第7話 キュンが止まらない
私はもはや抑えが効かなくなった!!
「マリアンネ…様?ご気分は?」
と心配そうにするジークフリート様の手をガシっと掴む!手袋外さなかったのを褒めて欲しい。しかし怪しげな飲み物に何か淹れられたせいで私の目はハートになり顔は赤くなり普段の私とは別人になった。
「んもう!ジークしゃまったら!何か入れましたわねっ!?」
「ひえっ!!」
とジークフリート様はバレたので青ざめたが私の変わり様を見て
「あ、ああああのごめ、なさ!」
と何とか謝ろうとしている。
「ゆーるさーなーい!こんな卑怯な真似してっ!こんな…私をキュンキュンさせて殺そうとなさるなんて!」
と言ってしまった!!ああああ!無理だー!!
「い、今キュンと言いましたね!?や、やった!!第一条件クリア!!」
とめちゃくちゃ喜ぶジークフリート様。
「酷いですわ!不正ですわあ!ひえん…ぐすん!!」
とキュンキュンしながらも涙が出たのを見てジークフリート様が慌ててハンカチを出し
「ご、ごめんなさい!!その…ベッケル先生が持っていけと…」
と言いあいつのせいかーーー!!おのれーーー!正気に戻ったら覚えてろよーー!!ですわ!!
しかし飲み物のせいでキュンはまだ止まらない!!
「くうっ!マリアンネ!不覚ですわぁ!」
と言いジークフリート様にもたれかかる様にしてしまった!体が熱くて沸騰しそうだ。キュンも止めようとしても止まらず、ついに
「マリアンネ様!大丈夫ですか?外の空気吸います?」
と流石にジークフリート様が外へ出ようとするのを引き止めた。
「いやいや…!折角…ジークしゃまと二人きり…なのにぃ…もっといたいぃーー!」
「えっ!?」
「ジークしゃまのこと好きぃー!好き好き好きですわぁ!」
と私は私が止められない!
「ふえええっ!!?」
とジークフリート様がなんか赤くなる。いや暗くて気のせいかも。
結局私は薬の効果が切れるまでジークフリート様にもたれかかり劇ではなくずうっとジークフリート様の顔を見ていてジークフリート様は終始おろおろしていた。
劇が終わる頃ようやく薬の効果が薄れて私はバッと離れた。顔を背け己の失態に震えた。いや、そもそも唆して薬を持たせたあのベッケル家のクソ教師が悪いのだ!!ジークフリート様に罪なんかない!!
ゆ、許さんコンスタンティン・フォン・ベッケルー!!
「あ、あの…ごめんなさい…ででも先生が不正のことは条件に書かれて無かったって言ってその…でも本当にごめんなさい……」
とジークフリート様は誠心誠意謝る。私はようやく落ち着きを取り戻した。
「……そうですね。条件に書いておかなかった私が悪いのですわ!気になさらないで!今回はクリアとしますわ!良かったですわね!私と何度もデートする機会は無くなりましたわね!!」
と言うと何故かジークフリート様は罪悪感からか
「あ、あ…そうですね…ごめんなさい」
とまた謝った。
「今度からは不正は無しですよ」
「は、はい!!次の条件お待ちしてます!」
とジークフリート様はまだ婚約破棄を諦めていなかった事に内心ショック。
そりゃそうよ。婚約破棄の為にやってることだものね。私は嫌われてるし。
「劇も終わったしデートもクリアしましたし…お先に帰っていいですわよ?うちの者も控えていますし、ジークフリート様も護衛の方がお待ちでしょう?」
と言うとジークフリート様は
「あ!あの!失礼ながら!不正をしたお詫びに!お食事でもご馳走を…」
と言うが私のプライドがそれを打ち消した。
「結構よ!!そんな気を遣っていただくことはないわ!私が怒りを我慢してる間に消えてくださらないかしら?次の条件はまた考えておきますわ!」
と私は後ろを向く!こうでも言わないと去ってくれないし自分でも泣きそうだからだ。
「わ、わかりました!!ししし失礼します!!」
結局逃げる様にジークフリート様は去って行った。
はぁ、束の間の時間だったわ。二人でいれたことは嬉しかったしもういいわ。二度とデートできそうにないけど。
するとシモンが入ってきて声をかけた。
「お嬢様……ジークフリート様は護衛騎士の方と一緒に帰っていかれました。うちの馬車も用意しておりますが…まだ涙止まりません?」
「ぐす!もうちょっと!!待って!!」
と言うとシモンはいつもの様に茶化さず待ってくれた。こう言う時は空気読むいい奴なのは知ってるわ。
それから私はチラッとジークフリート様の座っていた椅子を見て
「シモン…この椅子…劇場から買い取ってほしいの」
「…………畏まりました。お嬢様がこれで私のをぐりぐりされるのを期待してます!」
「するわけないでしょど変態」
「ありがとうございます!」
といつものようにやり取りして私は椅子を買い取り後日その椅子がやって来たら一人で部屋に篭りニヤニヤした。
でも次の条件は何にしようかしら。変な薬を与えたコンスタンティン先生にはブチ切れそうになるけど私も甘かったわ。
「お嬢様…こんなのはどうでしょう?お嬢様も今回はベッケル家のクソ教師にしてやられましたでしょ?本当はそのストレスを私に是非当てて欲しいものですがここは涙を呑んでコンスタンティン先生に罰を与えてみるのは?」
「そうね、奴には罰が必要よ!婚約破棄の為ならジークフリート様はどんな難題でも叶えると仰ったわ!その覚悟を見せてもらうわ!……コンスタンティンのクソ野郎が寝ている隙に…眉毛を剃って貰いましょうか!」
と言うと
「ええええっ!お嬢様!生ぬるいですよ!!いくらコンスタンティン先生が美形で女生徒に人気があるからその程度!?どんだけお優しいんですか!?
私ならジークフリート様がコンスタンティン先生を呼び出しわざとデートに誘い出し当日は別の男色の男達を数人呼び出して後は先生に惚れ薬を使いペロリと食べさせるとかですね」
と言った。
「な、何ということを考えるのシモン!それならコンスタンティン先生を一度浮かれさせておいて地獄に突き落とす事ができるじゃないの!!我に返った先生はさぞ悔しいでしょうね!!コンスタンティン先生に復讐できて一石二鳥!」
と言うとシモンは
「ああっ!お嬢様が私の提案にゾクゾクなさっている!今こそ私のことを糞虫の様な目で見て踏み付けてぐりぐりかましてほしい!!」
と懇願される。
「でも第二の条件簡単すぎやしない?そんなのジークフリート様は直ぐにクリアで面白く無いわね」
と言うと
「では追加でもう一度普通にお嬢様と不正なしでデートやり直しを要求すれば良いじゃないですか。もちろんコンスタンティン先生が食べられている間に。その方がお嬢様も気分がよろしいかと?」
なっ!デートのやり直しですって!?しかもコンスタンティン先生が男色の男達にあんなことやそんなことな展開になっている時に?
なんてゾクゾクドキドキキュンする展開なの!?
「シモン…それを採用するわ!」
「はっ!早速ジークフリート様にお伝えしてきます!帰ってきたら私にご褒美として踏み付けていただきたい」
「黙れこの変態が!」
と言うとシモンが嬉しそうに部屋から出て行った。
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