第27話【今、額に銃を突きつけられて、この詩を書いています】


堪忍してつかぁさい


誰彼が発したその言葉が妙に頭に重く響いた朝


件の警察官の制服とゲートルが


きちんと枕元にたたんで置いてありました


猟銃             姉の恨み  

   身代金              血の粛清


今日がその日なのです

非常にタイトでヘビーな一日になると思います

世の中の人はこの日を一一・一四などと呼んだりするのでありましょうか?

まこと気の毒な事であります


姉があの岸壁から海に飛び込んだのは昭和57年

月の綺麗な夜でした

木に彫ってあった姉のものと思われる遺書は

全て暗記致しました

軍人が辞世の句を詠んだような文言が壮絶でした

姉の葬儀はしめやかに私たち家族だけで執り行ないました


【ニセ警察官による職務質問】

          

     (毒ガスは楽園のような土地で作るのがよいとされている)


堪忍してつかぁさい


猟銃を磨き、猟銃に弾を込め、警察官の制服に着替えて、姉の遺影に手を合わせた今、誰彼が発したその言葉も非常に心地良いもののように思われます


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