彼の飛躍はとまらない

第21話 sideレイア、改め雫

「レイアさん、ほんとに俺の家に来るのでいいんですよね??」


「推しの家……はうっ!?♡」


 ……まだ頭お花畑状態終わらないのかよ……


 まぁけど配信切ったし。このまんま家に連れ込んでも誰も文句は言わない気がする。


 ……なら、そうするか? というかそうするしかねぇだろ! そうと決まれば! しゅっぱーつ!!!





 ________





 ちゃんと家にレイアさんを連れて行く連絡を入れて、頭がお花畑なレイアさんを連れて歩くこと20分。ついに俺の家に着いた。


 俺の家は一軒家。お父さんが残してくれた形見だ。この家に、俺と妹とお母さんと3人で住んでいる。


「レイアさーん。つきましたよー」


「ここが……! レン君の家…!! ……ふぅ……。落ち着いたよ、さっ入ろ?」


 ……えっ!? なんか急に落ち着いたな!? いや一体全体どうしたんだ……


 まぁそれはいいとして。俺も2日? 3日? ぶりに家にかえるわけだし。気合い入れて行かないと!!


 ということで顔を一回ペチンと叩いて、俺は家の鍵を開けて中に入る。


「ただいまー!! あ、レイアさんは靴そこら辺に置いといて?」


「わかりましたっ!! 完璧に1ミリのずれなく揃えさせていただきますっ!!」


 今度は軍隊の人みたいになったレイアさん。もう驚かないぞ?? ……驚かないからな!?


 そうして完璧に靴を揃えたレイアさんとともに、俺は3日ぶりの帰還を果たしたのだった……!






 ________







「さぁレイアさん、中にはいってください?

 ――あ、少し部屋寒いかもなので注意してくださいね」


 好きな人の家。それも突然押しかけるってことで変なテンションを装ってた私だけど、実はなかなか緊張していた。


 だから、足が止まっていた私を促す声が聞こえてやっと部屋の中に足を踏み入れ――


 ――寒っ!?


 いや、さっきレン君が忠告してくれてたけど。想像以上に寒かったぁ……


 すると、部屋の中にはレン君のお母さんと思われる人が。


 あ、やっぱり顔が整ってる。レン君に似てる。


 ……って違ーう!! そんな事を考えてる場合じゃなくて、挨拶だよ挨拶!


 私の将来のお義母さんになるはずの人と義妹になる人なんだから! 気が早いかもだけど!


「こんにちは……。私、レン君に助けていただいた、配信者をしているレイアという者です……。今晩は突然押しかけてしまい申し訳ありません…!」


 大丈夫だよね!? ちゃんと挨拶できてるよね!? 無礼!! とか言われて追い出されたりしないよね!?


「あら、廉也から話は聞いてますよ。あの有名配信者さんの……。こちらこそ、ようこそおいでくださいましたね。」


「母さん……!! 俺まだレイアさんに名前伝えてなかったんだよ……」


 ……そう返事をしたのはレン君のお母さん。少し長い髪、若そうで、澄んだ青色をした目の色。


 ていうかさ、えっレン君廉也って言うの!? ……私今まで知らなかったんだけど!?


 そう言えば名前聞かされてないし教えてないね!? 廉也君……かっこいい……。


「あら、そうだったのね? ちなみにレイアさんはなんていうのかしら? 私は息子の友達の秘密をバラしたりなんかしないので安心してね? けど、家に泊めるには名前くらいは知っておきたいのよ?」


 そうだよね、たしかに本名を知らない人を泊めるのは私も抵抗あるし……


 教えるべきかなぁ……いや、教えないと。教えることで廉也君ともっと仲良くなるチャーンス!


「はい、私はひいらぎ しずくっていいます。」


「まぁ雫ちゃん! 可愛い名前ね、廉也もそう思わない??」


「……ま、まぁ……?」


 ふふっ。廉也君少し照れてる? かわいい。


「よし、じゃあ名前も知れたことだし。今日はどうぞ泊まっていってくださいな? 部屋は遥――廉也の妹の部屋を使ってくれていいからね? 許可は取ってあるし。」


「……わ、わかりました……」


 廉也君の妹さん……。どんな人なんだろう……すっごい気になるなぁ……?





 ________






 えーっと、遥ちゃんの部屋は二階の角の部屋……っと。


 あ、ここっぽいね? 電気漏れ出てるし。


 コンコンコン。


「だれ?」


「こんにちは、今日泊まらせていただくレイア――いや、雫という者です」


「……どうぞ」


 中に入ると、廉也くんに似てる、けれども少し違う顔が。


 ……ねぇかわいいじゃん。あと、やっぱりこの部屋も寒いんだね。


「遥ちゃん。今日は突然押しかけてごめんね? 一晩よろしくお願いします」


「……まぁそこら辺に荷物置いたらどうですかね? ご飯ももうすぐですし」


 ……冷たい。急に来た部外者に対しては当然の反応かもしれないけど。冷たいし、何か怠そう。


 これじゃあ取っ掛かりがないかなぁ……。もしかしたら廉也君を落とす取っ掛かりつかめるかもとか思ってきたけどこれじゃあ無理そう……。


「わ、わかった。置かしてもらうね」


 そうして部屋の端っこの方に荷物をおいて、ちょっぴり部屋に居づらくなった私は、そそくさと部屋を出てしたの廉也君のいる方に行くのだった……。



 遥ちゃんの顔が少し火照ってたのはまぁ気にしないことにしようかな。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る