第22話

下に降りてみると、廉也君とお義母さんがふたりで料理を作っていた。


……えっふたり!? 私の家にきたとき手伝うって言ってたの料理できるからなの!?


いやこれ私が申し訳ないやつだよね? ふたりに準備させて止めてもらう立場の私がなにもせずにいるなんて。


「廉也君、私もなにか手伝う……」


「雫さんは座っててください! 前回俺がお邪魔したときは雫さんが全部してくれましたし!」


「……は、はいぃ……」


……引き下がらされてしまった。前回のお返しとか言ってるけど。


まぁいいか。それならそれで。私は廉也君の配信がちゃんと切れてるか見てあげないと……。


と、廉也君たちが食事を作ってくれるのを待つこと15分。


「できたよー!!」


という廉也君の声で、食卓には鍋が並べられた。


……モツ鍋……。美味しいやつなんだよねぇ。ジュルリ


少しして遥ちゃんも降りてきて、4人で食卓を囲むことになった。


「いただきます!!」


「「「いただきます!」」」


みんなで挨拶をして同じ鍋をつついて食べていく。私一人部外者みたいだけど。


そんなの気にしてちゃ美味しいものも食べられないよね、よし食べるぞー!!




そして食べ終わったあとに気づいたの。これ、廉也君とおんなじ鍋をつついてたってことじゃん……?


ってことはさ。


 間接キスしてたってことだよねーーーー!!!!!!!!!!


やばい。やばい。死んじゃう。幸せすぎて死んじゃう。どうしよ。


……いいや。これを栄養にして生きて行こ。10年くらい。






________






そして寝る時間になった。なんだかんだ廉也君のお母さんと遥ちゃんと廉也君のいいところを言うっていう公開羞恥プレイをして、めちゃめちゃ楽しかった。


廉也君が顔を赤くしながらこっちに耳を傾けてたから、その顔を見れただけで私も恥ずかしい思いをしただけあるよね。


「お義母さん、廉也君、おやすみなさい」


 そう言って、私は遥ちゃんと一緒に部屋に行こうと――


「雫さん」


廉也君に呼び止められた。


「――おやすみなさい。また明日」


「うん、おやすみ。廉也君」






________






「あーーー!!! 心臓バックバクなんだけど!? 遥ちゃん!! これって脈ありなのかな!?」


廉也くんからおやすみ、って言ってもらえたあとの遥ちゃんの部屋。


ほんっとにびっくりした。まさか、まさか廉也君の方から言ってくれるなんて。


あーやばい! 涙出てきそう……


「……脈、ありそうじゃなかった?」


「だよねだよね!? そう思うよね!?」


「……うん。まぁけど私もう眠いから寝るね」


遥ちゃんは不機嫌そうにそういった後、すぐに寝る体勢に入ってしまった。


あ、おやすみ……じゃなくて。


「遥ちゃん。1つ、いいかな?」


私は、遥ちゃんにどうしても話さないといけないことがあるんだ。


「……なに?」


「ねぇ、遥ちゃん。私さ、この家に入って、それと遥ちゃんと顔色を見ててわかったんだよね。君はさ、――体温上昇病、だよね?」


「………」


やっぱりそうだったんだ。なんかしんどそうにしてたからもしかしたらって思ってたけど。


「ねぇ、遥ちゃ――」


「悪いですか!! 私が! 体温上昇病にかかってて! 何が悪いんですか!!」


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