第33話
もしもこの大会が終わって、メディアにインタビューされるとするならば、俺は確実にこのシーンのことを話すだろう。
それほどまでに、衝撃が強かった。そして、体が勝手に反応していたんだ――
トゥポウ組が倒されているのを見た俺は、瞬間ボスへ飛びかかっていた。
魔法を打つでもなく、星斗さんと話をするでもなく。周囲の状況を確認するでもなく。
気づいたら、飛びかかっていた。一種の本能かもしれない。それくらい、考える暇もなかった。体が反応していたんだ。
そうだな……言い訳をするのであれば。自分の実力がどこまで通用するのか試してみたかった、とでも言うべきか。
大きくジャンプをし、ボスへと飛びかかる。ボスの顔が近づいてきて、俺はそこにグーで一撃を――入れたはずだった。
けど、次の瞬間には拳は空を切り。
そのまま地面へと着地する。幸いにも反撃がきたわけではなかったけど。
『は?』
『攻撃当たらない?』
『いやいや、おかしい速さで攻撃しに行ったから当たらないなんてそんな』
『けど確実にダメージ通ってないぞ?』
『あーーー。終わったか』
『無理だなこりゃあ。難易度が上がりすぎてるよ。前回と比べて』
『氷の王子たちは悪くないな。悪いのは運営側だ。こんなダンジョンを選びやがって……』
俺の攻撃か、効かなかった。魔法ではない。けど、それでも俺の攻撃が効かない。
そんなことがあってたまるかよ……!
トゥポウ組が倒されているのも演技とかそんなんじゃないな。
確実に実力で負けている。4組合わさっても勝てないんだろうな。
あぁ。やっぱり俺が四強の仲間入りをするなんてそんな戯言達成できるわけがなかったんだ。
無理無理。もうやめようぜ?
「星斗さん。無理っすね。もうやめませ――」
「レンくん。まさかやめるとか――言わないよね?」
こいつ……! 心を読んできやがった……!
とかボケてる場合じゃなくて。は? 星斗さんはバカなのか? こんなん勝てるわけないって。俺がダメージ通ってない時点で終わりだろ。
「レンくん。たしかにあいつは強い。強すぎる。けど、俺達はどの立場でこの大会にでてるんだ? そう、日本代表だよな? それに、レンくんは今配信もしている。そんな中、敗走シーンを晒す――こんなにダサいことがあってもいいのか?」
『仲間割れ!?』
『ここに来て!?』
『仲間割れは……えぇ』
たしかに今配信もしている。それに俺達は日本代表。だけど。それでも、
「命に代えがたいものはないと思うんですけど?」
自分の命が最優先なのは人として、いや生物としての一番の本能で優先するべきことなんじゃないのか?
「…………」
ほら、星斗さんも黙ってる。ほら、俺があってるんだよ。星斗さんだってホントは死にたくないって思ってるはず――
「レンくん。この大会中は死なないぞ?」
――はぁ!?
「そのモンスターに負けた代表を持つ国がプライドのために死んだことにするのはあるにせよ。ほんとに死ぬような大会に国の貴重な人材を出すと思うか?」
「た、たしかに……」
「まぁ……どこかの日本っていう国の首相は死ぬって思ってるみたいだけどな」
……はぁ。そうだったのか。
俺、ダッサ。死ぬかもしれないっていう恐怖から逃げ出すなんてこと言って。
本当は死なないならこんな事は言ってなかった――あぁ! くそっ! クソダサい!
「――なら、ならば戦いましょうか」
「お、戦う気になったか?」
「はい。死なないなら。この命、全力をかけて挑みます!」
「……死なないけどな」
「そういう心持ちですよ!」
______
今日からカクヨムコンテストが始まりましたね。
あの。私も、この氷の王子ともう一つ偽夫婦という作品を出すのですが。
こちらの氷の王子、読者選考を突破できないかもしれません。
あの、2ヶ月前から投稿しているので、もう星が入ってしまっている状態なんですね?
それはものすごくありがたいことなのですが、この際、まだフォローや星を入れてないよ!って方はどうか入れていただけるとありがたいです。
他の方の作品に星入れたことないんだよね……って方も、星は1つでも入れていただけるだけで嬉しいものなので!
どうかよろしくお願いいたします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます