勇者召喚でハーレム世界に転生するはずだった平凡な高校生。転生先はモンスターだらけの森の中、拾われた森の中で盗賊に拾われて暗殺者に育てられて無双!
うんこ
序章
第1話 生まれ変わった先は……?
天月宗孝、平凡な高校一年生 。
そんな彼は通学途中、子犬を助けるために、自動車にはねられ死亡した。
◆
「ここは?」
見渡す限り真っ白な場所。
宗孝は自分が死んで、死後の世界にいることを自覚した。
不思議と怖くは無かった。
取り立てて現世にも未練が無かった……訳ではないが、新しく生まれ変わってやり直せるなら、やり直したかった。
「おお!」
目の前に光の球が降りて来た。
それが弾けて、光の粒が四散する。
光のあった場所に女性が立っている。
ツヤツヤ銀髪、スラリとした長身、少し胸が大きい。
切れ長の目で顎が尖がった、つまり美形の女優みたいな。
「私は、女神ルネス」
「はっ、はい」
宗孝は声を震わせた。
異性と話すのは、中学二年のフォークダンスの時以来だ。
「あんたと手を繋ぎたくない」
丸眼鏡の三つ編みの女子で名前は忘れた。
これを会話というかは怪しいが、宗孝自身は会話だと認定していた。
その後のことは覚えていない。
女神ルネスは、手の平をかざす。
すると、黒い石板……というかタブレットっぽいものが現れた。
それを手に取り、見つめる。
まるで、タブレットでゲームをするかのように細い指を滑らせフリックさせる。
「あなたは、確か、世界ナンバー1503で生きていた。地球という星が舞台で。種族は人間として……」
「え?」
「あ、すいません。こちらでの管理情報をつい口走ってしまいました。意味不明ですよね」
「あ、大丈夫です。僕も、独り言、するときあるんで」
宗孝はルネスに頭を下げる。
「ここは世界を繋ぐ場所」
「はぁ」
「普通は死んだらこの場所を経由せずに、神が決めた次の世界に生まれ変わるのですが、あなたは生前、良いことをしたので、この場所に来たのです」
宗孝はルネスの声に耳を傾けながら、助けた子犬のことを思い出した。
その子犬は雨の中、道路の真ん中で一生懸命、捨てられたごみを漁っていた。
よっぽど腹が減っていたのだろう。
捨て犬だったのか?
宗孝が飼っていた犬に似ていた。
それが、助けた理由だった。
「僕はどうなるんです?」
「あなたは次の世界で生まれ変わり、幸せに暮らすことが出来るでしょう」
「やった!」
生まれ変われる。
イケメンで頭脳明晰、女にもてまくってハーレムな世界。
それが宗孝の理想郷であった。
「世界ナンバー539がちょうど空いています。あなたはそこで生まれ変わるのです」
ルネスが宗孝の頭に手をかざす。
温かな光が彼を包む。
「ああ……」
なんて心地いいんだ?
◆
「う……」
宗孝は目を覚ました。
そこは暗い森の中。
獣の唸る声が宗孝の耳朶を打つ。
(う……うそつき……)
赤ん坊の宗孝はルネスを恨んだ。
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