第6話 キュンしてたまるものですか!
ああっ!ついについについに!やっとジークフリート様との初デートである!長かった!!朝は朝日が登る前から起きて念入りに風呂に入り髪を綺麗にして髪飾りで飾り緑のドレスを着ていく。仕上げにほんの少しだけ香水をかけた。
手袋も用意した。たぶん直には触らないだろうがデートと言えば手を繋ぐ恋人達が多いのを知っている。でもどうせ外さないだろう。
それにキュンを見抜かれたらもうこれっきりのデートとなってしまうので私は気合を入れた。心の中ではときめいても表には出さない!それがカウン家の令嬢だ。
あくびをしながらシモンが
「おお、美しい!こんな朝早くから起きて支度してまだまだ時間があるのに案外可愛らしい一面も!はあ…どうせなら余っている時間で私を踏んづけてください!」
「靴が汚れるから嫌よ!このど変態!」
「うおおおお!ありがとうございます!変態と呼んでいただき至極光栄であります!お嬢様今日はとても機嫌がいいですね!!」
「ふん、当たり前だわ。でも絶対に…カウン家の名にかけてキュンは出さないわ!」
「もはや物凄いデートになりそうだ…。私こっそり見守ってますね!」
変態に見守られたくないけど仕方ない。こんな変態でも一応護衛兼執事。
そうして朝食を食べた後は念入りに歯磨きしてとうとう出発の時間。馬車に乗り込み待ち合わせ場所へと向かった。
*
待ち合わせ場所では既にジークフリート様が待っていた…。はぁん!もう既に内心はキュンが大爆発しているが私はカウン家の令嬢。決して顔には出さなかった。凄い!
ていうかそこの街娘共!私のジークフリート様をジロジロといやらしい目で見るんじゃないわよ!!あいつらが妄想でジークフリート様を犯しまくってると思うと嫌すぎる。
私は周囲を睨みつけ
「ご機嫌よう!ジークフリード様!では行きますわよ!」
と歩き出す!
「わっ!ま、待ってください!!」
とジークフリート様は慌てて着いてくる。並んで歩くのは無理だった!
ジークフリート様が横にいるなんて心臓止まるわ。だから常に私は前を歩いた。
あまりにもせかせか歩くからジークフリート様が
「ままま、待ってください!!歩くの早い!」
と私の腕を掴んだ!!ぎゃわーわーわー!!内心悲鳴を上げた!
ジークフリート様が私の腕に触れたのよ!!?あああ!このドレス洗わずに一生匂い嗅いでられる!!
「あら…ごめんなさい。そう言えばデートでしたわね!!私デートは初めてですの」
と言うとジークフリート様が意外な顔をした。
「えっ!?そ、そうなんですか?僕はてっきりマリアンネ様は手慣れているのかと…」
と言うので
「失礼な!私はジークフリート様みたいにどこぞの王女やら令嬢やら男共に好かれてはいませんわ!私は悪魔令嬢と呼ばれて嫌われておりますのよ?デートに誘う男性などいませんわ!」
とふん!と横を向くと
「そ、そそうなんですか…では初めて同士ですね!」
と言われキュンとした。しかし内心思ったが顔には出さなかった。流石私!ここでキュンしたらデート開始後5分でクリアしてしまう!!
もっと気を引き締めなきゃね!
「それで?ジークフリート様は私を何処へ連れて行ってくださるのかしら?私がときめく様な場所なら良いのですけどね!!」
と言うとジークフリート様は
「は、はい!あの…劇場の予約をしております!そそその一応上の貴族席を取ってまして…ごゆっくり観られるかと!」
と言ってキュン爆発がまた起こりそうになる。かかか観劇!?それはあの婚約者や恋人同士が行くところ!!
しかも貴族席っ!!貴族席は…上から観劇できる所で他と区切られており異常に密着し、あまつさえ観劇中に貴族達はいやらしい事をーーーー!!!
と本当にもうヤバイ!耐えるのよ!!
私は平静を装い、
「まぁ…初めてにしては中々やりますわね。内容が面白くなかったらアウトですけどね!」
「あ…はい…とりあえず若者に人気のある流行りの劇らしいので……」
と自信なさげだ。ふふっ!これなら次もデートできるわ!
そうして私達は劇場に向かい予約席へと行く。
椅子が二つ並べられて軽く軽食も取れるようだ。サービス満点ね。
「どうぞ!」
と椅子を勧められる。ひいー!!ジークフリート様が近い!!きゃあーー!
ウェイターに飲み物を頼んだ。劇が始まる様で暗くなる。く、暗闇で二人きりとか!(下には客が沢山いるけど!)
やだ!手を繋がれたらどうしよう!?
しかし繋がないわよね!
「あ、飲み物来ました」
とジークフリート様が受け取りテーブルに置く。
すると劇が始まった。とりあえずキュンしない為に劇に集中しないと!
と私は劇を見た。中々いい演技じゃないの…。恋の歌を歌う女優。引き裂かれた二人だが愛し合うのは止められない!隠れて愛を育む二人に涙する。
夢中になって劇を観ているとジークフリート様が飲み物を渡した。
「のの喉渇きませんか??」
と言う。
「そうですわね」
と受け取りとりあえず渡してもらうときに手袋越しに指が触れ落としそうになったがなんとか耐えた!暗くて良かった?キュンがバレにくい。
これは誤算でしたわね!!ジークフリート様!
私は飲み物を飲み干した。
「……」
ジークフリート様は何故か劇ではなく私を見ていた。
?
どうしたのかしら?ていうか私じゃなくて劇をー…と言おうとしてドクンと心臓が急におかしくなる!いやおかしいのはいつものことだけどそれに輪をかけて激しくなる!ジークフリート様が暗闇でも光って見える謎現象に襲われた!それに暑い!!
「あ、あの…だ、大丈夫ですか??」
と聞かれる。
「え?な、な何がですの?」
「あのえっと…」
と言い淀んでいるジークフリート様から目が離せない!隠してるキュンが大きくなる!!なんか…変だ!?
いつもより…表に出したくなっている!
そこで私は気付く!飲み物!!
まさか!そんな!ジークフリート様!?あれに何か入れたの!!?いやん!不正!?
どうしようでもキュンが止まりませんわ!!
あーーーーー!!もももも、もうダメええええ!!
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