【鎌鼬】



右膝のへの字に縫った傷痕は


そうだ、鎌鼬がやった


それは幼い頃昼下がりの田圃で


友達と影踏みして遊んでいる時だった


小さいつむじ風


鬼と一緒に追いかけて来たつむじ風が


ザックリと走り抜けて


パックリと膝を割った


血は出なかった


ああ、鎌鼬がやった 鎌鼬がやった

鎌鼬にやられた!


泣きじゃくっていると友達が母親を連れてきて


その母親が僕をおんぶした


鎌を持った鼬の姿は見ていない


だけど鎌鼬にやられた


一生残っていく傷痕


たった一度きりだけど


確かに鎌鼬にやられた


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