第5話 えっ送り狼!?《配信コメント》

『ファッ!?』

『まじじゃん!』

『たしかに声聞こえる!!』

『個人情報が……』

『みんな!見るんだ!!』

『!?同接えげつないことになってるぞ?』

『あー!5万人だと!!』

『すごすぎる!!』


 コメント欄が配信の切り忘れにより大盛り上がりしている中、当の本人達はというと…?


「ってことで、改めて、私を助けてくれてありがとうございました…。」


「それはもういいんですけど…。まず名前を教えてもらってもいいですか…?」


 まずは自己紹介から入っていた。


『あー!!』

『なんか、あれ?恋愛フラグ?』

『可愛いなこの二人』

『もう俺たち保護者だな』

『なんかわかる笑笑』

『あれっ!?けどこれって本名がわかるってことなのでは…??』

『いや流石に配信者名だろ』

『まぁ本名言ったらビビる』

『けどワンちゃん…?』

『wktk』



「――私は、レイカでもあり、そして配信をするときはレイアっていう名前で活動してますよ?」



『うん?』

『??』

『ちょっと意味わからん!』

『説明求む!』

『いや配信してるの気づいてないだろ笑笑』



「すみませんもう一度。」


「私は、ずーっとあなたのファンだった、レイカの中の人ってことですよ?」



『うん、?』

『【氷の王子】の登録者って、1人だったよな?』

『で、名前を言った…』

『ってことは…??』

『あ、ふーん』

『へぇ〜……、なるほどね?』

『ファン、で収まってるのかねぇ…』

『いやてか【氷の王子】の反応よ笑』

『固まってるじゃねぇか笑笑』

『驚きすぎ!!』

『笑笑笑』

『ここ切り抜きだぞ!!【氷の王子】の間抜けヅラってな!!』

『↑伸びそー笑笑』



 そうして、早くもレイアの策略に辿り着きそうなものも現れている中、コメント欄ではある種の保護者会のようなものができていた……


 果たしてどういうことなのかはよくわからないが、コメント欄の団結力は高いようだ。



「俺に助けられておかしくなったのかも知れませんけど、今日のところは早く帰りますよ??」



『笑笑』

『現実逃避か笑笑』

『かわいいじゃねぇかよ』

『速報、王子、現実から逃亡笑笑』

『いやたしかにおかしいかもな?? ……現実逃避しようとしてる【氷の王子】のほうが笑笑』

『それは流石に笑笑』



「……おかしい? 私、間違ったこと言ってますか??」



『おうおうキレてんな?』

『やめたげて~!【氷の王子】も悪気はないと思うから~!』

『あーあ、怒らせちゃったな』



「いや……とりあえず、家まで送ります。その道中に色々話しましょう」



『え、送り狼!?』

『やり手だったのか……』

『見た目高校生だけどな』

『将来有望ですね』

『風評被害の極みじゃねぇかよ笑笑』



 そうしてその後も1言話すたびにコメント欄は盛り上がり、レイアの家につく頃には同接が7万人を超えていたのであった……



「……ふむふむ。つまり、レイアさんは俺の固定視聴者さんだった人の中の人だったってことですね?」



『あ、ようやく理解した?』

『流石に理解してもらわないと困るよな』

『【氷の王子】、ストーカーって思ってそう笑笑』

『気づいてない説』

『たしかにありそう笑笑』



「そうそう!!だから今日会えて……キャー!!って感じなんです!!」



『もう完全にファンだよ』

『【氷の王子】を見る目が女の目なんだよ』

『あー、カップルですか?』

『へぇ……』

『お!?トレンド一位だぞ!? この配信』

『まじで!?』

『いやまぁ伝説だよな』

『流石に情報過多かもしれん』


『ここまでのまとめ、レイアがモンスターに襲われる(ワンちゃんわざと)→【氷の王子】が救う→実はレイアは【氷の王子】のファン→一緒に家に!?』


『いやすごすぎるだろ笑笑』

『こりゃトレンド一位も納得だわ』

『流石にねぇ…!』

『おもしれぇ…!』



「それはわかったけどなんでサブアカウントで…?」



『言わせんなよ』

『男は言わせちゃだめだろ』

『えっ…? 鈍感男子…?』

『いやファンって言ってるんだからさぁ…!』

『【氷の王子】!!』



「そんなの! 迷惑かけたくなかったから……! それにあなたのことが……す……なんでもないっ!! とにかく!! 今日はお礼するから私の家に泊まっていって!!」



『………』

『へぇ……』

『【氷の王子】、翌朝覚悟するように』

『燃やすぞ?』

『だめだろぉ…?』

『お泊りかぁ…、へぇ…。やり手だもんねぇ…、【氷の王子】君。』



「いやいや!! そんな…!」



『抵抗すんな!!』

『内心喜んでるんだろ!!』

『俺たちにはわかるんだからな!!』

『クソっ…!! 羨ましい…!』



 などと不穏な空気が漂うコメント欄であったのだが……家に入ってからのやり取りにより、一気にふわふわとした空気へと変貌を遂げるのであった…!





_______





ひゅーーーーーーーー(?)

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