第17話 残り5つの条件
ここ2~3日…私は学園をお休みした。
シモンも付き合って休んでいる。
「お嬢様…お嬢様?ランチの時間でございますよ?」
と何か話しかけている。
頭がふわふわしている。
そう!全てはジークフリート様のせいですわ!
この私にいきなりあんな!あんなことをするから!!
思い出すのは塔で「お姫様ごっこ」をシモンとしていて助けに来た王子さながらのジークフリート様にギリギリでクリアされ帰宅に着こうとした時…不意に油断した私は手を取られ手の甲にジークフリート様からのキスを受け全身が沸騰する思いで帰宅したのだった。
馬車の中なんてもはや気絶していた。
気付いたらベッドの中であった。恐ろしい!
「恐ろしいわ!ジークフリート様の不意打ち!そしてこの手を洗いたくない!」
「いや、汚いから洗ってください。お風呂の時も手袋外さなくて侍女が困っております」
とシモンがなんか言う。
「あなたは好きな人からキスを受けた事がないからわからないのよシモン!」
と言うと
「後20秒でお嬢様と熱い口づけをできたと言うのに惜しかったですよ。私は無念ですがその後に腹を殴られたので幸せですけど口づけもいつか必ず!」
とシモンもポッとする。
「あんたみたいな変態とするわけないでしょ?他を探して!」
「でも一生その手袋外さないで学園にも行かないのは流石にダメですよ。私が旦那様に怒られます」
と言う。うーん確かに。恥ずかしくてとてもジークフリート様の顔を見られないと思っていたけど不審に思われてもね。
「わかったわ、明日からまた行くわよ。名残惜しいけどきちんと洗うわ。でもその前に」
スポンと手袋を外し私は自分の手の甲にチュッチュッとキスをして
「はぁ…ジークフリート様との間接キス…どうしましょう私ったら幸せ過ぎてもう死ぬんじゃないかしら?」
「お嬢様戻ってきてください!まだ私をグリグリと踏んづけてもらってないので困ります!
ああダメだ、頭の中お花畑だ!お嬢様しっかり!鼻血まで出してます!」
と拭かれてようやく我に帰る。
「一旦落ち着くわ」
「紅茶でございます」
と差し出されたものをグビっと飲み干す。
「それにしてもお嬢様…コンスタンティン先生とリア様を利用してあの二人もさぞお怒りでしょう」
「あら、大人しく療養させなくてよ?これで諦めてくれるといいのだけど」
と言うと
「麻痺で安静にしていたあの二人を無理矢理攫いリア様は縛り付け幽霊のメイクを施し入口に逆さ吊りにして…コンスタンティン先生には鎧を着せ兜をはめて視界が見えにくい中階段を歩かせて転倒させ階下まで転がり落ちて…さぞお怒りかと」
「それでも甲冑を付けてたお陰で死ななくて済んで良かったじゃない?私は優しいのよ?」
「おお!流石悪魔令嬢と名高いお嬢様!素敵すぎる!惚れ直します!!今すぐぐりぐりされたい!
…しかし…本当に殺されたら叶いませんから私も流石に気が抜けなくなりますね…。
影の者達に動きを探らせていますがニーナ王女も何とかしてお嬢様を亡き者にする計画を練っているそうです」
「はぁ…皆どうして私を殺そうとするのかしら?美しいって罪ね」
とため息をつく。
「それに婚約破棄の条件は後5つとなってしまいましたね。本当によろしいのでしょうか?」
「…シモン…私は覚悟を決めたのよ。ジークフリート様が条件を全てクリアし婚約破棄が成立したら…潔く身を引くわ。好きな人の望みですもの!」
「うっ!お嬢様!!なんて健気な一面も!……ストレス発散で私を踏んづけていいのですよ?」
と言うシモンに
「そうねぇ…全部クリアされたらシモンの望みも叶えて好きなだけグリグリと死んだような目でしてあげるでしょうね…」
「ええ!それは光栄の極み!!その時を楽しみにお待ちしております!!」
とシモンは嬉しそうだ。うん、変態。
残り5つか。ジークフリート様は時々私を見て赤くなるから勘違いしてしまいそうになるけど彼は婚約破棄の為条件をどんどんとクリアしていく。私も辛いが仕方のないこと。終わりはいつか来るのだから。
「でも…そうね…ジークフリート様には幸せになってもらいたいけど…私と婚約破棄したら私を暗殺しようとしたりする様な性格ブスな連中とはくっついてほしくないわ!少なくてもちゃんと心が清らかで清楚可憐な娘がいいわね。
そうだわシモン。次の第六の条件は清楚可憐な次の候補者をジークフリート様にご紹介しましょう」
と言うとシモンは
「そんな…自ら真綿で首を絞めるような真似をするなんてお嬢様のお心が心配です…。本当にいいのですか?ジークフリート様が他の清楚可憐な娘を候補者にして」
「いいのよ。ニーナ王女やリアやコンスタンティン先生を出し抜けるのなら…。というかせめて私に似たような性格だと好ましいわ」
と言うとシモンはグハっとなった!
「…お嬢様!!なんて方だ!貴方はもしや清楚可憐なお心の持ち主だとお思いで!?」
「ええ、そうよ?私のような完璧な清楚可憐な女はいない…と言うことはやはり私が次の候補者ということで!?」
「本末転倒過ぎます!くそっ!こう言うところ好きですお嬢様!!一生ついていきたい!!」
と言うシモンは悶えて苦しそうだ。
「そう言うわけで私の影武者を用意して躾けてくれる?」
「影武者ですか?」
「ええ、みっちり清楚可憐を叩き込んでちょうだい!」
「はっ!お嬢様の心のままに!」
*
ということで私シモンはお嬢様の影武者を探しに現在スラム街に来ておりお嬢様の似たような容姿の娘さんを探しておりまーす!中継はまた次回!
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