黄昏のヒーロー

　ある日、獅子堂ハジメは何の前触れもなく別世界へと足を踏み入れる。

　ただ見た目は自分が住んでいた街並みとほぼ同じだった。自分以外の人間が見当たらないことと、まるで誰も住まなくなって何十年も経過したように、周りの建物が一様に荒廃していることを除けば。

　困惑しながらも街を探索している途中、ハジメは怪物に襲われてしまう。運良く近場にいた竜宮葉月という名の少女に助けられた後、ハジメは日没とともに元の世界へと帰還した。

「この世界は現在、異世界に侵略されかけている」

　葉月に連れられ、河野古書店という古本屋を訪れるハジメ。そこで河野という男から現在この世界が置かれている状況を聞いた。

　夕方、日没までの約一時間、《黄昏時の世界》という別空間が現れる。
　そこでは《逢魔》と呼ばれる怪物が蔓…続きを読む