第14話 エンシェントドラゴンをテイムしてみよう!

 テイマー。それは、ダンジョンに出現するモンスターを手懐け自分の支配下におくこと。


 まあペットのようなものである。可愛いんだろうけども、なんせ餌を上げるのがめんどくさくて俺はテイムしてみたことがなかったのだ。


 というかそもそも――


「――なぁ、テイムのやり方教えてくれね?」



『笑笑笑笑』

『ガチかこいつ』

『知らねぇのかよ笑笑笑笑』

『おいまじ!?』



 俺は、テイムのやり方を知らなかったのである。


 いやね? なんかテイムしてる人もいるってのは聞いてるよ? けどさ、してみようって思ったことなかったんだよ!


 んじゃあやり方知らないのも仕方ないよねって話。


「いやほんとに知らねぇ! 教えてくれ!!!」



『草』

『草』

『なんか! 念じるらしいよ!【レイア】』

『草』

『いやけどまじで念じるべきらしいんだよなぁ…』

『ほんとに念じるべきだって現日本1位の霜月星斗さんも言ってた!!』



「おお!? あの星斗さんが!? じゃあやりましょうか」


 コメント欄の人たちにテイムの方法を教えてもらって、エンシェントドラゴンをテイムするために一体だけ炎魔法で氷を溶かしてやる。


 もちろん全身溶かすわけじゃなくて、羽は凍らせておいて、動けないようにはしてあるけどな。



『おお、エンシェントドラゴンにするのか』

『成功するかぁ…?』

『そもそもDランクキャラはテイムできない定期』

『できない、じゃなくてそもそもやってみたことがない、だろ?』

『まぁそれはそう』

『みんな突っ込んでないけど3属性の魔法使えるのおかしくね?』

『……それくらい普通だろ(洗脳済み』



 おいこら洗脳って言うな洗脳って。いやそんなことはどうでも良くて、氷溶けたんだけど…?


「はい、氷、溶けました……あれ?」


 氷を溶かした瞬間、どこからともなくエンシェントドラゴンはひっくり返って俺に必死にお腹を見せている。



『なにそれ笑笑』

『えっ敵対心どこいったん?』

『笑笑』

『えー!!服従してる!!』

『世界初、再び』



「これ、服従してるってことなんですよね??」



『うん多分』

『おそらくね』

『すごいものをみてる……』

『なんでこんなに世界初を連発するの?』

『私も服従してるから!!【レイア】』

『草』

『興奮してき《このコメントは削除されました》』

『据え膳、食えよ?【氷の王子】!!』



 ふーん、なんだろう? 俺の氷魔法が強すぎて恐れおののいたってところかな?


「まぁいいや、じゃあテイムしていきますね!!! フンッ!!」



『フンッ!!(迫真』

『フンッ……』

『ふぅ……【ガチホモニキ】』

『えっふぅ早くね?』

『……草』

『もう今日もこれでいいかな……【レイア】』

『……今日、も??』

『草』



 まぁコメント欄は俺の吐息ASMR (?)でざわざわしているが、肝心のテイムはというと…?



〔ヴーー!!!〕



『あっ喋った!!』

『喋った…?』

『どっちかといえば鳴いた!!か?』

『いや声太ぉ……』



 大成功……でいいんだよな? まぁ鳴いたし、俺に体スリスリしてくるし。


「ってことで……多分テイムできたと思うんですけど…、1つ変化がありますね!!」



『えっなに?』

『気になる』

『どんなん??』

『へぇ、何か付属効果があるのか?』

『ちなみに、ゴブリンの場合は性格が邪悪になるらしい』

『草』

『それは草』

『可哀想過ぎる笑笑』



「なんかですね、飛べそうです」



『……は?』

『飛べる、とは』

『飛べる?? えー? 人越える?』



 うん、たしかにみんなそういう反応をするよね。わかってるよ?それくらい。


 俺もそうだもん。どうなってるのかわからない。え?なんでテイムしたモンスターの能力がテイマーに受け継がれてるの?


「はい、まぁ感覚でしかないですが。……飛んでみますかね?」



『みたい!!』

『鳥型人間』

『鳥じゃなくてドラゴン定期』

『ドラゴン型人間』

『↑これ怖えな笑笑』



「よし、じゃあやってみますね??」


 うーんと?まぁなんとなーく頭に流れてくる飛び方を参考にすると、まずは両手を広げる。そして次になるべく体を傾けて、ジャンプ!!


 ……えっこれやるの?


 まぁ抵抗したってなぁ…。やるって言っちゃったし。


 よし、行こう!!


 手を広げ、体を傾け、ジャンプ!!


「できましたー!! 見てください!! 手が翼みたいになってますよ!!」



『すげぇ!!!』

『えぇ……まじかぁ…』

『飛べるのかぁ…これ、根底からいろいろ覆りそう……』

『もしこの先テイムできるようになったらアイテム採取効率すごいことになりそうだな』

『そもそもエンシェントドラゴンをテイムできるやつがこの世界でただ一人だろ』



 なんてコメント欄でこの能力の良い使い方を議論していたり、俺がやったことがいかにすごいかの書き込みがされたりしているな。


 へぇ…? エンシェントドラゴンをテイムしたのって世界初なのか?


 いや、これほんとにCランクって一番上のランクなのでは??


 まぁいいや。とりあえずおりよ。


「みなさん!! 空飛べましたよ!! ありがとな? エンシェントドラゴンも。」


〔ヴヴヴううーー!!!〕



『お! 遠吠えだ!』

『すげぇや』

『初めて聞いた』

『ってか名前、決めてあげないの?』

『たしかに笑 エンシェントドラゴンって長いし言いにくいし』



「あーたしかに! 名前、決めたほうがいいかもですね!」


 うーん。何にしようかなぁ…? ドラゴン、ドラゴン……? 何がいいだろうか?


「決めました!! この子の名前は――」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る