第4話 神様からの要望

 もう、何の音?


 これから寝ようと思った矢先に聞こえてきた着信音らしき音に、僕は何となく既視感を覚え、メアリーに見つからないよう目を瞑ったままステータスウィンドウを開いてみた。すると、問題なくウィンドウは見え、そこには予想通りメールマークが。


 やっぱり……。


 あまり開きたくないなと思いつつも、僕はそこにイメージで指を添える。


『ヤッホー、神様だよ。ようやく記憶を取り戻したみたいだね。おめでとう。

 もう、だいたい想像ついていると思うけど、キミを転生させたのは私です。

 一応、転生させる前に会ってはいるんだけどね。記憶のある状態で赤ちゃんからだと辛いと思って、ここまで待ったんだ。

 ……けど、そろそろ私との約束も思い出してくれたかな。

 以前にも伝えた通り、私の任された世界は娯楽が少ないんだよ。それで、あっちの神に相談したらキミを紹介してくれたってわけさ』


 僕はここまで読んで、一旦視線を逸らす。まあ、わかると思うけど、言いたいことがあるんだ。


 るっ! えっ、何その取引みたいなやつ。正直、全く覚えていないけど、本当に僕は打ち所が悪くて死んだんだよね。神に殺されたわけじゃないんだよね。


 あんな告白をされたら疑いたくもなるというものだ。


 けれど、やっぱり僕の不注意だった。


『安心してくれ。キミは間違いなく転落死だ。私が偶然彼に相談し、たまたま不慮の死を遂げたキミに適性があったため、私の管理する世界へと送ってくれたのだよ』


 いや、安心できるか! 

 それに何で僕の考えていることがわかるんだよ! これメールだよね。繋がっていないよね。

 それと、改めて言われると恥ずかしいから、もうやめてくれ。

 これ以上この話は無しで、先へ進もう。


 僕は心を落ち着け、再びメールの続きを読むため、視線を画面に戻す。


『ここからが本題なんだけど、私から君に望むことは、この世界へスポーツを広めて欲しいってことさ。手っ取り早くまずはキミの得意な野球から。そしてサッカーにバレー、バスケットボールやテニス辺りかな。娯楽は心を豊かにするし、戦いばかりじゃ心が貧しくなっちゃうからね。

 それと、キミは野球以外の知識が少ないだろうから、ステータスウィンドウの下の方にあるテキスト記入欄へ記入してくれれば、情報を得られるよ。道具類を揃えるための必要素材なんかも調べられるから、うまく活用して欲しい。

 それじゃあ、私からは以上だ。ここにはキミのは無いけど、は有るからね。存分に楽しんでくれ。頼んだよ』


 最後まで読み終えた僕は、軽く眩暈を感じた。正直、突っ込みたいところが満載だ。

 だいたい、魔法は無いけどファンタジーはあるって最悪だろう。怖ろしい未来しか見えんぞ。


 そんなことを思う僕だったが、この世界は想像以上にハードであった。

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