第10話 2回目のデートと相談
本日はジークフリート様との2回目の正式なデート!!今度は不正なしだ。勿論これは罪滅ぼしのデートであるから前回クリアして今回もこれが終わればクリアして次からデートに誘うのは困難だろう!堪能しないと!!じっくりと!
「あ、あの…ほ、本当にその、先生は大丈夫でしょうか?また僕騙して…心苦しいと言うか…」
なんと言うお優しい方!ジークフリート様は天使だわ!あんなベッケル家のクズ教師に同情するなど!
「心苦しい?向こうが私に惚れ薬を使えと言ったのでしょう?結果前回はあんな思ってもない事を口にしたわ!同じ目に合わせて何が悪いのかしら?
先生も少し反省なさるべきですわ!ジークフリート様が気にすることはありませんのよ!」
そう言って笑いそうになるのを堪える!
だって奴は今頃屈強な男達に捕まっている頃だろう!ざまあみろ!!
「…うう、先生に恨まれるかもしれません…」
と言うジークフリート様に
「ジークフリート様に何かしようとしたら私がお止めしますからご安心を、公爵家の影の者達に命じてジークフリート様を警護致しますわ」
「えっ!?そこまでしていただかなくても!?」
「いいのですよ?ジークフリート様はベッケル家のあの男色教師に狙われているのですから!それともジークフリート様はコンスタンティン先生の事をお好きなのかしら?」
と問うと流石に青ざめて
「い、いえまさか!そんなわけないです!教師としては尊敬しますけど恋愛感情なんてとても!」
と言ったので安心したわ。コンスタンティン先生ざまあ!!
ジークフリート様にそっちの気はないわ!
これから雇った男色筋肉男達に食べられてる間に私はジークフリート様とデートするわ!なんて気分がいいのかしら!!
「さっさと行きますわよ!今日は不正なしのやり直しですから!まあ、前回もうクリアしてるので罪滅ぼしということで別に今日限りで構いませんわ」
と言うとジークフリート様は
「あ…は、はい…わかりました…」
と少し寂しげにした。ああっ!私とのデート惜しんでくれたらいいのに!!
でも彼は婚約破棄を望んでいるし私は嫌われているものね!くっ!
「あの…どこへ…」
「私以前から平民の屋台で歩きながら料理を口にしたかったのです!ジークフリート様もしたことありませんわよね?」
と言うとジークフリート様は
「あっ、すいません…僕は…その友人と街に行き屋台の串焼きを勧められて食べたことはあります。普段食べ慣れないので美味しかったです」
と言った!!
な、なんですって!?友人!?まさかいつもくっついてるあの護衛野郎かああ!?
平民食べ歩きツアーのジークフリート様の初めてを奪うとは許せない!
「……マリアンネ様は食べたことがないようだから僕が案内しますね!人が多いのではぐれない様に…お手を繋いでもいいですか?
グレゴールもよく人混みでは危険だからって手を繋いでくれるんです」
そう言って笑うのに内心キュンキュンする。
護衛野郎との手繋まで先に奪われてしまったが女との手繋ぎは私で初めてのはずよ!
「ふん、仕方ありませんわね!手袋越しでお願いしますわ!」
「は、はい!」
とジークフリート様はそう言うと手を差し出したので私は心躍りながらも手を取る。
ああーーーー!!手袋越しでもジークフリート様との手繋ぎ!嬉しい!最高!涎出ちゃう!何の祝福?幸せすぎる!!
しばらくすると屋台が並んでいて美味しそうなお肉の匂いがした。
私達貴族はいつも食事と言えば冷めたものだしいつも毒味役が先に料理を食べ安全確認をされるから冷めたものばかり!
本当に少しだけ気兼ねなく出来立て熱々のを食べれる平民が羨ましかった。
「毒は入ってませんわよね?」
「入ってないですよ、その場で料理するのを見ていられますし!あ、おじさん、串焼きを二つお願いします!」
とジークフリート様は知り合いなのかおっさんに頼んでいた!
「おお!ジークフリート様?今日はグレゴールと一緒じゃないのかい?えっ?恋人?あっ、婚約者様か!!」
と私の燃えるような赤目を見て少しビビるおっさん。
私の悪魔令嬢の噂は平民にまで広がって怖がられている様ね。ちっ!
「どうぞ!!」
と渡されてしまう。丸めた紙に棒の先を包んでいるが手袋を外さなくてはならなくなり仕方なく外した。
ジークフリート様は棒を手で持ち
「こうやって豪快に食べるんです」
とパクリと食べた!!
周りの平民も豪快に食べながら歩いて談笑している。
「はしたないけど…私こんな自由な作法で食べるのは初めてですわ。いただきますわ」
とあーんと口を開きパクリと一切れお肉を串から食べた。
んんっ!これが平民の味!
タレが染み込み美味しいわ!こんな温かいもの初めてだわ!思わず顔が綻んでしまった!!
それを見てジークフリート様は
「美味しいですよね!僕も初めて食べた時そんな顔してたかもしれません!」
と少し照れた。
「ま、まぁ!ジークフリート様も?こんなもの貴族の私達は食べる機会ありませんもの!当然ですわ!」
と言い念願の食べ歩きを果たす。
食べ終わった棒をジークフリート様が受け取り街に置かれたゴミ入れを見つけてきちんと始末した。
気遣い素敵!
「お手が汚れませんでした?こちらに誰でも使えるお手洗い場があります!」
となんか変な顔のモチーフの像の口から水が出ており、平民の恋人達はそこで手を洗い、ふざけて男の方がバシャリと水をかけて遊んでその後イチャイチャしながら去っていった!
「……まぁ…」
それを見ていた私に気付くとジークフリート様は
「あ、僕は水なんてかけませんからご安心を!素敵なドレスを汚させません!」
と言う。残念!私もふざけて水かけてもらいたかったわぁ!羨ましいわ平民!!
普通に手を洗いハンカチを渡される。ジークフリート様のハンカチ!!くっ!持って帰りたいけど名残惜しく返した。
その後もアイスを食べ歩いたりした。
広場では大道芸をしていて皆帽子にお金を入れ
「いいぞー!すげえ!!」
「やるなあ!!ヒュー!」
と火を噴きながらブンブンと回るピエロの様な男に拍手したり口笛を吹いたりしていた。
中でもネズミに芸をさせているのがギョッとした!公爵家で見つかったら即殺されるネズミがなんと芸をして客から金を取っているのだ!!
「凄いわ…あのネズミ…」
とあっけに取られた私を見てふふっとジークフリート様は笑う。
「平民は凄いんですよ?さらに逞しい…。僕達とは大違いですね。僕達にはあまり自由がないから。あれもダメこれもダメで縛られてて。でもここに来るとそんな事忘れてしまいませんか?」
とジークフリート様は言う。
確かに…そうだわ。私は幼い頃から躾けられ勉強ばかり。それに周囲に怖がられ遊び相手さえ私にはいなかった。
いつも一人でいた。本を読み孤独な幼少期だった。
そんな時道の石がボコッと出ていてつまづきそうになった所を慌ててジークフリート様が支えてくださり急接近した!ぎゃーーー!ジークフリート様の腕の中に!!もう胸がドキドキのキュンキュンだ!!
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