、僕は言ったんだ。

『ドンメル将軍と、稽古させて欲しい』

と、そして、ドンメル将軍と稽古する事になったんだ」



「ところで、しんちゃん。ドンメル将軍ってどんな人なの?」


「ドンメル将軍は、身体の大きさは、僕よりも大きくて、頑丈そうに見える。顔も顎髭を生やしていて一見怖くて強そうな感じ。

でも、・・・・・。

ドンメル将軍は、僕との稽古を嫌がっていたんだ!

でも、国王に説得されて、渋々応じてきたんだ。」


「それから、どうなったの?」

みどりの目が輝きを増している。


「僕たち二人は、広場の所に行って、稽古したんだ。

此処には、道場も無いみたいで、兵士の訓練は此処ですると言っていたんだが、実際は此処で訓練した事は無かったみたいだ。

みんなでボールを蹴って遊んでいたらしい。」


「そこでみんなは、サッカーしてたの?」

と、聞かれたがサッカーなど初めて聞く言葉である。


作家なら、ボーンと言う人を知ってはいるが、

売れて無いらしい。

そんな事はさて置き、私は話を続けた。


「僕はドンメル将軍と木刀を持って立ち合ったのです。

此処には剣道の防具は無くて、柔らかい木刀で稽古するんです。

本物の硬い木刀は戦の時に使うのだけど、戦は一度も行った事は無いと、兵士達は言ってました。


ドンメル将軍は正眼の構えで、睨んできたのですが、

目に全く、殺気を感じ無い。

強者かどうかは、目を見れば解ります。

全く、戦う意志が感じられない。

私も正眼に構えて、睨み付けました。

すると、ドンメル将軍は、腰を引いたので、隙ありと想って

面を打ったのです。

勝負はあっと言う間に、終わりました。

兵士達は、みんなビックリしていたのです。

私の剣の素早さに。

目にも止まる事も無かったと言ってました。」


「凄いわね。しんちゃん。で、それからどうなったの?」



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