第11話 ごろつき達から逃げる
「大丈夫ですか?マリアンネ様!」
と言うジークフリート様は心配しつつも顔が赤い。
「大丈夫ですわ!道が悪いんですの!直した方が良いですわね!子供が転んだらいけませんもの!」
と言うとジークフリート様は
「子供さんのご心配をされるとは流石ですね!」
「当たり前ですわ!引っかかりのことは町長に後程報告させて修繕させなければ」
と言い歩き出した時…足首捻ったのか激痛が走る!
「痛っ!」
と顔を顰めるとジークフリート様が気付いて
「マリアンネ様!!」
と心配される。
「ふ!これしき!問題なくてよ!」
こんな事でもう家に帰り台無しになったらかなわない!!せっかくのやり直しデート!足が千切れてでも!
と思っていると…そこへ…
「ようよう…見せつけてくれんじゃねぇか?デートかい?随分と良い格好してるな!特に女のドレスは高く売れそうだ!」
とでっぷりとした男とその後ろに数人のごろつき共が現れる。
「うおっ!よく見たら男の方もすげえ綺麗な顔しやがって!!こいつあ高く売れそうだ!今日はついてる!」
と言い出した!この肉ぶくれ男…。まさか私のジークフリート様を売り飛ばす気!?許せん!
ギロっと睨むと
「ふお!何だその目は!?」
「兄貴!こいつまさか噂の…悪魔令嬢じゃ!?銀髪赤目の…」
と言うと男達の後ろにチラリと見覚えのある茶髪が見えた!!壁に隠れてチラチラとこちらを窺っているあれって!!
リターーーー!
お前かあああ!!
リタは男達を雇いどうやらどさくさに紛れてデートの中断とジークフリート様の誘拐を目論んでいる!
彼に目隠して襲いかかるリタが目に浮かぶ!くっ!そう上手くいかなくてよ!
そこへグレゴールとシモンが現れたのだ!!
「お嬢様!!」
「ジーク!大丈夫かっ!?」
とジークフリート様の友人の護衛騎士グレゴールとシモンがこう言う時のために付けて来たのを私は知ってる!浅はかでしてよ!リタ!
シモンはそこそこには強いしグレゴールも強い!
「ジークフリート様!お嬢様を安全な場所へお願いします!!」
と言うとジークフリート様はハッとして
「行きましょう!マリアンネ様!」
と手を引いてくれるのに喜んだが
「うっ!!痛っ!」
忘れてた様に足の激痛!!
本当に忘れてた!これじゃ逃げれない!
「私の事はいいのでジークフリート様だけでもお逃げになって!変な女が追って来ても振り返らないで!」
「はぁ!?何を言って!?…失礼します!」
となんということか!ジークフリート様は私をお姫様のように抱き抱えて逃げ出した!!
ぎゃあーー!!
こんな夢シチュが来ようとはー!!
しかし私はリタが頭に布を被り追って来ているのに気付いた!あの女!!
私は屋台の林檎屋に積まれた箱を見つけその後ろにある通路を発見した。
「ジークフリート様!林檎屋の後ろに通路がありますわ!ひとまずそこへ!」
「えっ!?は、はい!」
と指示された方に行くジークフリート様。私は追ってくるリタ目掛けてわざと林檎の箱に手をぶつけてひっくり返えさせてリタの行手を遮った!!
林檎箱から鍵が出ていたのか少し擦ったようだ。痛い。
ゴロゴロと転がる林檎に店主や町の人たちがわらわらと集まってリタが遮られておろおろしている。
「今凄い音しませんでした!?あっ!!マリアンネ様!!手から血が!!」
「あらどこかへぶつけたみたいね」
でもカウン家の女は痛いよーと泣くことさえ許されませんの。
「何やってんですか!!しっかり僕に捕まってないから!!もう安全なとこまで逃げるまでしっかり首に引っ付いててください!」
と言われもう胸は張り裂けそうなほどキュンとした。しかし
「これしきのことで私は慌てませんが仕方ありませんわね」
と言い首にしがみ付きもう夢心地である!
ようやく川辺の石橋の下に隠れて少し待つことにする。ドタドタとリタらしき足音が橋の上を通過した音がした。
「!?まだ誰か追って?」
私はジークフリート様の口を怪我してない手で塞ぎ耳元で囁いた。
「静かに!奴らの仲間がまだ探し回ってます!」
とそのまま密着したまま静かにした。
ふあん!ジークフリート様の匂いが!!スハスハと思い切り吸い込み堪能した。
ようやくしばらくして離れるとジークフリート様はなんだか赤くなりおどおどして私の怪我を見てハッとしてハンカチを巻き応急処置と
「すみません、足首だけ見させてください?」
と言う。私はドレスの裾を持ち上げて確認すると足首は捻って腫れていた。痛いはずね。
「まあ…少し休めば大丈夫ですわ。カウン家の者は怪我などで動じたりしませんのよ」
と言うとジークフリート様は
「…何言ってるんです?痛いでしょ?家の掟か教えかわかりませんが強がらないでください!僕なんて直ぐ泣いちゃいます!
それに僕がもっと注意してれば足も手も怪我しなくて済んだので僕のせいです!美しいマリアンネ様に怪我なんて!どんな罰を受ければいいのか!」
と青ざめる。
「全く!ジークフリート様のせいではないと言うのに。道が悪いのと追ってを振り払うため林檎箱を倒した時に怪我しただけですわ。罰など与えませんわ。どれだけ私を怖がっているのです?処刑でもすると思ってるのかしら?いくら悪魔令嬢などと呼ばれていてもそこまで悪魔ではありませんのよ?」
と言うとジークフリート様は
「すみません、そんなつもりじゃ…。ああ、グレゴール達は大丈夫でしょうか?」
と言うのでそのとにわ
「うちのへんた…コホン、シモンならそこさこ強いので今頃グレゴール様と協力してぶっ倒して憲兵に突き出しているかもしれませんわ」
「そうですか…。あの…、シモン様は…そのうとてもマリアンネ様のことをよくわかってらっしゃる…」
「まぁ私の執事ですからね」
「シモン様は…マリアンネ様に気があるのでしょうか!?」
と突っ込んだことを聞かれる。それはあるっちゃある。言うのは変態的願望だけどね。
「……私はありませんわね。ただの執事ですわ。向こうはどうか知りませんけどいきなり襲いかかるような理性のないクズとは違いますから」
理性のない変態言動は多いけどねと付け加えたくなる。
「そうですか…良かった!」
とほっとした様に言うジークフリート様。ん?あれ?どうして良かった?
「ジークフリート様…貴方私と婚約破棄したい癖に良かったとはどういうことですか!?」
まさか嫉妬!?それならば許すけど!!
ジークフリート様はしまったと言わんばかりにおろおろしている。
「な、何でもありません!!ごめんなさい!!ごめんなさい!」
と謝る。なんなの!?嫉妬だと嬉しいのにそんなに謝ることないのに。
そこでシモン達の声がしてデートは終了する。シモンは私をおぶり
「ジークフリート様!ごめんなさい!うちのお嬢様が歩けなくなってしまわれたので今日は失礼しますね!」
にっこりと言うシモンにジークフリート様は
「はい…怪我を…させてすみませんでした…」
とまた謝り傷ついたような顔をしていた。
「ではまた!ジークフリート様!」
と別れて私は馬車までシモンにおぶられて行く。
「はあ、本当ならおんぶではなくお馬さんになりたい!」
「そんなことを街中でしたら殺すわよ」
と言うと
「あああ!痺れる!!街中でなければしてくれると!?」
「するわけないでしょうが!!」
といつものやりとりをしつつ馬車まで運んだのだった。
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