第12話 異世界の姫

「…………」


 とあるマンションの一室にて、ハジメは座禅を組んでいた。


 精神集中、心頭滅却。心を無にしたまま、瞑想に勤しむ。


 修行僧でもないハジメが、何故このようなことをしているのか。その理由は、壁一枚隔てた向こうから聞こえてくる華やかな声にあった。


 ただいまお風呂場では、美少女三人が素っ裸になってくんずほぐれつお互いの身体を洗いっこしているのだ。健全な男子高校生であるハジメにとっては、その事実だけで身体に毒。心の奥底から湧き上がってくる劣情を、瞑想することにより無理やり抑え込んでいるのであった。


 おっと、わずかに煩悩が生まれてしまった。集中集中。


 集中ついでに、ここまで至った経緯を思い返してみる。


 巨人の腹の中から出てきたお姫様。困惑気味ながらも、どうやら言葉は通じるみたいなので事情を聞こうかと思ったが、《逢魔》の激臭によりそれどころではなかった。《魔核》を砕いて血肉を消滅させても、臭いまでは取れなかったのだ。


 なので一行は、お姫様を連れて葉月の住むマンションへと赴いたのである。


 一人暮らしらしいワンルームは思った以上に広く、高校生をこんな場所に一人で住まわせることも含めて、どんな家庭の事情があるのかハジメに妄想させる。もちろん、自分から訊ねるようなことは絶対にしないと思うが。


 それはさておき、せっかくだから三人で風呂に入ろうとユノが提案して今に至るのだ。そして覗いたら殺すとまでユノに宣言されたハジメは、護衛の意味も込めて一人寂しくリビングで座禅を組む羽目になったのである。


 まあ、流れとしては分からなくもない。分からなくもないのだが……。


 今はまだ《黄昏時》。さすがに気が緩みすぎなんじゃないかとハジメは思った。


《逢魔》は屋内には滅多に侵入してこないし、その気になれば裸でも戦えるとはいえ、敵地で湯浴みするようなもの。なんか緊張感に欠ける。とはいっても、一番未熟者である自分があの二人に意見する権限は今のところ無いのだけれども。


 しばらく悶々としたまま待っていると、風呂場から葉月が一人で出てきた。


 相も変わらずゴスロリ衣装。ただ湯気が昇る濡れた髪は妙に艶めかしく、今日はもう戦うつもりがないのか軽く着崩したゴスロリ衣装からは鎖骨が覗いている。ちょっとドキドキしてしまい、ハジメは悟られないように目を逸らした。


「待たせて悪いわね」


「構わねえよ。ってか、水道とかガスとか使えるんだな」


「何故かインフラがまだ生きてる所もあるのよね。私の部屋もそのうちの一つ。そもそも携帯も繋がるくらいだから」


「それもそうだな」


 ワンルーム内を見回してみる。


 元の世界から幾分か朽ちかけているものの、河野古書店や他の建物に比べるとだいぶマシである。地域によって異世界の侵略具合が変わってくるのか、それとも地上から高さがあるから荒廃の進み方が遅いのか。


 どちらにせよ、未だインフラを使えるのは不思議だった。


「ユノとお姫様は?」


「ドレスを着つけてもらってるわ。まだ少し臭うから私の服を貸してあげようかと思ったんだけど、《黄昏時》にある衣服はボロボロになっちゃうのよね。着れたものじゃないわ」


 そりゃそうだ。建物を見れば何となく想像はつく。


「それで、お姫様からは何か聞き出せたのか?」


「まだ何も。聞いたのは名前くらいね。グレイシス=リ=サンドロス。サンドロス王国のお姫様らしいわ」


「マジもんのお姫様だったのか……」


「本人の言葉から判断するしかないけれど、どうやら嘘はついてないみたい。今はまだひどく困惑してるから、恐怖心と警戒心を和らげられるようにユノが声を掛けてる。そういうことはあの子が適任だから」


 異世界の姫。当然ながら、ハジメは初めて目の当たりにする。


 だからこそ一番警戒しなければならないことがある。


「そのグレイシスってお姫様は……本当に人間か?」


「どうなの? スカルマーク」


『間違いねえぜ。少なくとも《逢魔》の気配はしねえ。それは保証する』


 まあ《逢魔》だったら有無を言わさず襲ってきただろう。こちらが無防備な姿を晒しても何事もなかったのは、今のところ攻撃する意思がないということだ。


「でも、どうして《逢魔》の中から出てきたんだろうな?」


「それはお姫様が来てから考えましょう。それよりも一つ気になることがあるわ」


 そう言って、葉月は目を細めた。


「獅子堂君って……ホモなの?」


「はあぁ!?」


 予想外すぎる質問に吹き出してしまった。牛乳でも飲んでる途中だったら大惨事だ。


 つーか、そんな真剣な顔で問うことか?


「なんでだよ!」


「だって私はともかく、ユノみたいなめちゃくちゃ可愛い女の子が鍵もかけていない扉一枚向こうでお風呂に入ってるのよ? ぶん殴られるのも覚悟で覗きに来るのが男子ってものじゃないの?」


「どこ知識だよ、それ!」


 俺の気苦労も知らないで……と、ハジメは握った拳を震わせた。


 正直、後腐れなく殴られるだけなら覗きたい心境だった。だがそれは無理というもの。だって今は《黄昏時》。一歩間違えば日本刀で真っ二つだったり、盾でぺちゃんこにされてしまうだろうから。


 自分の命と性欲を天秤に掛けた場合、命の方に傾くのが獅子堂ハジメという人間である。


「で、どうなの?」


「普通だよ!? 健全で健康な男子高校生だよ! 女の子に興味津々のな!」


「証拠は?」


「証拠って、お前……」


 自分がホモじゃないことなど、どう証明すればいいんだ。こいつを襲えばいいのか?


 困惑しながらも唇を尖らせたハジメは、渋々告白する。


「まあ、その、なんだ……移動中とか戦闘中とか、ユノのミニスカが気になってついつい見ちゃうことはあるな」


「後で本人に言っとくわ」


「鬼か!」


「冗談よ」


 葉月が珍しくクスッと笑った。こいつでもこんな笑い方するんだなと、ハジメは虚を突かれてしまう。


「てか今はユノだけじゃなくてお前とお姫様も一緒に入ってただろ。覗けるわけねえよ。……しかもスカルマークがいるじゃねえか。お前、こいつに見られて恥ずかしくないの?」


『ああん? オレ様は女体にゃ興味ねえよ』


「お前がホモだったのか」


『オレ様は女だ』


「刺繍に性別なんてあるかよ」


 何の話してるんだよ、もう……。と、ハジメはがっくり肩を落とした。


 ただ、これだけは指摘しておかなければならない。


「葉月。私はともかくとか訳の分らん枕詞つけてたけど、お前だって十分整った顔してるからな? もうちょっと自信持てよ」


 そう。ユノには敵わないものの、葉月もそこそこ可愛いのだ。


 学校では根暗を装って誰も近寄って来るなオーラを放っているから注目されないだけで、それなりに着飾れば学年で十本の指に入るくらいのレベルにはなる。これはハジメの贔屓目を抜いたとしても、十全なる事実だった。


 そう語ったハジメに対し、葉月の反応はというと……。


「そ、そう? ……ありがと」


 意外と満更でもないといったげに照れた後、視線を伏せたのだった。


 葉月がハジメの前で晒す初めての表情が、ここにきて二つ目だ。これが彼女の本当の顔なんだろなと思うのと同時に、心を開いてくれているようでちょっと嬉しかった。


 そうこう話している間にも、ドレスの着付けが終わったようだ。


「おっ待たせしました~」


 陽気な声で戻って来るアイドル少女。その背中に隠れるようにして、おっかなびっくりついてくるお姫様――グレイシス。彼女を心配させないように、ユノはいつもより無駄にテンションを上げているのかもしれない。


「どうぞ。そちらへ座ってちょうだい」


 葉月が座るように促すと、二人はテーブルを挟んだ向かい側のソファへと腰を下ろした。


 ユノとグレイシスの距離は肩が触れ合うほど近く、お互いの手を強く握りしめている。葉月の目論見通り、ユノは少なからずグレイシスの心を懐柔できている様子だった。


 ハジメも話し合いの席に着くため立ち上がろうとする。が、ユノに止められてしまった。


「あっ、獅子堂先輩はそのまま床で正座しててください」


「なんでだよ」


「獅子堂先輩がソファに座ると、身長差でグレイちゃんを上から見下ろす感じになっちゃうじゃないですか。威圧感を与えないためにも、お願いします」


「くっ……」


 もっともらしいこと言いやがって。だが、この位置だとユノのパンツを眺められるので良しとしておいた。


 全員が腰を落ち着かせたところで、グレイシスがおずおずと口を開いた。


「あ、あの……私、サンドロス王国の姫、グレイシス=リサンドロスと申します」


 自分の名前を告げ、頭を下げる。


 葉月とユノの二人にはすでに名乗ったと言っていたので、ハジメに向けての自己紹介だったのだろう。ハジメもまた自分の名を口にし、床に正座しながら頭を垂れた。


「じゃあ先ほども言ったけど、できるだけ私たちの質問に答えてほしい。もちろん答えたくないことがあれば口を閉ざしてくれても構わないし、自分のペースでゆっくりでいいから」


「は、はい」


 息を呑んだグレイシスが、緊張した面持ちで重々しく頷いた。


「まずは……どうして《逢魔》のお腹の中にいたの?」


「《逢魔》? えっと……もしかして魔物のことですか?」


「ええ、そうよ」


「それは、その……レイヤード王国に行くため、馬車に乗っていたんです。そしたら途中で地震があって、外を覗いたら大きな魔物がいて……」


 次第にグレイシスの身体が震えだす。それだけ恐怖を植え付けられた体験だったのだろう。彼女の肩を抱いたユノが、「大丈夫だよ、もう大丈夫。ここに魔物はいないから」と、必死に宥める。


 グレイシスの精神にのしかかる負荷を気遣うのとともに、これ以上語らせる必要もないことは明らかだった。


 馬車を襲われ、グレイシスはあの巨人に喰われた。そしてそのまま巨人が《黄昏時の世界》へと転移してしまったというわけだ。《魔核》を砕いても他の人間が出てこなかったということは、喰われたのは彼女だけだったのだろう。


「君の世界は、いったいどんな世界なん……」


 急いて質問しようとするハジメを葉月が止めた。そして横目で注意される。まだ早い、と。


 大きく息を吸った葉月は、胸に手を当てて宣言した。


「私たちはあなたの味方よ。安心して。ここには魔物も来ないし、たとえ姿を現しても私たちがあなたを守る。だから、落ち着いて私の話を聞いてほしい」


 言い終えると、多少は気持ちを落ち着かせたグレイシスが頷いた。


「ありがとう。まず最初に言わなければならないのは、ここはあなたが住む世界ではないということ。魔物に食べられて、お腹の中にいる間に別の世界へ転送されてしまったの」


「別の、世界? そんな……」


 目に見えて青ざめ始める。ただハジメにはその気持ちがよく分かった。つい先日、何の前触れもなく《黄昏時の世界》に放り込まれて《逢魔》に襲われたばかりなのだから。


「大丈夫。あなたが思っているよりかは平和な世界よ。夕方以外は魔物もいない。こちらに転移してきた魔物は、日没と同時に元の世界……つまりあなたの世界に帰ってしまうの。もしかしたら、あなたも陽が沈んだら帰れるかもしれない」


「そ、そうなのですか?」


「うん。もし帰れなかったとしても、帰す方法はいくらでもあるから大丈夫よ。今すぐには無理かもしれないけどね」


 グレイシスが安心したように胸を撫で下ろした。


 横で聞いていたハジメは、そうなのか? という疑問とともに責めるような視線を葉月へと向ける。元の世界に帰る方法があるなんて、彼女を安心させるためだけの詭弁では?


 しかし葉月から寄こされた目つきを見て気づいた。


 どうやら帰す方法があること自体は嘘ではないようだ。しかし『いくらでも』という文言と、さらに本当に成功するのかどうかの確証は得られていない感じだった。


「次に見て欲しい絵があるの。おそらくあなたの世界にいる魔物だと思うのだけど……」


 そう言って、葉月はスマホの画面をグレイシスに見せた。


 アルバムの中には、過去に撮ったであろう《逢魔》の画像が映し出されている。スクロールしていくにつれて、グレイシスの目が驚きに満ちていった。


「は、はい! あまりお城から出たことがないのでそんなに見たことはありませんが、兵士から聞いていた特徴のある魔物もいます!」


 やはり間違いないようだ。《逢魔》は異世界から転送されてきている魔物であり、グレイシスはその世界の国のお姫様。


 つまり……ハジメたちの世界を侵略しようとしている世界の住人である。


「でも、どうして魔物がこちらの世界に転送されているのでしょうか?」


「それはまだ判明していないわ。けど毎日夕方になると、この世界にはいるはずのない魔物が街の中をうろつき始めるのよ。私たちは戦える能力があるから魔物を駆除しているの」


 侵略というワードは使わず、葉月は大まかに説明した。


 今のところグレイシスは自分の世界がこの世界を侵略していることを知らなさそうな感じだが、まだ油断はできない。彼女が侵略の一端を担っているのかそうじゃないのか、しっかりと見極めなければ。


「もう一ついいかしら? あなたはセブン、リーシャという名前に心当たりはある?」


「セブン?」


「リーシャ?」


 その質問にはハジメとユノも首を傾げた。葉月の夢の内容は聞かされていないからだ。


 ハジメが《黄昏時の世界》に転移するようになってから三日目。今日も今日とて、異世界人がやって来るなどという前代未聞の事態が起こった。


 未だ疑いは解けていないものの、今は緊急事態だ。名前を出すくらいなら大丈夫だろうと判断し、「説明はまた今度するから」と言って、葉月はグレイシスの回答を待った。


 ただ予想外の反応が返ってくる。


 彼女は二人の名前を耳にするやいなや、嬉しそうに表情を明らめたのだ。


「はい、もちろん知ってます! お二人は我がサンドロス王国の英雄ですから!」


「英雄?」


「二年ほど前に魔王を討った英雄です。私も小さな頃からお世話になっていたのですが、残念ながら魔王討伐の旅からは帰還しませんでした……」


 辛い記憶を思い出してしまったのか、先ほどと打って変わって彼女は肩を落とした。


 魔王は討たれ、セブンもリーシャも亡くなっている。おそらくあの炎に包まれた光景が三名の最期なのだろう。それが……二年前?


 もし葉月がリーシャの生まれ変わりだとしたら、時系列がおかしい。つまり前世説は覆される? いや、異世界とこの世界の時間の流れや時間差が違うことも考慮に入れた方がいいのかもしれない。


「じゃあ二年前に魔王が討たれて、あなたの世界は平和になったのかしら?」


「はい。魔王軍による領土侵略はなくなりました。しかし魔物はまだ生きています。絶滅させられるには、まだ何十年もかかると言われているみたいです」


 葉月は頭の中で話をまとめてみる。


 二年前、魔王はセブンとリーシャによって討伐された。これは夢の通りだ。


 にもかかわらず、異世界の侵略は止まっていない。つまり侵略行為は魔王ではなく、人間側が行っているということなのか?


 グレイシスの反応からは、そんな感じはしないが……彼女はまだ十三歳くらい。何も知らされていなくても、おかしくはない。


「あ、あの、葉月さん。セブンとリーシャをご存じなのですか?」


「ええ、ちょっとね」


 夢の内容は伝えない方がいいだろう。今は余計に混乱させてしまうだけだ。


「葉月先輩。もうすぐ日没ですが、どうします?」


 気づけば部屋の中はだいぶ暗くなっていた。もう五分ほどで夜が来るだろう。


「そうね……日没とともにグレイちゃんが帰られればそれで良し。もし帰られなかったら、一度河野さんの所に連れていくわ」


「コウノさん、ですか?」


「事情を知ってる大人の人よ。良い人だから大丈夫。ただ、もしかしたらそこでも少し話をしてもらうかもしれないわ」


「わ、分かりました」


 了承の返事を聞くだけでも分かる。このグレイシスという姫は、とても良い子だ。


 だが、場合によっては時間がないのも事実。他に訊きたいことがないか、頭を巡らせる。


 最終的に葉月が選択した質問は、《黄昏時の世界》とあまり関係のないことだった。


「ねえグレイちゃん。セブンとリーシャってどんな人だった?」


「セブンは勇敢で、とてもかっこよかったです。でも、厳格すぎるところが玉に瑕でしたね。私も幼い頃、ちょっとした悪戯ですごく怒られた思い出があります。あっ、あと剣の腕では右に出る者はいませんでした。聖剣の所持者にも選ばれるくらいでしたし。反対にリーシャはとても優しい方でした。時間がある時に、たまに絵本を読んでもらったこともあります。でもセブンから剣を教わっていたからか、どこか厳しい面もありました。性格が移ってしまったのでしょうね」


 昔を思い出しながら、グレイシスは小さく笑った。


「リーシャはセブンに師事していたのね。仲は良かったの?」


「はい。二人は本当の姉妹みたいでした。いろんな人と仲が良かったですし、多くの人から尊敬されていました」


「そう……」


 話を聞いて、葉月は顔を綻ばせていた。自分の前世がどんな人だったのかが垣間見れて嬉しかったのだろう。事情を知らないハジメとユノは、首を傾げるばかりなのだが。


 やがて日没が訪れる。


 西の空にあったオレンジ色が消えるのとともに、東から街灯や民家の明かりが灯る。葉月のマンションもまた、長年放置された廃墟から生活感のある空間へと変化していった。


 スカルマークが消える。グレイシスに遠慮したのか、別れの言葉はなかった。


 そして肝心のグレイシスはというと……変わらずソファに座っているようだった。


 残念そうに顔を伏せるグレイシス。ユノが彼女の肩をギュッと抱きしめ、葉月もまた肩を落とした。《逢魔》は日没とともに元の世界へと転移できるが、異世界に来てしまった人間まではその限りではないようだ。


 グレイシスには気の毒だが、こうなってしまっては仕方がない。河野の判断を仰ごう。


「今から河野古書店へ連れていくわ。私、着替えてきていいかしら?」


「はーい、待ってまーす」


「なる早で頼む」


 葉月が立ち上がり、正座していたハジメが辛そうに足を崩す。


 その時、グレイシスが不思議そうに首を傾げた。


「レリ・エンバリ・セル?」


「へ?」


 最初に気づいたのがユノだ。宇宙人みたいな言語が唐突にグレイシスの口から飛び出て、固まってしまう。


 さらにグレイシスは続けた。


「ラ・リンベルトス・リルラ・セル?」


「…………」


 異変に気付いた葉月も立ち止まる。


 ユノとハジメに目配せし、最後にグレイシスを見て驚きに眼を見開く。


「まさか……」


「もしかして……」


「おいおい……」


 三人の意見が一致し、空気が困惑で満たされた。


「《黄昏時》じゃないと言葉が通じないの?」

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