第81話 エリナ・グレニーは食堂で学舎の屋上に作業台があることを教えてもらう

エリナは食堂で昼食を食べて、午後の予定を考える。

図書室で調べた『炎熱石』はコルム島北東にある切り立った崖にあるというから『コルム島北の森の入り口』へのフェアリーサークルを使えば移動距離を縮められるだろうか。

でも、崖を掘る道具がなければ『炎熱石』を手に入れることはできないかもしれない。エリナと一緒に行動してくれるレンとナイジェルに相談したい。


『Ⅱ-4』教室にはツルハシが売られていたのだが、エリナはツルハシが鉱石を掘る道具だとは気づいていない。ツルハシを見たことが無かったからだ。

カウンターに空の食器を乗せ終えたエリナが悩んでいると、シリルが食堂に入ってきた。

エリナはシリルに相談してみようと思い、彼の様子を窺う。

シリルが料理を選んでトレイに置き、テーブル席に座ったのを見計らって、彼のところに歩いていく。


「シリル様、一緒に座ってもいいですか?」


「いいよ。どうぞ」


シリルはエリナに微笑んで肯く。

エリナはシリルの食事の邪魔をしないように、彼が食べ終わるのを黙って待つ。

シリルは口に入れた鶏肉のから揚げを咀嚼して飲み込み、口を開く。


「エリナ。僕に話があるんでしょ? 食べながら聞くから、話していいよ」


「ありがとうございます、シリル様」


エリナはシリルにお礼を言って、図書室で『炎熱石』のことを調べたけれど『炎熱石の粉』についての記載を見つけることはできなかったと報告した。


「『炎熱石』はコルム島北東にある切り立った崖にあるらしいんですけど、崖を掘る道具が無いと採取できないと思います。あの、ソルトハーブの葉を乾燥させるアイテムは『炎熱石』で合ってますか?」


「うん、合ってるよ。『炎熱石』を採取して『炎熱石の粉』を作ってもいいし『炎熱石の粉』を買ってもいいと思う。『炎熱石』や『炎熱石の粉』を手に入れるまでは、天日でソルトハーブの葉を乾燥させてみてもいいと思うよ」


錬金より錬金でない作業をする方が時間が掛かるけれど、今のエリナは時間を掛けて作業をした方がいいのかもしれない。

シリルは考え込んでいるエリナに微笑み、口を開いた。


「学舎の屋上に作業台があるから、重しになる石を拾って、屋上にソルトハーブの葉を並べておくといいよ。重しを忘れると風で吹き飛ぶかもしれないから気をつけてね」


「はいっ。やってみます」


エリナはシリルに肯き、元気よく立ち上がる。

まずは、屋上にソルトハーブの葉の重しになるような石を拾いに行こう。

エリナはシリルにお礼を言って、足取り軽く食堂を出た。

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