無名配信者である俺の異名は【氷の王子】〜有名ダンジョン配信者を助けたのだが、それ全部仕組まれてたってマジですか！？ 仕方ない、こうなったら世界中にこの異名を轟かせてやる！〜

第15話 テイムしたモンスターの名前は――

「――リックウザ！！です！！どうだ？」

〔くぅーん！〕

『……』

『どこなく聞き覚えがある』

『リをレに変えたりできますか？』

『笑笑笑笑』

『おいネーミングセンス笑笑』

　あれえ…？なんか意外と評判悪いか…？俺が頑張って考えたんだからいいと思うんだけどなぁ…

「え？かっこよくないですか？？」

『いやまぁそれはそう』

『色緑だし』

『緑、飛んでる……つまりそういうことではあるよな』

『たしかに』

『メガシンカする？？』

「いやしません！！しませんからね！？あとそれはなんか危ない気がするからやめてー！！！」

『笑笑笑笑』

『バンされたら仕方ないね』

『仕方ない（やめてほしい』

『バンされたら俺が人生からバンしてまう【ガチホモニキ】』

『それはやめれ？ガチホモニキおもろいから』

『その割に反応してあげないのはどこのだれなんですかねぇ…？』

『ヒント：このコメント欄の全員』

『それもう答えで草』

　あ、ガチホモニキにちゃんと反応してあげてる。やっぱり優しいのな。コメント欄のみんな。

「よし、ではテイムもできたところで、凍らせてる奴らを倒しますか！レアアイテムとか落ちないかなー？」

『ようやくか』

『レアアイテム…？何が落ちるん？』

『レアアイテムなんて聞いたこと無い……』

　あれ？みんなエンシェントドラゴンのレアアイテム知らない感じなのかな？

　結構な確率で落ちてくれるからみんな知ってると思ってたんだけど…？

「えーっと、エンシェントドラゴンのレアアイテムは、《ドラゴンの鱗》ですね！」

『えっあれなん？』

『普通のドラゴンから落ちると思ってた』

『あれって…！あのＤランクの【ドラゴンの魂の剣】作るときの柄の部分の…？』

『そうそう』

「そうですね！！それです！！じゃ、氷溶かしていきますよー！」

『いや砕けばいいのでは？』

『それな？』

『砕いたほうが楽説』

「あーそれがですね、砕くとアイテム落ちないんですよね」

『これもまた初耳学』

『新たな知識がまた増えていく』

『素晴らしいな』

『俺今日でめっちゃ頭良くなった【ガチホモニキ】』

『お前は悪くなってるだろ笑笑笑笑』

　ということでエンシェントドラゴンたちの氷を溶かして、倒そうとしたのだが…？

〔くぅーん！くぅーん！！！〕

　なぜかリックウザが俺の前に立ちはだかって必死になにかを訴えている。

　えっ…？これってまさかさ…？

「なぁ、これって倒すなってことだよな？」

『多分』

『リックウザ、かわよ』

『命をかけて仲間を守る…！』

『モンスターって協力心みたいなのあるんだな』

　うーん。どうしようかなぁ…。基本的にダンジョンで遭遇した敵はよほど強くない限りは倒さなきゃいけないってことになってるから、倒すべきなんだろうけど…。

　いやけどリックウザが守ろうとしてるんだったら倒すのはちょっとなぁ…。

「よし！　お前ら！　良く聞けよ？　俺は今からリックウザをワシャワシャする！　だからお前らはその間にどっか行くならどっか行け？　俺が、リックウザを撫でてたっていう体にすればいいんだから！」

『たしかに』

『頭いい』

『いやそれ言ったらだめじゃね？』

『……まぁいいだろ』

『笑笑笑笑』

『俺は逃さないでね？【ガチホモニキ】』

『おいこらやめい』

「じゃあリックウザ！行くぞ！？」

　その掛け声とともに、俺はリックウザの体をわしゃわしゃする。

　初めてエンシェントドラゴンに触るから少し怖かったけども、リックウザは受け入れてくれた。

　体、ゴツゴツしてんなぁ…！なんか思ってたよりも筋肉質だな！？

　っと…。そんなことはよくて…？あれ、みんなちゃんと逃げたかな？

「みんなちゃんと逃げたか？」

『うん、多分』

『言葉ってわかるもんなのかな？』

『いや【氷の王子】がリックウザのことわしゃわしゃしたら逃げるチャンスだ！！って思うんじゃね？』

『それはそうだな』

『まぁこれでなんか言われることがないことを願って…！』

『えっ全員逃げた？？ってことは私を救われた！？【赤スパネキ】』

『よかおめ』

『おめ』

『俺のときとは対応が正反対で草【上裸ニキ】』

「なら良かった…！アイテム取れなかったのは残念ですけどね！じゃあリックウザ！帰るか…！って言いたいところだけど、俺リックウザの背中に乗ってみたいんだよなぁ…！」

『わかる』

『人が一度は憧れる』

『空を飛んでみたいよな』

『わかるわかる！！』

『流石に飛びたい』

『うん？んでどうするん？』

「はい、ってことでですね、ここだとリックウザ君が危ないので、ちょっとEランクダンジョンに行こうと思います！じゃあ！また後で配信つけますね！」

『いってらー！』

　よし、やってみよう！人類一度は必ず夢見るであろう空飛びを！！