無名配信者である俺の異名は【氷の王子】〜有名ダンジョン配信者を助けたのだが、それ全部仕組まれてたってマジですか！？ 仕方ない、こうなったら世界中にこの異名を轟かせてやる！〜

第13話 エンシェントドラゴンを凍らせてみよう！

『なに！？』

『いやぁぁ！！！』

『怖いいいいい』

『kおwaii』

『↑いや変換できてなくて草』

『けど怖いいい！！！』

『なんだよこれぇ！！【氷の王子】逃げてぇぇ！！』

『なになに！？説明して！！』

　突然深層の、更にその奥の方から聞こえてきた音、それも破壊音みたいな音に、コメント欄の人々は恐怖してるみたいだけど…？

　まぁ、ちゃんと分かればそこまで怖くない。

　説明すれば大丈夫だろう。

「はい！これはエンシェントドラゴンの群れの出現ですね！！」

『………？』

『いや、《ですね！！》じゃないんよ』

『なんでそんなに元気なん？』

『エンシェントドラゴンってさ、Ｄランクだけど、Ｄ+って言われてるよな？』

『それにさ～、群れ？聞いたことないぞ？一体撃破が人類の最高だっていうのに』

『あーあ、死んだわレン君【レイア】』

『いや彼女ポジが信じなくてどうする！！』

『いつの間にか彼女ポジになってて草』

「いやいやけどですね？？　エンシェントドラゴンにも弱点はあるんですよ！！　……そう、翼の裏ですね！！」

『まーた意味分かんないこと言ってる』

『まじで何なんだよ笑笑』

『無理無理！！　今度こそ無理だろ！！』

『じゃあエンシェントドラゴン倒せたら私が【氷の王子】の配信にスパチャできるようになったら赤スパ50通送る！』

『やれよ？？』

『まーた犠牲者が出るのか…！【ガチホモニキ】』

『お前が言うな大賞オブ・ザ・イヤーじゃねぇかよ笑笑』

「そしてー！！！エンシェントドラゴン君は、氷魔法があんまり通りません！！」

『じゃあ無理じゃん』

『え？なんで戦おうとしてるん？』

『するだけ無理だろ』

『私の財布、救われる【赤スパネキ】』

『そう言って俺はさっき終わった定期【ガチホモニキ】』

『じゃあ無理じゃん！！辞めて！！死なないでー！！！あー！！！【レイア】』

『ヒステリックになってて草』

「あーはいはいレイアさん落ち着いて？あんまり通らないんですよ？ということは…？」

『あ、ふーん』

『なるほどね？』

『強引に突破するんだ』

『へぇ…？まぁわかってたけどな？』

『ふぅ…！落ち着いた…！やっぱりレン君の声は一番の栄養だね…！【レイア】』

『……あれ、俺よりレイアのほうがやばいのでは？【ガチホモニキ】』

『それはない』

『それはねぇ』

『辛辣すぎるだろ』

「そうです！！みなさんお察しの通り、俺の威力なら通るんですねぇ…！まぁ所詮はＤ+ランクなので！！」

『所詮はＤランクというパワーワード』

『怖い』

『一周回って親近感湧いてきた』

『何いってんだてめぇ笑笑』

「そしてそして！！翼を凍らせてから翼の裏を殴りまくりましょう！！！」

　よし、じゃあエンシェントドラゴンの群れ、俺がボコしてあげようじゃないか。

「では！！行きますよ！！けど、『氷結』じゃ多分効かないので！！そういうときは『――絶対零度』です！！」

『絶対零度』とは、辺り一帯を凍らせる技だ。

　威力的には充分Ｃランクのモンスターにも効くと思う。そのレベルをエンシェントドラゴンに使ったんだから…？

「当然、翼は凍りますよね！……あれ？なんか全部凍ってないですか？」

『草』

『草』

『くさ』

『いや笑笑』

『加減考えろよ笑笑笑笑』

「はい…！じゃあ潰しますか笑笑」

　全部凍ったけどまぁいいや。俺は知らん。ただちょっといつもよりも強い威力にしちゃっただけだし。

『潰すの…？』

『ええ。やっぱり潰せるんだ……』

『怖い……！！』

『というかさ、【氷の王子】ってテイムしてるモンスターいないの？』

『たしかに。見たことないもんなぁ…。どんなキャラ連れてるんだろうか…！』

「テイム…？あーやってみたことないですね。」

　だっていなくても敵倒せるし。テイムしたらしたでそのモンスターに餌あげるの面倒くさいんだよなぁ……

『じゃあやってみねぇ？』

『エンシェントドラゴン、やってみない？』

『……できる？【レイア】』

『俺をテイムして！！【ガチホモニキ】』

『……よし、とりあえずエンシェントドラゴンテイムしてみようぜ！！』

いやなんかガチホモニキ全員から無視されててめちゃめちゃ面白いんだけど。っとそんなことは良くて、

「……やってみてほしいですか？」

『うん！！』

『エンシェントドラゴンをテイムしたらもうそれは人外だし！！』

『見てみたい！！』

　うーん。たしかにテイムしたらめんどくさい。餌を上げるのに時間を取られるのは嫌ではある。

　けど、前々から興味はあったし。それに、俺がテイムしてみることで配信が盛り上がるならそれはそれでいいよな！

「わかりました！じゃあやってみましょう！！」