第20話 監禁される(ジーク)
第六の条件は結局保留になったけど…ルミナ様との次の婚約話がなくなってホッとした。ルミナ様は明らかにシモン様が好きそうだった。何となく見ていて察した。マリアンネ様もそれに気付かれて必死で止めたけど…まさかシモン様の正体があんな方だったとは驚いたと共にマリマンネ様はシモン様のことを何とも思ってないのにもホッとした自分がいた。
どうしよう…僕…マリアンネ様の事が好きなのだろうか?でもマリアンネ様は僕の事なんて好きじゃないよね?
というかグレゴールの為に婚約破棄しなくちゃなんだってば!
と頭を抱える。
当のグレゴールには少し事情を説明した。
「そりゃ大変だな。えっとルミナ様がシモン様を好きでシモン様はマリアンネ様が好き?」
シモン様の変態性の事はとりあえずグレゴールには隠した。
「でも俺も鍛えたらシモン様には何とか勝てるかもしれない!なっ?そう思わないか?ジーク?」
と言う。確かに鍛えたグレゴールは強そうだが…グレゴールはお化けが怖くて気絶するくらいだし意外と都合の悪い事は考えないようにするタイプらしい。
「あ…うん…そ、そうだね…」
と言うしかない。
今は昼休みでグレゴールと昼食を取っていた。食堂で食べている。僕は
「グレゴール…トイレに行ってきていい?食堂の側だし直ぐ戻って来られるからここで食べててよ」
と言うとグレゴールは
「…おう!わかった。まぁ大丈夫だろう」
と言い、さっさと済ましてしまおうとトイレへ向かった。
食堂から出てトイレを済ませた所で…背後に気配を感じた。
振り返る前に僕は何者かに口を布で塞がされた。急に眠気が襲い瞼が重くなった。
誰…なの?
*
目が覚めると…なんだかふかふかの大きな3人は入れるくらいのベッドに僕は寝ていて……
ガキン!!
ジャラン!!
と僕はベッドの足と自分の足首と手首が固定されて大の字になっているのに気付いた!!
「ええ!?な、なにこれ!?」
誘拐犯に捕まったのか!?
と青ざめているとガチャっと部屋の扉からゾロゾロとコンスタンティン先生にリア様、ニーナ王女が現れた!!
「えっ!?な、何!?」
と青ざめているとコンスタンティン先生はにこりとして
「もう大丈夫だよ?ジークフリート君…」
と言った。
「え?な、何がでしょう?」
「ようやくあの悪魔から私達が救い出してあげたんだよ」
「え?」
キョトンとするとニーナ王女が
「お兄ちゃんを翻弄するあの悪魔令嬢よ!さっさと婚約破棄しないで変な条件をいっぱいつけられて怖かったでしょ?」
とニーナ王女は僕をまだお兄ちゃん呼びしていた!
「ごめんなさいね、ジークフリート様…私が悪魔の暗殺に失敗ばかりしたから…
あいつは中々しぶとくて…」
リア様が何か謝罪してくる。
「リア嬢だけのせいでもないよ?俺も失敗した。あの女は先の手を読んでくる」
コンスタンティン先生もそう言いギリっと怖い顔になる。
ニーナ王女も
「私なんて接近禁止令よ?常に見張られていたから中々お兄ちゃんに近寄れなかった!」
と言う。
「だが、今回はもう大丈夫だよジークフリート君!ここはね、君を安全に守る砦…私の別荘だよ?警備の者も雇い外からの侵入者に警戒させている」
と言った!コンスタンティン先生の別荘!?
「何で…そんな!?僕を縛る必要はないと…」
と手首や足首付けられた枷を見る。
「ああ…それは…ジークフリート様を守る為ですわ!大丈夫です!これからジークフリート様のお世話…下の世話やお風呂お食事…私達が代わる代わる行うことにしましたの!」
とリア様は嬉しそうに狂気な目で僕を見た!!
ニーナ王女も
「ニーナ達は同盟を組んだの!憎き悪魔令嬢からお兄ちゃんを守ることにしたんだよ!」
と言う。目がギラギラしていて怖い!
そしてコンスタンティン先生は
「夜も交代で一緒に寝てあげるから寂しくないよ?ジークフリート君」
とペロリと舌なめずりをした先生にゾッと戦慄した!!
前世の記憶で監禁プレイとかが頭に浮かび僕このままじゃこいつらに犯されて監禁されてしまう!いやもうされてる!?
怖い!!
しかしその時だ!警備の者達の悲鳴が聞こえた!!
えっ!?
そして部屋に一人が入ってきて
「ひ、…コンスタンティン様!おおお逃げください!!敵が侵入!そして屋敷のあちこちに火が!!」
「なっ!?何をしてるんだ!お前達は!」
「謎の集団が襲ってきて全員仮面を被り正体不明…で…」
と言いその男は後ろから誰かに首元をとんとされて倒れた。
そしてゾロリと部屋の中に仮面をつけた者達がたくさん入りニーナ王女やコンスタンティン先生やリア様を捕縛して僕を解放してくれた。
その中に女らしき仮面の人は無言で手を引き外までの安全な道を導き用意していた馬車に押し込んだ。
そして僕はそのまま出発させられようとしたが…
「待って!!貴方はもしや!マリアンネ様では!?」
公爵家の令嬢がこんな格好をする筈はないとわかっているが…背格好も似ていたし手を繋いだ時何となく見覚えがあるような感じだった!微かに匂う香水も同じ…。
しかし仮面の人は首を振りさっさと行けとばかりに手を振り僕はそのまま侯爵家へと帰った。
そうしたらグレゴールが飛んできて
「ジーク!!大丈夫か!?お前誘拐されたって…」
と血相変えて言われた。うちの使用人やお父様達や兄達も家に犯人達からの脅迫状が届き
大事に預かるとだけ書かれていたと言った。
「結局お前は帰ってきたから良かったけど一体誰が助け出したんだ?どこに監禁されていた!?」
するとそこへカツとシモン様、ルミナ様を伴い現れたマリアンネ様!!
「ジークフリート様?貴方はどこで監禁されていたのですか?正直に言うのが第六の条件でしてよ!」
と言った!!
「あ、あああの…僕はその…コンスタンティン先生のベッケル家の別荘地に監禁されて…コンスタンティン先生とリア様とニーナ王女に…」
と青ざめて言うとマリアンネ様はにこりとして
「まぁ!そうですの?あの方達が?ジークフリート様を監禁なさったの?そして謎の方々が助け出したと?」
「そ、そうです…」
と言う。これって…マリアンネ様達が助けてくれたんだよね?あの仮面の女の人もきっとマリアンネ様だ!!と僕は思った。
グレゴールは
「親切な奴らもいるな!でもジークを誘拐し監禁したなら流石に王女様が関与していても問題だ!!
学園長にも国にも隣国にも報告しそれなりの処罰が下ると思う」
と言った。マリアンネ様はニヤリとして
「まぁ…本当に怖い方々ね!ジークフリート様何もされてませんよね?」
と言う。
「あ、はい…なんとか。される前に助けられました。ありがとうございます」
とついマリマンネ様にお礼を言うとマリアンネ様は
「あら?助けたのは謎の軍団でしてよ?おかしなジークフリート様ほほほ」
と言うとお父様やお兄様達は
「せっかくだしマリアンネ様…我が家の夕食をご馳走しましょう!」
と言った。それからシモン様やルミナ様も共にうちで賑やかな夕食を取り帰っていった。
後日…コンスタンティン先生はクビになりベッケル公爵家はかなり窮地に立たされて同様にリア様も退学させられチェコヴァ伯爵家は没落寸前になる。
また、ニーナ王女も国に送還されることなり早々に王家から中年の辺境伯の嫁に出された!
僕が白状しなければあの三人はまだ普通の生活を送れていたかもしれないけど…白状することが第六の条件となってしまったので僕は白状してクリアした。
監禁の時の恐怖があり僕はしばらく学園を休んだ。
お見舞いに花と果物がマリアンネ様から送られた。メッセージカードに綺麗な文字で
ー早く元気になられてくださいねー
と書かれており僕は…嬉しくなった。
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