第34話
死なないことがわかったとはいえ。このままではボスとの実力差が大きいことは明白。
とりあえず一旦作戦を考える……そして四強の方々と話さないと。
仲間割れしてたら元も子もない。この際協力して倒すことが最優先。手柄? いやいや、配信してるんだから俺が一番活躍して、それを見せればいい話だろ?
俺は敵の隙を伺い、どうにか4強の人たちのところへ行く。
「トゥポウさんたちはどうなったんですか?」
『もう戦闘には戻れないね。ルール上そうなってるんだ。あとは4組』
なるほどなるほど……。去年は4強でようやくボスを倒した、そして今年は四強ではボスを倒せるのか怪しいと。
そんな中一組脱落ね。……ふーん。終わったわ♪
「どうすれば?」
『どうすれば……って言われてもやるしかないんじゃないの? まぁ……私達が敵を引きつけようか』
メアリーさん……!
『まぁ生憎スナクも習も戦闘にはそこまで役立つわけではないからなぁ。……もちろん常人の何千倍は強いが。せいぜいD+……くらいになるんじゃないか?』
「なら……! なら無理なんじゃ……!?」
『まぁ落ち着け。私達が前回苦戦した理由を教えてやろう。それはだな、手柄を奪い合ったからだ』
……うん? たしかにわれこそが1位! っていうのはわかるけど。だからといって手柄の取りあい……!?
『そう。われこそが一番、という考えのもと動いていたからなんだ。けど今回はそんな事できないだろ?』
「……はい」
『だからこそお主らにも協力してもらいたいのじゃ』
なるほど。つまり今回は四強の人たちでも1つレベルがちがうって思っているわけだ。
ということは、はなから単独撃破は諦めている。
「いいでしょう。どういう感じに動けばいいんですか?」
『そうだな……私が個人的な考えを述べるとするならであるが……お主。氷の奴。お前の実力が一番上と見た』
『メアリーさん!?』
習さんが慌ててメアリーさんに対してツッコミを入れる。
そりゃあそうだ、こんな新参に手柄を取られるどころか自分よりも実力が上だと思われてるってことだから。
もしも俺がその立場であったら絶対におかしいと思っているはずだ。
『まぁ聞け。習よ、まずこの大会、最初にここに到達したのは誰であったか?』
『……氷の奴らです』
『そうだな? そしてそれ以外は私達四強しかここまでこれておらぬ。つまり、氷の奴らは私達と同等、もしくはそれ以上の実力を持っているということだ』
『……』
メアリーさんが的確に反論していく。
俺、最初はメアリーさんのことあんまり快く思っていなかったんだけど、なんかだんだんいい人になってきたような気がする。
「……レン君。なんかめっちゃ褒められてないか?」
「……そうですよね、意外です……」
星斗さんも、このことに驚きを覚えているみたいだ。
そりゃあそう。前回の大会ではメアリーさんたちの横暴な姿が実は裏では目立っていたらしい。
『ということで作戦はこうじゃ』
メアリーさんの作戦発表会議が始まる。
この会議の行方によっては――俺が最強の一角に入れるかもしれねぇってことだよな。
さて……。世界を反転させにいこうか。
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