勇者召喚でハーレム世界に転生するはずだった平凡な高校生。転生先はモンスターだらけの森の中、拾われた森の中で盗賊に拾われて暗殺者に育てられて無双!

うんこ

序章

第1話 生まれ変わった先は……?

 天月宗孝、平凡な高校一年生 。

 そんな彼は通学途中、子犬を助けるために、自動車にはねられ死亡した。



「ここは?」


 見渡す限り真っ白な場所。


 宗孝は自分が死んで、死後の世界にいることを自覚した。

 不思議と怖くは無かった。

 取り立てて現世にも未練が無かった……訳ではないが、新しく生まれ変わってやり直せるなら、やり直したかった。


「おお!」


 目の前に光の球が降りて来た。

 それが弾けて、光の粒が四散する。

 光のあった場所に女性が立っている。

 ツヤツヤ銀髪、スラリとした長身、少し胸が大きい。

 切れ長の目で顎が尖がった、つまり美形の女優みたいな。


「私は、女神ルネス」


「はっ、はい」


 宗孝は声を震わせた。

 異性と話すのは、中学二年のフォークダンスの時以来だ。


「あんたと手を繋ぎたくない」


 丸眼鏡の三つ編みの女子で名前は忘れた。

 これを会話というかは怪しいが、宗孝自身は会話だと認定していた。

 その後のことは覚えていない。


 女神ルネスは、手の平をかざす。

 すると、黒い石板……というかタブレットっぽいものが現れた。

 それを手に取り、見つめる。

 まるで、タブレットでゲームをするかのように細い指を滑らせフリックさせる。


「あなたは、確か、世界ナンバー1503で生きていた。地球という星が舞台で。種族は人間として……」


「え?」


「あ、すいません。こちらでの管理情報をつい口走ってしまいました。意味不明ですよね」


「あ、大丈夫です。僕も、独り言、するときあるんで」


 宗孝はルネスに頭を下げる。


「ここは世界を繋ぐ場所」


「はぁ」


「普通は死んだらこの場所を経由せずに、神が決めた次の世界に生まれ変わるのですが、あなたは生前、良いことをしたので、この場所に来たのです」


 宗孝はルネスの声に耳を傾けながら、助けた子犬のことを思い出した。

 その子犬は雨の中、道路の真ん中で一生懸命、捨てられたごみを漁っていた。

 よっぽど腹が減っていたのだろう。

 捨て犬だったのか?

 宗孝が飼っていた犬に似ていた。

 それが、助けた理由だった。


「僕はどうなるんです?」


「あなたは次の世界で生まれ変わり、幸せに暮らすことが出来るでしょう」


「やった!」


 生まれ変われる。

 イケメンで頭脳明晰、女にもてまくってハーレムな世界。

 それが宗孝の理想郷であった。


「世界ナンバー539がちょうど空いています。あなたはそこで生まれ変わるのです」


 ルネスが宗孝の頭に手をかざす。


 温かな光が彼を包む。


「ああ……」


 なんて心地いいんだ?



「う……」


 宗孝は目を覚ました。


 そこは暗い森の中。


 獣の唸る声が宗孝の耳朶を打つ。


(う……うそつき……)


 赤ん坊の宗孝はルネスを恨んだ。



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