第23話 素敵な監禁生活

 あああっ!何という至福の時間かしら!地下室に監禁されて縛り付けられジークフリート様が少しだけ乱暴な口を聞いて…どんなご褒美なのかしら!?

 シモンじゃないけど縛られていても幸せだなんて!


 だってこの部屋にジークフリート様がいるなんて!!ジークフリート様が黒い目隠しを私にしてくれる時もドキドキしてたまらないのを必死で隠して怯えたフリ等を楽しんだ。

 いや、ちゃんとしなきゃ!ジークフリート様はこの前誘拐監禁され怖くて辛かったはず!


 立場が逆になる事でどう影響するかわからないけど。


 食事の時は間違えてジークフリート様の指を噛んでしまい慌てたけどもはや口の中にジークフリート様の味がきゃあああ!もはや私変態になってしまったわ!!


 何て幸せな時間なの!!

 食事が済むとジークフリート様はお風呂まで案内してくれた。

 とりあえず説明を受けるとジークフリート様は直ぐに出て行った。

 ああ…一緒に入って身体を洗ってくれたらと邪な考えが浮かんだが流石に恥ずかし過ぎるからやめておいた。


 湯船に浸かりこの後ジークフリート様が私の後に入るのかしら?やだ!私の出し汁にジークフリート様がお浸かりに!

 それより臭いと思われないよう身体を洗わないと!とゴシゴシさかさかと身体や髪を必死で洗う!3回は洗ってしまった!


 そしてネグリジェに着替える。寝巻きをジークフリート様に見られるなんて!おっと、目隠しをしないとね!

 自分で付けてよろよろと扉を探してジークフリート様の前に出る。

 再び地下室へと連れられギシギシ鳴るベッドに繋がれてしまう。


「さっさと寝るんだ!」

 等と言われ、そんな!勿体ないわ!もうちょっとこの部屋にジークフリート様と共にいたくて小声で


『ジークフリート様!こう言う時はきちんと脅して貰わないと!道具袋にナイフがありますからそれで私を脅すのです!頰や首に当てたり寝巻きを少しちぎったり』

 と言ってやるとジークフリート様は袋からナイフを取り出して私の頰や首に当てたりして脅した。ジークフリート様に脅されるなんて嬉しい!


 もたもたしていたので胸の辺りの布を少し切るように指示してみたら慌ててジークフリート様は


「ぎゃっ!!」

 と言い、慌てて私を毛布で隠して


「くっ、さ、さっさと寝ろおおお!」

 と言いバタバタと地下室を出て行く音がした!


「ああ…残念そのまま襲われたらどんなに素敵な一夜か…。ジークフリート様の残り香を嗅いでおきましょう!」

 とふんふんしながらも眠りについた。


 *翌朝、ゆさゆさと起こされていつもの癖で


「うーん、シモン?もう少し寝かせて…」

 と言うとビタっと止まり…


「シモンさんじゃなくて悪かったですね!」

 と朝からジークフリート様の声がしてドキリとする!この状況を思い出した。


 黒い布を外され久しぶりにジークフリート様の綺麗なお顔と黒髪が見えた。朝からお会いできるなんて!

 ジークフリート様は桶に水を入れて来て綺麗な布を浸し絞り私の頰を持つと接近して顔を丁寧に拭き始めた!

 ジークフリート様に顔を拭かれているなんて!!どうしよう!鼻血出る!ダメよ出しちゃ!


 ようやく拭き終わるとジークフリート様は赤くなっていた。疲れたのかしら?


 2日目も私は演技をしてジークフリート様も前日と同じように過ごした。食事の時が待ち遠しい!だってあんなにジークフリート様と接近できて食べさせてもらえるのよ!天国だわ!黒い布は有るけど。支えるために肩に手を置かれる感触がたまりませんわ!


 しかし油断してボロっと食べ物を溢してしまい慌てた!ぎゃーーー!私としたことが!目隠しがあるからよく見えなくて恥ずかしい!!どうしよう!

 するとジークフリート様は


「ああ、わ、悪い娘だね!こっ…溢したりして…(ごめんなさい!)」

 小さい声で謝るジークフリート様。いえ、私のせいですわ。


「おおおお仕置きするよ!」

 と言ったのでもはや…時が止まりかけた!お仕置き?どんな!?

 ドキドキしすぎて死にそう!


「なっ、何をする気なの!?」

 と怯えたフリをして内心どうぞどうぞ!一思いにどうぞ!と願った!


 するとジークフリート様は私の前髪を少し上げて弱い力でデコピンをピシっとした!!可愛すぎる!

 しかし


『ジークフリート様!生優しすぎますわ!もっと激しくお仕置きしてください!道具袋には鞭がありましたわ!』

 と教えるとジークフリート様は


『えっ!?流石にそんなことマリマンネ様にできない!!』


『やるのです!さあ!』

 むしろ打ってほしい!シモンの気持ちがよくわかった!


「ち、…」

 と言いつつもゴソゴソ鞭を取り出しジークフリート様は思い切り…ではなく

 ペシャリと力弱く全く痛くない程度にして


「マナーの悪い娘はこうなるんだよ!わかったかい!?」

 と口調は怖そうに頑張ってするけど全然痛くない!お優しいジークフリート様!演技で仕方なく


「ああっ!い、痛い!やめて!やめて!」


「ふふ、悪い娘め!」

 と言いながらもはや鞭でさっきより弱めにほぼほぼ撫でるか撫でないかくらいになった。ジークフリート様は鞭を置いた。


 それから昨日と同じようにお風呂場に連れて行った。あっという間の1日だわ。でも幸せ!残り1日でクリアしちゃうのね…。


 風呂から上がり昨日と同じように地下室に戻される時油断して私は階段を一段踏み外し転落しそうになったところを


「危ない!!」

 と慌ててジークフリート様に腰を抱き抱えられ助けられた!落ちていたら死んでた!?


「し、しっかりしろ!」

 と言われる。


「ご、ごめんなさい…」


「う、危ないし階段を歩く時は布を取ろう」

 と言い、目隠しを外された。暗くてよく見えないのが結局惜しいけど足元はランプで明るくなって見えやすくなった。


 地下室に着いて重い扉を開けるジークフリート様…頑張って!と心の中で応援する。


「はぁはぁ、入れ」

 と言われ命令通り入る。目隠しは外されたままベッドに連れられ


「ちゃんと大人しくしていろよ」

 とまた手首を持たれ枷を嵌めようとした時に私は抵抗して逃げ出すフリをした。突然暴れ出したから驚いたジークフリート様はハッとして


「おお、大人しくしろ!あ、暴れるな!」

 と言い必死で抑えにかかり


「あっ!!」

 と言い、足が滑ったのか私の上に覆いかぶさってしまった!!


「きゃあああああああ!!!」

 思わず喜びの悲鳴…いや悲鳴の演技をした。

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