父母未生以前の本来の面目夏目漱石は円覚寺の釈宗演老師に参禅した。そのなかで、ことに印象に残った公案だろう。掠奪婚した苦悩の解決策?いや、解決策というか、捉え方のひとつを示された。主人公にであり、読者にでもあり。答えは示されてなく、公案の在り方を思わせもする。こう記すと、ただでさえこのサイトでは夏目漱石は読まれていないのに、難しそうだとますます敬遠されそうだ。が、そうでもない。とくにむつかしい問題ともおもわれぬ。夏目漱石の二、三は、読むにしろ書くにしろ、読んでおくにしくはない。
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