第71話 諸侯連合会議

 カドレアの邸宅には、クリームオー諸侯連合のトップが集まっていた。


「今日はお集まりいただき、ありがとうございます」


 フェミルが頭を下げる。

 円卓には各諸侯のトップ。

 つまり、連合同盟のメンバー達。


「こちらこそ。お呼びしていただきありがとうございます」


 まず、頭を下げたのは、シスロ領を治めるシスロ・ハマト侯爵。

 禿げ頭の髭面だが、優しい目をしている。

 穏健派で鳴らした、諸侯連合の中でも平和な部類だ。


「一体なんですかな。フェミルお嬢様」


 と、フェミルをからかうのは、クゥラ領を治めるクゥラ・ジスコ侯爵。

 まだ若く、マーシャと年が変わらない。

 爽やかな男だ。


「お嬢ではありません。ここでは、カドレア侯爵家の令嬢。フェミル・カドレア」


「すみませぬ。フェミル様」


 爽やかな笑顔のクゥラ。


「それにしても、フェミル殿は大きくなられ、大人びたな。父上の様に逞しくなる……おっと、レディに逞しいは失礼か」d


 そう言って、クククと笑うのは、諸侯連合の中でも最も実力を持つ、パッカザッハ・テマキ侯爵。

 齢35。

 諸侯連合のトップであり、10英雄の中でも6番手で在り、最も王国を得るに近かった始祖を持つ。

 つまりは、諸侯連合は、小さな領地を、5人の英雄で分け合ったことから発している。

 それは、まるで5王国に対抗すべく、作られた同盟だった。

 500年前の魔王との戦いの後、領土を分けるために10英雄はもめた。

 それを仲裁に入った大神様の考えで、10英雄は活躍の順に領土を与えられた。

 大陸を6分割し、5つは上位5英雄が取得し、残りを下位の5英雄で分けた。

 平和の裡に領土問題は解決したと思われた。

 だが、火種は残り、大きな戦争は500年の間に無いにしても水面下での争いは会った。

 もともとばらばらだった下の5英雄は1英雄だと、王国に力が及ばない。

 そこで、下の者どうしで団結した。

 そこがクリームオー諸侯連合であり、100年前にそれは成立した。

 その総まとめが、パッカザッハ家であり、諸侯連語の長だ。

 バッカザッハは、500年前、アルマーズという大斧を振い、勇猛をとどろかせた英雄カルホルニアロェルを始祖に持つ。

 その血は、バッカザッハにも受け継がれている。


「そして……、ユメル侯爵」


 バッカザッハが横を向いた。

 そこには、今日のある意味主役であるユメル侯爵がいた。

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