無名配信者である俺の異名は【氷の王子】〜有名ダンジョン配信者を助けたのだが、それ全部仕組まれてたってマジですか!? 仕方ない、こうなったら世界中にこの異名を轟かせてやる!〜
第4話 配信切り忘れてね?《配信コメント》
第4話 配信切り忘れてね?《配信コメント》
「はーい、じゃあ今日はちょっと珍し目のダンジョンに行きますねー!!」
さて、ここは超有名配信者、レイアの配信。今日もいつもどおりに、彼女のファンがたくさん配信に集まっている。
『あら、珍しい』
『まぁ趣向を変えるのもありじゃないか?』
『へー』
「で、ですね。今日は…!ここのダンジョンに行きます!」
『おお?ここのダンジョンはなかなかレベルが高い…!』
『Dランクダンジョン!?』
『ちょっと危なくね…?』
『いや、そもそもドローンがこの戦いについてこられるのか』
ダンジョン配信用の超小型(ハエくらい)ドローンを心配するコメントも散見されているが、概ね彼女が新しいダンジョンに行くことに肯定的な意見が多かった…。
ちなみに、配信者はドローンと連携しているイヤホンからコメントを聞くことができるらしい。
「そしてですね~!……まぁ中に入ってから説明しますね??」
そうして中にはいった彼女は、ダンジョンの序盤で説明をするのだった。
「ここは、お金稼ぎに…!って有名なところですね!はい。」
『……?』
『それはランクが高い人達だけ』
『注意・高ランクのみです』
『なんかあったら危ないので非推奨』
『普通に単独でもぐれるの極一部だけです』
「あーまぁねぇ…。たしかにランク高くないと無理かぁ…!」
と、その後もとりあえず流れてきたコメントを拾い続けていた彼女だが、コメント欄の流れが変わり始める…
「うんうん、それでねー!?」
『おい、なんか来てないか?』
『あれ?モンスター?』
『嘘!?まじじゃん!!』
『気づいてー!!』
けれども、そんなことには気づかずに彼女は話を続ける。
『おい!!』
『やばい!!』
『気づけって!!!』
『やめてー!!』
彼女がまだ気づかない、いや気づいていないふりをしている中、彼女の助けに入るものが現れた。
「そこの配信者さん!どいて!!」
『お?』
『ヒーロー!?』
『うん!?』
『助け!?』
『いや、倒せねぇだろ、キングスライムだぞ?』
『それでも!!』
「―――氷結」
『はっ!?』
『いや、威力がおかしい』
『うん??凍ってね?』
『ちゃんとレイアも逃げれてるし!!』
『……砕いた』
『は?』
『うん…?砕けるものじゃなくね?』
『普通は凍らすことしかできねぇよそれも一瞬』
『誰?この人。見たことねぇ』
『それより……彼、いや【氷の王子】とでも言おうか、【氷の王子】が助けに来る直前、レイア笑ってなかったか?』
彼女を突然救った探索者、その素性が全く明かされていないことにコメント欄はざわつく。
また、Dランク以外ならば単独撃破ができないキャラを撃破したことにより、驚愕につつまれている中、彼女の不可解な笑みを見ている視聴者もいた。
しかし、ものすごい速さで流れているコメント欄の中でそれが見つけられることはなかった。
そして、彼女は自分を救ってくれた探索者の下へ行く……
「ありがとうございました!!!助けてくださって!!!」
『俺からも、ありがとうございました』
『ありがとうございました』
『本当にありがとうございました』
『ありがとうございました、【氷の王子】さん』
「いやいや、当然のことをしたまでですって」
『当然じゃないです』
『当然じゃないです』
『ほんとにおかしいです(褒め言葉』
『無事代【¥20000】』
「それでも、ありがとうございました。あ、配信してらっしゃるんですか??」
「そうなんですよ……。全然登録者はいないんですけどね」
『配信してたのか!!』
『いや、なんで登録者少ないん?こんなに強いのに』
『うっそだろ?俺は登録しに行くぜ!?』
『私もー!』
「あー、名前を聞かせてもらっても?」
『たしかに聞きたいな!!』
『そっか。調べようとしても名前わかんないと無理か』
『たしかに!!聞かせてください!!』
「レンです」
「レンさん……あ、見つけました!!……アハ」
『レン……っと』
『あ』
『なんか……ごめん』
『俺は登録したからな!!』
『俺もしたぞ!!』
『私もしときましたから!』
『というかなんでこんなに登録者少ないんだ??今ってダンジョン配信めちゃんこ人気コンテンツなのに……』
『……え!? 動画なくね? レンのチャンネル』
『だからか!?』
『まぁそれはいいとして、レン、さっき誰かが言ってた【氷の王子】のほうがかっこいいな笑』
『お、なんかそれいいな??』
『俺も【氷の王子】って呼ぶかぁ…!!』
「私の配信をみてるみなさん!レンさんですよ??調べてチャンネル登録してあげてください!!あと、この事をバズらせてください!!」
「えぇ!?いやいや、そんな宣伝させるなんて申し訳無い…。」
『はーい!バズらせます!』
『切り抜き、行きます!』
『もちろん登録しますよ!!』
『俺の好きな配信者の命の恩人だろ?登録しないわけがない!』
「だって…!!私の命の恩人ですよ!?この後まだお礼するつもりだったんですから…!じゃあ行きますよ!?」
『えっ!?どこ行くん?』
『あー、配信終わりね?ダンジョン出たら自動的に配信切れるし!んじゃまた!』
『お疲れー!』
『お疲れー!』
彼女はどこへ行くのかはわからないが、命の恩人である――【氷の王子】をどこかへ連れて行くようだ。
そんな雰囲気を察知した視聴者は、続々と配信から抜けていくのだが……
『あれ、配信切れてなくね!?』
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