第10話 【冥い祈り】


白亜の塔で冥い祈りを聞いた


それは悲鳴のようであり、すすり泣きのようでもあった


暗くただ広い虚無の海に投げ棄てられ、寄る辺なく漂う不安と寂しさに身を任せている


これはたった独りの私の心情であるが、誰とも共有される事なく、きっと無数に転がる、衆生の祈りでもある気がする


それを救えるのは弥勒菩薩


私は気が遠くなる年月を待たず、一刻も早く弥勒菩がこの世界に顕現する事を願ってやまない

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