第3話 【雨女の事情】

二人でかき混ぜた島国を追い出されて雲の上にいる。


雨乞いの神社でかごめかごめをして遊んでいた罰として人柱にされたみたい。


人柱になった人間は神になって人間のために天気を操るんだって。


でもそんなの理不尽だから私は人間のためではなく自分のためにずっと雨を降らせる事にしたの。


悲しさと寂しさが癒えるまで雨を降らせる事にしたの。


大きな川が氾濫して人が死ぬような事があったりした時だけ、愉快だから晴れにする。


「お稲荷様のイタズラ」とか、「龍神様のお怒り」とか、人は私が決めた天気に好き勝手言う。


私の機嫌を取りたかったら可愛いてるてる坊主でも家の窓にぶら下げればいいのに。


ある日団地に住んでいる女の子が、降り続いた雨で喘息がひどくなって死んじゃった。


その父親も部屋で首吊って、その姿がまるでてるてる坊主みたいだったから、私は二人の命日の時だけ晴れにする事にした。


必ず晴れるのはその日だけ。


その日はみんな虹を見て、「神様ありがとう」と私に感謝する。


それが嬉しくなってそれから私は少しずつ晴れ女になった。






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