第21話 監禁されたい!
ジークフリート様が休まれている間のことである。
ルミナとシモンを連れ学園の庭園でお茶をしている。シモンはもちろん給仕係に徹する。
「ああ…ジークフリート様お可哀想に…。今回の監禁で心に傷を負われてしまったわね」
と言うとルミナは
「でもお姉様が変装して助けに行くとは…驚きです」
と言う。
「ふふ、スリルがあって良かったし私は連れ出して家に送らせただけよ」
「監禁…私もお嬢様に手足を縛られてグリグリ踏まれたい!!」
ど変態シモンが言うとルミナが
「ああっ!私もシモン様になら監禁されて好きにされたい!!」
と言い出した。どうしよう、妹まで変な思考になった!
でも私も考えてみたらジークフリート様になら監禁されたいわ!ジークフリート様になら何をされても平気なのにぃぃぃ!
しかも今回のことで邪魔者を排除出来たことは最大の利点!
「これでお姉様があの三人に命を狙われることもなくなりましたし後は早くジークフリート様が元気になられたらいいですね」
とルミナは言う。ルミナはシモンから聞いたのか私がジークフリート様のことを好きなことを知っていた。
「でもお姉様…お好きなのに本当に婚約解消なんてしてもよろしいんですか?だってお二人はモゴモゴ…」
シモンがルミナの口を手で塞いだ。何遊んでるのかしら?
「ルミナ…好きな人の願いを叶えるのが私の願いよ。ジークフリート様が私との婚約破棄を望んでいるならそうすべきなの!後4つになってしまったけどこの頃はジークフリート様との会話も昔より増えたし私は婚約破棄される時が来てもきっと思い出して生きていけるわ!」
と言うとシモンとルミナは顔を合わせてルミナは困った顔をしていた。
「お嬢様!ではこんなのはどうです?心に傷を負ったジークフリート様を治す為に…今度はお嬢様がジークフリート様に監禁されてみるとか。お嬢様も監禁されたがっていたし、この間と同じように監禁ごっこのような形であれば犯罪にもなりませんし」
とシモンが素晴らしい提案をする。
「シモン!何てアイデアなの!思わず踏んづけてあげたくなったわ」
「え!やった!!」
「やらないけどね」
「ああっ、シモン様に踏まれたい!!」
とルミナが横で悶える。
私は早速お見舞いのアップルパイと共に第七の条件を書いて手配させた。
*
そして後日、うちの使ってない別荘へジークフリート様をご招待した。因みにご実家の侯爵家シュトローマー家にはきちんと療養のためお預かりすると言っておいたのでご家族が心配されることもない。
ジークフリート様が到着しておろおろしていた。
居間に通しまず話をした。
「あっあの!マリアンネ様!この第七の条件…どう言うことです?マリアンネ様を僕が監禁するとは!?」
と言う。
「言葉通りですわ?私はジークフリート様の心の傷を克服すると同時にもしこれから先誰かに監禁されても怖がらない精神を保つべきだと思いまして、今度は監禁する側の気持ちを理解してもらおうと思いましたの」
「逆の立場になり克服をするということですか?でもそうしたら今度はマリマンネ様が…ショックになりませんか?僕、とても怖い思いをしたのでマリアンネ様にはそんな思い例え演技でも思ってほしくはないです…」
と優しいことを仰るジークフリート様にキュンが止まりません。
「私なら平気ですわ!ジークフリート様を怖いと思いますか?私も怖がっている演技をしますからジークフリート様も全力で犯人役をお願いします!」
と念を押した。
ああ!私がジークフリート様に監禁される日が来るなんて嬉しい。
「わ…わかりました。それか条件なら僕はクリアして見せます…。」
としょんぼりしながら言う。
シモンは監禁のための道具の説明や監禁の期間を言い、
「それではお嬢様…私は離れにおりますのでジークフリート様とお二人で監禁ごっこお楽しみくださいませ!お食事はお作りし、ジークフリート様にお渡ししますので後はどうぞよろしく」
と言うと手を振り去っていく。
「えっ!?シモン様言っちゃうのですか!?ええっ!?この別荘に…マリアンネ様と二人!?グレゴールも連れてくるなと書いていたから仕方なく置いてきたけど…」
と言うジークフリート様に
「ジークフリート様よろしくお願いしますわ!ほほほ」
と私は楽しげに笑う。
ジークフリート様は置かれた監禁道具袋を持つと中から鍵束とこの別荘の地図を取り出して確認した。
「えっ?監禁場所は地下?そんな所にマリアンネ様を監禁して大丈夫ですか!?」
「大丈夫と言ったでしょう?私が怖がってもそれが演技だと言うことをお忘れなく?」
そう言うとジークフリート様は袋からロープと目隠しの布を取り出して
「わ、わかりました。地下室へ行きます…えっと後ろを向いてください縛ります」
と言われてゾクゾクするが
「ジークフリート様?もっと高圧的にお願いしますわ!」
と言うと
「うっ…えと…うう後ろを向け!!」
と頑張って大声を出した。
ああ!痺れる!
言う通り後ろを向くともたもたしながらも目を布で塞ぎ後ろ手にロープを撒かれて
「つつ…ついて来い…あっ、違う!さあ歩け!」
と背中を優しく押して地下室まで誘導するジークフリート様にキュン!
「貴方は…誰なの家に返して!」
と私は演技をしながら地下室への階段を降りる。
地下室は重い扉になっており鍵でガチャっと開きジークフリート様は重い扉を頑張って開ける。
「うっ、重い!この扉!」
心の中で頑張ってと応援する。ギギィと音を立ててようやく開くと地下室にはきちんとボロベッドが用意されている。
「ええー!?ボロー!!何で!?」
私はこそっと
「ジークフリート様…監禁部屋もそれっぽくしておきましたの!そっちの方がいいと思いましたの!」
と言う。因みにジークフリート様が座るソファーは綺麗なものにした。
暇潰しの本もたくさん置いてある。
こうして私は…ジークフリート様により監禁生活が始まるのだった(擬似)。
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