第32話
なんでだ? なんで四強の人々がいるんだ? おかしい。確実に閉じ込めたはずなのに。
そんな疑問が頭の中で渦巻いていると、メアリーさんが答えてくれた。
『なぁ。日本人。私達が四強と呼ばれているのは、それなりの理由があるんだよ。そうだな、私達の場合は――』
ビュン! という音とともに、今までいた場所から10メートルほど離れた場所にメアリーさんが移動する。
『この、時空間魔法からくる瞬間移動能力が四強と呼ばれる由縁だ。他にも、習たちは馬鹿力で。イギリスのスナクはダンジョン内の時を止める能力で。まぁスナクの能力は人間とDランク以下のモンスターにしか効かないのだがなぁ!』
ありえない。そんな、そんな人間の力を超越するような能力を持っているだなんて。
いやたしかに魔法が使えている事自体、人間の生物学的に見たらおかしいことなのかもしれない。けど、時を止めるって。それもう時空ですら歪めてるんだよ。
『そして最後にトンガのトゥポウたちは、四分の三の確率でモンスターを手懐ける能力だ。普通のテイムとは違って、自分より強いモンスターでも手懐けられるんだなぁ?』
正直動揺している。こんな能力があるとは思っていなかった。
けど。それが俺の歩みを止める理由にはならない。
「……それがどうされましたか? そんなものが俺達が攻略を止める理由にはなりやしない!」
『ほう。芯が通ったガキじゃな。まぁ、優勝は譲らんがな。それに。四強は魔法がなくても強いのじゃ。それこそCランクレベルにはな!』
「それはこちらのセリフですよ。俺達だって優勝を譲る気はありません」
そうしてお互いににらみ合いながら後退していく。そしてボスとの本格戦闘に入る前に、星斗さんと話を――
「――怖くね?」
「はい?」
星斗さん。何を行ってらっしゃるんですか。ダンジョン攻略に怖いもなにもないでしょうが。
「いや。四強怖くね?」
「……まぁ」
『いや草』
『流石にくさ』
『星斗も思ってたか』
『圧が素晴らしいよな』
『もう素晴らしい監督』
『立浪さんの悪口はやめなさい』
『今のストーブリーグの覇者は楽天だぞ』
『某チュニドラも柳が保留してただろ』
『某安樂さんが強すぎる』
『某とは』
星斗さんもやられちゃったか……。
まぁ……ね。英雄視されてる四強の本性があれだとなかなかしんどいものがあるけど。
それを気にせずに戦うのが俺達の役目だよな。
「というか! 早くいかないと。ライバルたちに倒されたらたまったもんじゃないですから!」
「たしかになぁ。行くか!?」
「はい!」
ということで。ボス、エンシェントドラゴン・改を倒すため、ボス部屋へと進む。
ちなみに、俺のプランはこうだ。
①まず最初に戦闘するという気概を見せる。
②他の人達が来るだろうからその人たちと交代。
③段々とボスのことを弱らしてもらう。
④弱ったところで俺達が乱入。
⑤とどめを刺して、俺達の勝ち!
的な感じだ。
まぁこれはもし人が来たらのBプランで。Aプランは俺達二人でゴリ押しするっていうのだったんだけどな。
だから行こうかボス部屋へ。
ということで俺達二人は周囲への警戒を解かないように、進んでいく。
だれか先にいるのだろうか。いなかったらいいのだが。まぁ最悪いても共闘して手柄横取りすればいいわけだし。
さぁて。誰がいるのかなーと。
「なぁ。レン。あれ……」
唐突に、星斗さんが青白い顔をボスの方向を向いて指を指す。
そこには――トゥポウ組が倒れる姿が。
四強ですら、倒される。
今年の大会は一味違う。
共闘してもやられる世界。
そんな陰謀とイレギュラーが詰まった大会で、日本代表はどう動くのか。
最強と最凶のぶつかりあい、開始――
______
さぁ。盛り上がって(?)まいりました!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます