第151話 春の月70日/エリナ・グレニーはレンの『馬』とナイジェルの『ヘスの杖』を見てはしゃぐ
「エリナ。それはどう見ても馬じゃないわ。尻尾も鬣も無いじゃない」
「馬だよー。尻尾は今から作る」
エリナはセーラの指摘に唇を尖らせ、自分が作った『馬』の尻の部分をむしり取る。
レンは自分の尻が痛くなった気がして顔をしかめた。ロレッタとナイジェルの粘土はまだ形が出来上がっておらず、頑張って成形している。
エリナはむしり取った粘土を雑に一本の形にして、凹凸が激しくなった『馬』の尻にくっつけた。
セーラはエリナの『馬』に呆れて口を閉ざし、レンに視線を向ける。
レンは後ろ手に隠していた『馬』をセーラに見せた。
「『馬』ですね。綺麗」
「あっ。本当だ。レンも私と同じ『馬』を作ったんだねえ」
セーラはレンが粘土で作った『馬』を見て感心し、エリナは自分の『馬』をレンの『馬』に近づけて笑顔になる。
「俺もできたよ」
ナイジェルは粘土で作った粘土で作った『ヘスの杖』をエリナとレン、セーラに見せた。
「すごい!! ナイジェル様が持ってる杖にそっくり!!」
「丁寧に作られていますね。さすがナイジェル様」
「ナイジェル様はこういう杖を持っているんですね。本物が見たいわ……」
エリナとレンはナイジェルが粘土で作った粘土で作った『ヘスの杖』を見て感心し、セーラはナイジェルが持つ『ヘスの杖・レプリカ』に興味を示す。
「セーラ嬢は何を作ったの?」
ナイジェルはセーラに問いかける。セーラは四角い形の粘土板に切れ込みを入れていた。
「これは『パズル』です。欠片を繋ぎ合わせて一枚の四角い板に戻す遊びなんですよ」
セーラはそう言いながら、四角い板を欠片に分け、さらにそれを四角い板に戻した。
ナイジェルとエリナ、レンはそれを見て拍手する。ロレッタは粘土細工に集中していて『パズル』を見ていない。
「ロレッタは何を作ったの? まだ途中?」
エリナはロレッタが粘土で何を作っているのか気になって彼女の側に寄り、手元を覗き込む。
床に座って粘土を成形していたロレッタは手を止めてエリナを見つめ、口を開く。
「わたしはまだ時間が掛かりそうだから気にしないでください。細部にも凝りたくなってしまって」
「そうなんだ。完成したら見せてね」
「はいっ」
ロレッタはエリナに笑顔で肯く。
ロレッタ以外の4人は成形を終えた粘土細工を『錬金』で固めることにした。
***
ギフトをありがとうございます!!
限定近況ノートにもお礼を記載しました。お時間がある時に読んでいただけたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
いつもハートを下さったり、読んでいただいてありがとうございます。嬉しいです。最近(2023年9月下旬)は新型コロナやインフルエンザが流行ってきているので、お互いに元気で、楽しくネット小説を読んだり書いたりできたらいいなあと願っています。
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